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第39話 石けん作り開始
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粉薬と並行して石けん作りに入った私は、そのための準備に取り掛かった。
雑草と石灰石を燃やす場所を確保すること、特に石灰石は高温で燃やさないとならないため、周囲に燃え移らないように対策をした。
「ホント、魔法って便利だわ。簡単に土壁が作れたんだもん。これなら失敗しても、すぐに作り直せるから助かるわ」
出来上がった土壁は、安全性を考えて分厚く高めに仕上げた。
腰に手をあてて、一人うんうんと頷いていると、背後から声がした。
「お嬢様。石灰石をお持ちしました。どちらに置きましょうか?」
声の主はジークさん。
石灰石の袋を肩に軽々と担いで立っている。
「…あ、ありがとう。重いでしょ。あっちに置いてもらえる?」
「これくらいどうってことはないですよ。他に何かすることはありますか?」
石灰石を指定された場所にヒョイと下ろすと、何事もないように告げるジークさんに私は呆気にとられる。
「……体力お化け…」
私の呟きに表情を緩めるジークさん。
「ハハッ。体力お化けですか。これくらい出来なければ冒険者なんて出来ませんよ。それにこうしてお嬢様の護衛だって任せてもらえません」
「あ、あー、そっか。そうだよね」
目を逸らして返事をする私の耳に、ジークさんの笑い声が聞こえる。
「んんっ!じゃあ、始めますか!」
咳払いをして気持ちを切り替えると、目の前の雑草に意識を向ける。
石けん作りを本格的にするのは初めてだけど、前世、祖母の趣味に手伝いをしたことがあり、作業工程は何となく覚えている。
火力の調整に苦労した記憶があるが、魔法でいけるだろう。
先ずは雑草を乾燥させて灰になるまで燃やした後、水を淹れた大鍋に灰を入れてかくはんさせて十分ほど放置。
灰と上澄みに分かれたら、上澄みの部分だけ取り出す。
うん。ここまでは順調に出来た。
問題はここから先だ。
石灰石を高温で焼くのだが、何度だったか覚えていない。
少量に分けた石灰石を、火魔法で火力を少しずつ上げて様子を見ていく。
何度も失敗を繰り返しようやく成功した時は、陽はだいぶ傾いていた。
「…でき、た。後は上澄みと混ぜ合わせれば、強アルカリ水の出来上がり。よし!これに油を混ぜてかくはんして……。おっ、少しずつ硬くなってきたかな。おっと!ハーブエキスを入れないと」
慌ててハーブエキスを投入して混ぜ合わせていく。
「ふぅ。容器に注いで一日置けば石けんの出来上がりっと。ふふ。明日が楽しみ」
グウゥゥ
「くくっ」
タイミングよく腹の虫が鳴り、ジークさんの嚙み殺した笑い声が聞こえた。
「……キリがいいから屋敷に戻りましょう」
翌日の夕方、ジークさんと石けんがきちんと固まったか確認に訪れた。
「わぁ、ちゃんと固まってる!…うん。香りもいい。後は泡立ちを確認しなきゃ!」
試作品の石けんを大事に抱え急ぎ足で厨房に向い、早速手を洗ってみた。
「うん。泡立ちは従来品よりずっといいかな。香りも手触りも上出来だわ!」
夕食の準備に取り掛かっていたソフィアさん達に、試作品の石けんを渡して使うように促したら、その数時間後、父の耳にも評判が伝わり催促されたのは言うまでもない。
ハーブエキス入り石けんは、瞬く間に領民の間で人気になり、手洗いの習慣がついて病気になる人が減っていった。
雑草と石灰石を燃やす場所を確保すること、特に石灰石は高温で燃やさないとならないため、周囲に燃え移らないように対策をした。
「ホント、魔法って便利だわ。簡単に土壁が作れたんだもん。これなら失敗しても、すぐに作り直せるから助かるわ」
出来上がった土壁は、安全性を考えて分厚く高めに仕上げた。
腰に手をあてて、一人うんうんと頷いていると、背後から声がした。
「お嬢様。石灰石をお持ちしました。どちらに置きましょうか?」
声の主はジークさん。
石灰石の袋を肩に軽々と担いで立っている。
「…あ、ありがとう。重いでしょ。あっちに置いてもらえる?」
「これくらいどうってことはないですよ。他に何かすることはありますか?」
石灰石を指定された場所にヒョイと下ろすと、何事もないように告げるジークさんに私は呆気にとられる。
「……体力お化け…」
私の呟きに表情を緩めるジークさん。
「ハハッ。体力お化けですか。これくらい出来なければ冒険者なんて出来ませんよ。それにこうしてお嬢様の護衛だって任せてもらえません」
「あ、あー、そっか。そうだよね」
目を逸らして返事をする私の耳に、ジークさんの笑い声が聞こえる。
「んんっ!じゃあ、始めますか!」
咳払いをして気持ちを切り替えると、目の前の雑草に意識を向ける。
石けん作りを本格的にするのは初めてだけど、前世、祖母の趣味に手伝いをしたことがあり、作業工程は何となく覚えている。
火力の調整に苦労した記憶があるが、魔法でいけるだろう。
先ずは雑草を乾燥させて灰になるまで燃やした後、水を淹れた大鍋に灰を入れてかくはんさせて十分ほど放置。
灰と上澄みに分かれたら、上澄みの部分だけ取り出す。
うん。ここまでは順調に出来た。
問題はここから先だ。
石灰石を高温で焼くのだが、何度だったか覚えていない。
少量に分けた石灰石を、火魔法で火力を少しずつ上げて様子を見ていく。
何度も失敗を繰り返しようやく成功した時は、陽はだいぶ傾いていた。
「…でき、た。後は上澄みと混ぜ合わせれば、強アルカリ水の出来上がり。よし!これに油を混ぜてかくはんして……。おっ、少しずつ硬くなってきたかな。おっと!ハーブエキスを入れないと」
慌ててハーブエキスを投入して混ぜ合わせていく。
「ふぅ。容器に注いで一日置けば石けんの出来上がりっと。ふふ。明日が楽しみ」
グウゥゥ
「くくっ」
タイミングよく腹の虫が鳴り、ジークさんの嚙み殺した笑い声が聞こえた。
「……キリがいいから屋敷に戻りましょう」
翌日の夕方、ジークさんと石けんがきちんと固まったか確認に訪れた。
「わぁ、ちゃんと固まってる!…うん。香りもいい。後は泡立ちを確認しなきゃ!」
試作品の石けんを大事に抱え急ぎ足で厨房に向い、早速手を洗ってみた。
「うん。泡立ちは従来品よりずっといいかな。香りも手触りも上出来だわ!」
夕食の準備に取り掛かっていたソフィアさん達に、試作品の石けんを渡して使うように促したら、その数時間後、父の耳にも評判が伝わり催促されたのは言うまでもない。
ハーブエキス入り石けんは、瞬く間に領民の間で人気になり、手洗いの習慣がついて病気になる人が減っていった。
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