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婚約破棄、大いに結構
四話 新しい居場所
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カイルと名乗る青年に連れられ、私は夜の街を歩いていた。
王都はすでに静まり返り、灯りの消えた貴族街を抜けると、徐々に活気のある区域へと入る。貴族たちの暮らす華やかな街並みとは違い、ここは労働者や商人が多く集まる場所なのだろう。居酒屋からは賑やかな笑い声が聞こえ、道端では子どもたちが駆け回っている。
(こんな場所、今まで来たことなかったな……)
私は、公爵家の令嬢として決められた場所以外には出歩いたことがなかった。だから、こうして庶民の暮らしを目の当たりにするのは新鮮だった。
「お前、こういう場所に来たことないだろ」
「ええ、まあ」
「だろうな。見たところ、お嬢様育ちって感じだし」
「……皮肉ですか?」
「いや、事実を言っただけさ」
彼は軽く笑いながら、路地裏の小さな建物の前で足を止めた。
「着いたぞ」
木造の二階建ての建物。貴族の屋敷と比べればずっと質素だけれど、手入れは行き届いている。扉を開けると、中には数人の人影があった。
「お、カイル! 遅かったな!」
陽気な声が響く。金髪に褐色の肌の青年が、椅子に座ったまま手を振っていた。
「ちょっと寄り道してたんでな。新入りを連れてきた」
「新入り?」
彼の言葉に、室内の視線が一斉に私に向けられる。
そこには、さまざまな年齢や風貌の男女がいた。戦士のように鍛えられた体を持つ者もいれば、魔法使いらしいローブを着た者もいる。
「紹介する。こいつはセシリア」
カイルが簡潔に紹介すると、金髪の青年が目を丸くした。
「セシリアって……まさか、公爵家の?」
「今はただのセシリアだ」
私は静かに言った。
すると、金髪の青年は口笛を吹いた。
「へえ、貴族のお嬢様がこんなとこに来るとはね。何かワケありか?」
「察してください」
「まあ、事情はカイルから聞くとして……俺はレオン。よろしくな、お嬢さん」
彼は気さくに笑い、手を差し出してきた。私はその手を握り返す。
「……よろしくお願いします」
こうして私は、新しい世界に足を踏み入れた。
王都はすでに静まり返り、灯りの消えた貴族街を抜けると、徐々に活気のある区域へと入る。貴族たちの暮らす華やかな街並みとは違い、ここは労働者や商人が多く集まる場所なのだろう。居酒屋からは賑やかな笑い声が聞こえ、道端では子どもたちが駆け回っている。
(こんな場所、今まで来たことなかったな……)
私は、公爵家の令嬢として決められた場所以外には出歩いたことがなかった。だから、こうして庶民の暮らしを目の当たりにするのは新鮮だった。
「お前、こういう場所に来たことないだろ」
「ええ、まあ」
「だろうな。見たところ、お嬢様育ちって感じだし」
「……皮肉ですか?」
「いや、事実を言っただけさ」
彼は軽く笑いながら、路地裏の小さな建物の前で足を止めた。
「着いたぞ」
木造の二階建ての建物。貴族の屋敷と比べればずっと質素だけれど、手入れは行き届いている。扉を開けると、中には数人の人影があった。
「お、カイル! 遅かったな!」
陽気な声が響く。金髪に褐色の肌の青年が、椅子に座ったまま手を振っていた。
「ちょっと寄り道してたんでな。新入りを連れてきた」
「新入り?」
彼の言葉に、室内の視線が一斉に私に向けられる。
そこには、さまざまな年齢や風貌の男女がいた。戦士のように鍛えられた体を持つ者もいれば、魔法使いらしいローブを着た者もいる。
「紹介する。こいつはセシリア」
カイルが簡潔に紹介すると、金髪の青年が目を丸くした。
「セシリアって……まさか、公爵家の?」
「今はただのセシリアだ」
私は静かに言った。
すると、金髪の青年は口笛を吹いた。
「へえ、貴族のお嬢様がこんなとこに来るとはね。何かワケありか?」
「察してください」
「まあ、事情はカイルから聞くとして……俺はレオン。よろしくな、お嬢さん」
彼は気さくに笑い、手を差し出してきた。私はその手を握り返す。
「……よろしくお願いします」
こうして私は、新しい世界に足を踏み入れた。
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