婚約破棄されたので、隠していた力を解放します

ミィタソ

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婚約破棄、大いに結構

五話 ギルドという選択

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「さて、とりあえず座れよ」

 レオンに促され、私は室内の椅子に腰を下ろした。目の前には粗削りの木製テーブル。その上には簡素な食事が並び、皆が思い思いに酒を飲み、談笑している。

 ここが何の場所なのか、私はまだ聞いていなかった。

「……カイルさん、ここは一体?」

 私の問いに、カイルはニヤリと笑った。

「ここは”ギルド”だ」

「ギルド?」

「そうだ。“蒼狼の牙”って名の、まあいわゆる傭兵団ってやつだな」

 傭兵団。つまり、国や貴族の庇護を受けず、依頼を受けて戦う者たちの集団ということか。

(……なるほど)

 それなら、ここにいる人々が皆、鍛えられた体をしているのも納得だ。

 戦士、魔法使い、盗賊……彼らは皆、自らの力だけを頼りに生きているのだろう。

「貴族の令嬢には縁のない世界だろうがな」

 カイルがからかうように言う。

 確かに、その通りだ。貴族の娘である私は、護衛付きの安全な場所で育ち、剣も魔法も学ぶことを禁じられていた。……少なくとも、公には。

 私は静かに息をつくと、カイルを見つめた。

「私をここに連れてきたのは、どういう意図ですか?」

「簡単な話だ。お前、ここで生きてみる気はないか?」

「……」

「王宮に戻るつもりはないんだろ? それなら、ここで戦える力を身につけて、生きるのも悪くないぜ」

「……貴族だった私に、傭兵が務まると?」

「お前、魔力を抑えるのが下手だな」

 カイルはククッと笑った。

「初めてお前を見たときから気づいてた。相当な魔力を持ってるな?」

「……」

 私は無言になる。

 貴族の女性に魔法の訓練は不要――そう言われて育ったけれど、私は独学で魔法を学び、鍛え続けていた。

 誰にも気づかれぬよう、ひた隠しにしてきたつもりだったが……この男には、一目で見抜かれていたらしい。

「どうする? ここに残るなら、仕事は用意してやる」

「……」

 私は考えた。

 バートレイ公爵家には戻れない。王都にいても、婚約破棄された女として後ろ指をさされるだけ。

 なら――

「……分かりました。ここで生きてみます」

 私がそう告げると、カイルは満足げに笑った。
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