ホストと女医は診察室で

星野しずく

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ホストと女医は診察室で.23

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 しかし、慶子は聖夜に会わなくなって以来、何かがすっぽりと抜け落ちてしまったような空虚な気持ちを感じることが多くなった。

 仕事に追われている時はいい。

 だけど、ふとした時間の隙間に、聖夜と睦みあったあの日のことが鮮明に思い出され、胸が苦しくなるのだった。

 時間が経てば忘れる…。

 慶子はそう思って自分の気持ちをそれ以上深追いしないようにした。



 澄江から再び電話があったのは、お見合いをOKしてから一ヶ月ほど経った日曜の朝のことだった。

「日取りはね、来月の二週目の日曜になりそうなんだけど、慶子の都合はよさそう?ああ、それより先に、まだ写真も見てないわよね」

「写真は別にいいわよ。見ても見なくてもどうせ会わなくちゃならないんだから。わざわざ写真を見に家まで行く気もしないし」

「そんな…、じゃあ後でスマホに送るわよ。それと、相手の方は三上和希さん、二十三歳ですって」

「ええっ!そんなに若いのにお見合いするの?もしかしてすごく不細工とか」

「ううん、全然。写真で見る限り二枚目よ」

「二枚目って…。まあ、お母さんがそう言うなら大丈夫だと思うけど。っていうか、顔より年齢が気になるわ~。私、三十二だよ、大丈夫かな~」

「向こうさんはそんなこと承知で話を持ってきてるんだから気にすることないわよ」

「それはそうだけど、私の方が気になるよ」

「じゃあ、日取りが問題なければ早めに連絡ちょうだいね」

「わかった」



 慶子が電話を切るとすぐに画像が送られてきた。

「え、なにこれ?」

 慶子のスマホに送られてきたのは、なぜか聖夜そっくりの男性の画像だった。

 慶子は慌てて澄江に電話をかける。

「ちょっと、これが三上和希さんなの?」

「そうだけど、どうかしたの?」

 そう言われると実は最近ホストクラブに行ったことがあって、そこのホストの聖夜にすごく似ているなんて話をしなければならない。

 さらには、その聖夜と身体の関係があるなどといううことは言えるはずがなかった。

「う、ううん。ホントに二枚目だね」

「なによそれ…、じゃあ切るわね」



 電話が切れて、再びさっきの画像を確認する。

 どう見ても聖夜さんにしか見えないんだけど…。

 違うのは髪形と服装くらいだ。

 え~っと、これは一体どういうことだろう…。

 慶子は誰にも尋ねることが出来ない不可解な悩みを抱えることになってしまった。



「あ、そう言えば、お金返してない!」

 慶子は聖夜と会わないと決めて以来、できるだけホストクラブのことを考えないようにしてきた。

 そのせいでお金を返さなければいけないことまで、すっかり忘れていたのだった。

 しかし、店に行けば聖夜に会ってしまう可能性がある。

 どうしよう…、お金は返さなきゃいけないけど、聖夜さんには会いたくない…。

 でも返さないという選択肢はない。

 一か八かだけど、入り口のところにいる男の人に店長さんを呼んでもらって渡して、すぐに帰ってしまうしかない。

 結局ホストクラブ二回、そしてホテル二泊分の代金を払ってないのだ。

 そう言えば請求書も見ていないから、いったいいくらかかったのかも分からない。
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