24 / 67
ホストと女医は診察室で.24
しおりを挟む
しかし、全ての合計金額を知っているのは聖夜だけだ。
でも、聖夜に尋ねるわけにはいかないし、尋ねたとしてもちゃんと答えてはくれないだろうと何となく思う。
少し多いもしれないけれど、迷惑料も含めて50万くらい持っていけば足りるだろう。
慶子はそう決めると身支度を整えたが、店の営業時間は確か夕方の六時からだったことを思い出す。
焦ってるな~。
今はまだお昼前だ。
慶子はひどく落ち着かない気持ちのまま自宅で過ごす気になれず、いつものサロンの予約状況を調べた。
幸いまだ空きがある。
急いで昼一の時間に予約を入れた。
聖夜に会うかもしれないというだけで、慶子の気持ちはひどく乱される。
もうこんな気持ちになるのは今日を限りで終わりにしたい。
昼食を済ませ、サロンに行き家に帰ると四時をまわっていた。
六時まではまだ少し時間があるけれど、一刻も早くこの用事を済ませたいという気持ちが強すぎて、何も手につかない。
部屋の中をウロウロと歩きまわるうちに、ふと見合い相手である三上和希について調べてみようかと思いついた。
フェイスブックで検索してみると、運よく彼のページを見つけることが出来た。
今年の春大学を卒業し、家業のコンサルティング会社に入社とある。
さすがに最近の写真はまだないけれど、大学時代のものはたくさん見ることができた。
顔は確かに聖夜うりふたつだ。
だけど髪型や服装など全体的な雰囲気が聖夜のそれとは随分異なっている。
色で例えるなら聖夜は黒で和也は白というくらい違うのだ。
う~ん、でも他人のそら似のレベルじゃないくらいそっくりなんだけどな。
慶子はふと気づいた。
どうしてこんな簡単なことに気付かなかったのだろう。
そう、カルテを見ればいいのだ。
聖夜はクリニックに二度来ている。
早速一階に下りると、PCを立ち上げ電子カルテから三上という苗字を調べた。
三上という苗字の患者さんは何名かいたが、来院日と診察内容から名前が分かった。
三上孝輔だ。
だけど、フルネームが分かったからと言って和希と孝輔が兄弟であるという確証にはならない。
やはり本人に会って確かめるしかないのだ。
ふと時計を見ると五時半をまわっていた。
出来れば開店直後の早い時間に行きたい。
ナンバーワンの聖夜の出勤はもっと遅い時間だろう。
慶子は用意していたお金をバッグに入れると、聖夜の店に向かった。
店に着き入り口にいた若い店員に名前を告げ、店長を呼んで欲しいと伝えた。
「少々お待ちください」と言って、若い店員は店の中に入っていった。
よかった、これでやっとこの一件から解放される。
そう思って慶子は店長が来るのを今か今かと待っていた。
「やあ、先生久しぶり」
しかし、目の前に現れたのはこんな時間には絶対いるはずがないと思っていた聖夜だった。
でも、聖夜に尋ねるわけにはいかないし、尋ねたとしてもちゃんと答えてはくれないだろうと何となく思う。
少し多いもしれないけれど、迷惑料も含めて50万くらい持っていけば足りるだろう。
慶子はそう決めると身支度を整えたが、店の営業時間は確か夕方の六時からだったことを思い出す。
焦ってるな~。
今はまだお昼前だ。
慶子はひどく落ち着かない気持ちのまま自宅で過ごす気になれず、いつものサロンの予約状況を調べた。
幸いまだ空きがある。
急いで昼一の時間に予約を入れた。
聖夜に会うかもしれないというだけで、慶子の気持ちはひどく乱される。
もうこんな気持ちになるのは今日を限りで終わりにしたい。
昼食を済ませ、サロンに行き家に帰ると四時をまわっていた。
六時まではまだ少し時間があるけれど、一刻も早くこの用事を済ませたいという気持ちが強すぎて、何も手につかない。
部屋の中をウロウロと歩きまわるうちに、ふと見合い相手である三上和希について調べてみようかと思いついた。
フェイスブックで検索してみると、運よく彼のページを見つけることが出来た。
今年の春大学を卒業し、家業のコンサルティング会社に入社とある。
さすがに最近の写真はまだないけれど、大学時代のものはたくさん見ることができた。
顔は確かに聖夜うりふたつだ。
だけど髪型や服装など全体的な雰囲気が聖夜のそれとは随分異なっている。
色で例えるなら聖夜は黒で和也は白というくらい違うのだ。
う~ん、でも他人のそら似のレベルじゃないくらいそっくりなんだけどな。
慶子はふと気づいた。
どうしてこんな簡単なことに気付かなかったのだろう。
そう、カルテを見ればいいのだ。
聖夜はクリニックに二度来ている。
早速一階に下りると、PCを立ち上げ電子カルテから三上という苗字を調べた。
三上という苗字の患者さんは何名かいたが、来院日と診察内容から名前が分かった。
三上孝輔だ。
だけど、フルネームが分かったからと言って和希と孝輔が兄弟であるという確証にはならない。
やはり本人に会って確かめるしかないのだ。
ふと時計を見ると五時半をまわっていた。
出来れば開店直後の早い時間に行きたい。
ナンバーワンの聖夜の出勤はもっと遅い時間だろう。
慶子は用意していたお金をバッグに入れると、聖夜の店に向かった。
店に着き入り口にいた若い店員に名前を告げ、店長を呼んで欲しいと伝えた。
「少々お待ちください」と言って、若い店員は店の中に入っていった。
よかった、これでやっとこの一件から解放される。
そう思って慶子は店長が来るのを今か今かと待っていた。
「やあ、先生久しぶり」
しかし、目の前に現れたのはこんな時間には絶対いるはずがないと思っていた聖夜だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる