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第一部
22.
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七代目国王は自分の顔に強烈なコンプレックスを持ち、我が子には美しい容姿をと望んだ。
結果国一番の美女を王妃にしたのだが、女優出身だった為眉を顰める者も多かったらしい。
それを庇う為か、気に乗じたのか知らないが未婚の高位貴族も何名かが平民やそれに近い立場の美女を妻に迎えたという話だ。
結果、王家もその貴族たちの家も美形が生まれやすくなったとか。
これは漫画内でケビンがエリカの身分を庇う為に語った内容で、念の為図書室で確認したらきちんと事実だった。
女優もメイドもそのまま結婚した訳ではなく別の貴族の養子にしてから結婚したらしいけれど。
「子供たちが王族と関わる前に軌道修正できそうで良かったわ。王族の前で平民の血がどうとか言い出したらどうなったか……」
国一番の美人女優とはいえ平民は平民だ。ついでに他家の貴族の中にも当時メイドと結婚した者はそれなりにいた。
オルソン伯爵はそのことを知っていたから平然とエリカを売り込んだのかはわからない。
「王家にも平民の血が流れているのに平民を馬鹿にしたり……公爵家を失言で没落させたいのかしら?」
「だ、だって今は貴族同士の婚姻が主流じゃない!」
「今も昔もそうよ、でもわざわざ平民を過度に見下すよう教育する必要は無い」
「他の貴族だって同じように平民を見下しているわよ!」
「なら公爵様や王族の前で言ってみる? 平民の血が流れている貴方たちは下賤だと」
子供のような屁理屈を言っていたマーベラ夫人はようやく黙った。
彼女は老いたせいで逆に幼稚になったのか、元々こういう人格なのかはわからない。
ただ家庭教師という職業には相応しくない、それだけは確かだった。
「王弟や第二王子が御健在なのに弟は兄の奴隷だと教えたり……貴方の教育は余計なことでしか無いのよ」
「そ、それは……」
「もし彼らの前で貴方が可愛がっているレオ坊ちゃまがそのような発言をしたらどんな罰を受けると思う?」
漫画内では第一王子は第二王子を弟として可愛がっている。
そして王子たちとケビンは交流がある。何なら二人がケビンとエリカの再婚を仕組んだ。
ついでに「一輪の花は氷を溶かす」の中で王子たちがお忍びで公爵邸に遊びに来る会もある。
子供たちにお菓子や玩具を大量にプレゼントして即懐かれていた。
第一王子たちの前でレオが弟は奴隷発言をしたら確実に場の空気は凍り付くだろう。
そして温厚に見えて腹に一物あるタイプの第一王子はレオの発言を絶対許さない。
「貴方の失言の責任は貴方だけでは負い切れないの。子供たちの人生も狂わせるのよ」
私がそう言うとマーベラ夫人は唇を噛みしめた。
(これで少しは大人しくなるかしら)
私は彼女の様子を観察しながら思う。
叶うなら自業自得だと納得して逆恨みもせず大人しく公爵邸から退去して欲しい。
しかしその目論見が甘かったとすぐ知る。
「……貴方は何も知らないからそんな綺麗事が言えるのよ」
先程に比べれば静かだが憎悪が隠しきれない声でマーベラ夫人が言った。
「貴方みたいになるくらいなら無知なままで居たいわね」
呆れながら言い返す。マーベラ夫人は私を睨みつけた。
「兄弟を平等に扱ったら弟が立場を弁えなくなるのよ、そして兄より自分の方がと……その結果公爵家が潰れそうになったら貴方は責任が取れるの?」
「もし潰れるとしても責任を取るのは公爵様でしょうね」
「っ、無責任な女ね!貴族の妻としての誇りはないの?!」
「メイドの娘ですから」
私はにっこりと返す。小馬鹿にされたと思ったのかマーベラ夫人は噴火しそうな様子だった。
結果国一番の美女を王妃にしたのだが、女優出身だった為眉を顰める者も多かったらしい。
それを庇う為か、気に乗じたのか知らないが未婚の高位貴族も何名かが平民やそれに近い立場の美女を妻に迎えたという話だ。
結果、王家もその貴族たちの家も美形が生まれやすくなったとか。
これは漫画内でケビンがエリカの身分を庇う為に語った内容で、念の為図書室で確認したらきちんと事実だった。
女優もメイドもそのまま結婚した訳ではなく別の貴族の養子にしてから結婚したらしいけれど。
「子供たちが王族と関わる前に軌道修正できそうで良かったわ。王族の前で平民の血がどうとか言い出したらどうなったか……」
国一番の美人女優とはいえ平民は平民だ。ついでに他家の貴族の中にも当時メイドと結婚した者はそれなりにいた。
オルソン伯爵はそのことを知っていたから平然とエリカを売り込んだのかはわからない。
「王家にも平民の血が流れているのに平民を馬鹿にしたり……公爵家を失言で没落させたいのかしら?」
「だ、だって今は貴族同士の婚姻が主流じゃない!」
「今も昔もそうよ、でもわざわざ平民を過度に見下すよう教育する必要は無い」
「他の貴族だって同じように平民を見下しているわよ!」
「なら公爵様や王族の前で言ってみる? 平民の血が流れている貴方たちは下賤だと」
子供のような屁理屈を言っていたマーベラ夫人はようやく黙った。
彼女は老いたせいで逆に幼稚になったのか、元々こういう人格なのかはわからない。
ただ家庭教師という職業には相応しくない、それだけは確かだった。
「王弟や第二王子が御健在なのに弟は兄の奴隷だと教えたり……貴方の教育は余計なことでしか無いのよ」
「そ、それは……」
「もし彼らの前で貴方が可愛がっているレオ坊ちゃまがそのような発言をしたらどんな罰を受けると思う?」
漫画内では第一王子は第二王子を弟として可愛がっている。
そして王子たちとケビンは交流がある。何なら二人がケビンとエリカの再婚を仕組んだ。
ついでに「一輪の花は氷を溶かす」の中で王子たちがお忍びで公爵邸に遊びに来る会もある。
子供たちにお菓子や玩具を大量にプレゼントして即懐かれていた。
第一王子たちの前でレオが弟は奴隷発言をしたら確実に場の空気は凍り付くだろう。
そして温厚に見えて腹に一物あるタイプの第一王子はレオの発言を絶対許さない。
「貴方の失言の責任は貴方だけでは負い切れないの。子供たちの人生も狂わせるのよ」
私がそう言うとマーベラ夫人は唇を噛みしめた。
(これで少しは大人しくなるかしら)
私は彼女の様子を観察しながら思う。
叶うなら自業自得だと納得して逆恨みもせず大人しく公爵邸から退去して欲しい。
しかしその目論見が甘かったとすぐ知る。
「……貴方は何も知らないからそんな綺麗事が言えるのよ」
先程に比べれば静かだが憎悪が隠しきれない声でマーベラ夫人が言った。
「貴方みたいになるくらいなら無知なままで居たいわね」
呆れながら言い返す。マーベラ夫人は私を睨みつけた。
「兄弟を平等に扱ったら弟が立場を弁えなくなるのよ、そして兄より自分の方がと……その結果公爵家が潰れそうになったら貴方は責任が取れるの?」
「もし潰れるとしても責任を取るのは公爵様でしょうね」
「っ、無責任な女ね!貴族の妻としての誇りはないの?!」
「メイドの娘ですから」
私はにっこりと返す。小馬鹿にされたと思ったのかマーベラ夫人は噴火しそうな様子だった。
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