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第一部
36.
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この国の第二王子クリスはケビンの悪友というポジションだ。
リリーしか頭に無いケビンを再婚させた元凶でもある。
(そして最終回で唐突にレインと結婚していた男)
彼はそろそろ結婚をとせっつかれた結果「あのケビンが再婚したら自分も結婚を考えてもいい」という傍迷惑な言動をする。
結果ケビンは渋々再婚することになる。離婚しやすい悪女と噂の娘を選んで。
漫画内ではケビンに文句を言われる度に「だってまだ気楽な独身を楽しみたかったんだよ、ごめんごめん」とかヘラヘラ謝っていた。
その癖最終回では当たり前のようにレインと結婚していたから妙ではあったのだ。
確かにケビンが再婚したのだからクリスも結婚していないとおかしい。しかし何故その相手がレインなのかと。
前世ではそのことについて何というか在庫一斉セールのような気持を抱いた。
でもクリスがずっとレインのことを好きで彼女を振り向かせたいと思っていたなら印象は変わる。
彼にケビンを再婚させることでレインに恋を諦めさせる目的があったなら。
そこまで考えて首を傾げる。
(ケビンに対し王族の権限で無理やり再婚させたなら、それこそレインとも強引に結婚すれば良くない?)
それだとレインの心までは手に入らないから嫌だったのかもしれないが、だったら熱心に口説いて振り向かせろと思った。
ただこれは全部私の予想だ。妄想の域かもしれない。
でもクリスのことは漫画の時から好きになれないのは確かだった。
気さくさアピールしつつ好き勝手する権力者程胡散臭いものはない。
それとケビンと仲良いアピールをしていたが、本当に友人想いなら強引に再婚させないと思うのだ。
原作のエリカは奇跡のような相性の良さでケビンに溺愛されることになったが、それ以外だったらギスギスした政略結婚にしかならない。
今の私とケビンの様に。
私はレインに対し口を開いた。
「レイン先生は公爵様が何故再婚したか理由を考えたことはありますか?」
彼女は少しだけ驚いた顔をした後、静かに頷いた。
「考えたことはあるよ、でもわからなかったな。子供たちの母親代わりが欲しいのかとは思ったけれど……」
私からレオとロンのことを聞いて今は違うと思っているのだろう。
子供たちのことを考える余地などケビンの脳にはきっと無い。
「私は公爵様より上の立場の人間に命令されたからだと思います」
「公爵より上の立場の人間に……?」
「あくまで予想だし不敬になりかねないので断定は致しません。名前も出せません。ただレイン先生も気を付けてください」
「私?」
不思議そうな顔でレインが聞き返す。私は頷いた。
「その条件に合う立場の人間に私とケビン様についてデタラメを言われても信じないでください」
「デタラメってたとえば?」
「ケビン様が私の事を好きだとか溺愛しているとかそういう、簡単に言うとレイン先生を嫉妬させる目的のデタラメです」
「嫉妬って……二人は夫婦なのだし」
「離婚が目的の形だけ夫婦です。なので嫉妬は不要ですし、そんな嘘を吹き込んでくる相手には警戒して下さい」
「うーん、取り合えず注意はしてみるけれど……その人物は何故私にそんな嘘を?」
戸惑った顔でレインに質問される。私は少し考えて言った。
「レイン先生の心を操りたいのだと思います」
「私の心を……?」
「私の予想が合っていればレイン先生に愛されるのが目的だと思いますが、その為なら貴方含め他人の心や人生が傷ついても構わないと考える男です」
もしクリス王子が原作レインの闇落ちを扇動していたなら作中でも最悪さが最上位の人物だ。
確かに「一輪の花は氷を溶かす」の登場人物は自分が好意を持つ人間以外には辛辣なキャラが多いが、その中でも頭一つ以上抜けている。
キャラ紹介で意外と腹黒な王子様とは書かれていたがそんなレベルでは無い。真っ黒だ。
(もし本当にクリスが避妊薬事件の黒幕だったなら……レイン、今回はあの男に捕まらないと良いわね)
私は顔を青くするレインに対し心でエールを送った。
ただ警戒しなければいけないのは私の方も同じだ。
クリスが私のことに対し有る事無い事を吹き込みやすいのは友人のケビン相手でもそうだ。
ケビンは間もなく王都に出立する、漫画では王都到着後クリスに呼び出されて仲良くワインを飲むシーンがある。
そしてエリカとの新婚生活について色々質問されるのだ。
そんなクリスに対しケビンは「俺はリリー以外愛するつもりはない」と答える。
けれどクリスは優しく笑って言う。 「リリーだって君が幸せになるのを望んでいると思うよ」と。
原作ではお騒がせ王子クリスが友人想いな一面を見せる良いシーンに思えたが。
(レインの話を聞く限りリリーってそんな性格だとは思えないのよね……)
クリスも私と同じでリリーの名前を使えばケビンをある程度コントロールできると思っているのかもしれない。
(そういえば出立前にケビンにホルガーについて色々話さなきゃ駄目だった)
そろそろホルガーはケビンへの手紙を書き終えただろうか。
私はレインに家令の様子を見に行きたいと伝えた。
リリーしか頭に無いケビンを再婚させた元凶でもある。
(そして最終回で唐突にレインと結婚していた男)
彼はそろそろ結婚をとせっつかれた結果「あのケビンが再婚したら自分も結婚を考えてもいい」という傍迷惑な言動をする。
結果ケビンは渋々再婚することになる。離婚しやすい悪女と噂の娘を選んで。
漫画内ではケビンに文句を言われる度に「だってまだ気楽な独身を楽しみたかったんだよ、ごめんごめん」とかヘラヘラ謝っていた。
その癖最終回では当たり前のようにレインと結婚していたから妙ではあったのだ。
確かにケビンが再婚したのだからクリスも結婚していないとおかしい。しかし何故その相手がレインなのかと。
前世ではそのことについて何というか在庫一斉セールのような気持を抱いた。
でもクリスがずっとレインのことを好きで彼女を振り向かせたいと思っていたなら印象は変わる。
彼にケビンを再婚させることでレインに恋を諦めさせる目的があったなら。
そこまで考えて首を傾げる。
(ケビンに対し王族の権限で無理やり再婚させたなら、それこそレインとも強引に結婚すれば良くない?)
それだとレインの心までは手に入らないから嫌だったのかもしれないが、だったら熱心に口説いて振り向かせろと思った。
ただこれは全部私の予想だ。妄想の域かもしれない。
でもクリスのことは漫画の時から好きになれないのは確かだった。
気さくさアピールしつつ好き勝手する権力者程胡散臭いものはない。
それとケビンと仲良いアピールをしていたが、本当に友人想いなら強引に再婚させないと思うのだ。
原作のエリカは奇跡のような相性の良さでケビンに溺愛されることになったが、それ以外だったらギスギスした政略結婚にしかならない。
今の私とケビンの様に。
私はレインに対し口を開いた。
「レイン先生は公爵様が何故再婚したか理由を考えたことはありますか?」
彼女は少しだけ驚いた顔をした後、静かに頷いた。
「考えたことはあるよ、でもわからなかったな。子供たちの母親代わりが欲しいのかとは思ったけれど……」
私からレオとロンのことを聞いて今は違うと思っているのだろう。
子供たちのことを考える余地などケビンの脳にはきっと無い。
「私は公爵様より上の立場の人間に命令されたからだと思います」
「公爵より上の立場の人間に……?」
「あくまで予想だし不敬になりかねないので断定は致しません。名前も出せません。ただレイン先生も気を付けてください」
「私?」
不思議そうな顔でレインが聞き返す。私は頷いた。
「その条件に合う立場の人間に私とケビン様についてデタラメを言われても信じないでください」
「デタラメってたとえば?」
「ケビン様が私の事を好きだとか溺愛しているとかそういう、簡単に言うとレイン先生を嫉妬させる目的のデタラメです」
「嫉妬って……二人は夫婦なのだし」
「離婚が目的の形だけ夫婦です。なので嫉妬は不要ですし、そんな嘘を吹き込んでくる相手には警戒して下さい」
「うーん、取り合えず注意はしてみるけれど……その人物は何故私にそんな嘘を?」
戸惑った顔でレインに質問される。私は少し考えて言った。
「レイン先生の心を操りたいのだと思います」
「私の心を……?」
「私の予想が合っていればレイン先生に愛されるのが目的だと思いますが、その為なら貴方含め他人の心や人生が傷ついても構わないと考える男です」
もしクリス王子が原作レインの闇落ちを扇動していたなら作中でも最悪さが最上位の人物だ。
確かに「一輪の花は氷を溶かす」の登場人物は自分が好意を持つ人間以外には辛辣なキャラが多いが、その中でも頭一つ以上抜けている。
キャラ紹介で意外と腹黒な王子様とは書かれていたがそんなレベルでは無い。真っ黒だ。
(もし本当にクリスが避妊薬事件の黒幕だったなら……レイン、今回はあの男に捕まらないと良いわね)
私は顔を青くするレインに対し心でエールを送った。
ただ警戒しなければいけないのは私の方も同じだ。
クリスが私のことに対し有る事無い事を吹き込みやすいのは友人のケビン相手でもそうだ。
ケビンは間もなく王都に出立する、漫画では王都到着後クリスに呼び出されて仲良くワインを飲むシーンがある。
そしてエリカとの新婚生活について色々質問されるのだ。
そんなクリスに対しケビンは「俺はリリー以外愛するつもりはない」と答える。
けれどクリスは優しく笑って言う。 「リリーだって君が幸せになるのを望んでいると思うよ」と。
原作ではお騒がせ王子クリスが友人想いな一面を見せる良いシーンに思えたが。
(レインの話を聞く限りリリーってそんな性格だとは思えないのよね……)
クリスも私と同じでリリーの名前を使えばケビンをある程度コントロールできると思っているのかもしれない。
(そういえば出立前にケビンにホルガーについて色々話さなきゃ駄目だった)
そろそろホルガーはケビンへの手紙を書き終えただろうか。
私はレインに家令の様子を見に行きたいと伝えた。
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