35 / 106
第一部
35.
しおりを挟む
ケビンも弟のアルヴァもリリーに夢中だった。
レインはケビンや婚約者のアルヴァに蔑ろにされるのに耐えられなくなった結果男装した。
すると何故かリリーはレインに関心を向けスキンシップを摂るようになった。
結果ケビンはレインに嫉妬し、そのことにレインは快楽を抱くようになった。
雑に纏めたけれど色々な意味で酷い。酷くない部分が無い。
ただレインに聞いた四人の関係性で閃いたことがある。
原作でレインがエリカに対してセクハラキャラとなっていた理由だ。
(あの時もケビンはセクハラするレインに対し敵意を見せ睨みつけていた)
ケビンなので同性間でもセクハラは良くないという義憤からで無いのはわかっている。
きっとエリカへの独占欲と嫉妬でレインを睨みつけていたのだ。リリーが居た時のように。
つまりレインはエリカに対しやたら距離を近くすることで、独占欲の強いケビンに嫉妬させるのが目的だった。
原作のケビンは息子たちとエリカを取り合うような男だ。レインがエリカと同性だと知っていても嫉妬するだろう。
だからケビンの溺愛対象になっていない今の私にはレインは比較的まともな距離感を取るのだろう。
この推理が事実かを確認することは出来ない。
私がケビンに恋愛的な意味で関心を持たれ独占欲を抱かれるという条件が必要だからだ。
クリア出来る気がしないし、したいとも思わない。
まさかレインの闇落ちを阻止しようとした結果セクハラも止められるとは思わなかった。
レインの医師としての能力は私のアベニウス公爵家での暮らしの役に立つだろうし、良好な関係を築けるなら何よりだ。
せめて離婚が成立して私が第二の人生を歩き始めるまではレインと仲良くできたら良い。
私と親しくしてもケビンに嫉妬させることが出来ないのでレインの性癖を満足させることは出来ないけれど。
(私はリリーみたいにレインを疑似彼氏みたく扱う気も無いし……)
そこまで考えて、思考につまずきを覚える。
リリーと原作のエリカ、レインはどちらとも親しくしてケビンに嫉妬されている。ここまではいい。
そしてリリーはケビンと結婚して子供を二人も出産している。
けれど原作ではエリカに対しレインは避妊薬を強引に飲ませようとして失敗した。つまり妊娠させたくなかったのだ。
何故ケビンが愛した女性二人に対し対応に差をつけるのか。私は疑問を口に出す。
「……レイン先生、変な質問をしても宜しいでしょうか?」
「えっ、少し怖いけれど……どうぞ」
「貴方は前公爵夫人が妊娠した時どう思われましたか」
私が質問するとレインは目を丸くする。その後も戸惑った表情を浮かべただけだった。
演技かもしれないが、そこには憎悪や嫉妬と言う感情は見つけられない。
原作のエリカに対してはケビンの子供を産むことをあれ程までに嫌がったのに。
「医者としては、母体の健康状態を考えれば推奨は出来ない。リリーは昔から虚弱で体力が本当に無くて散歩に車椅子を使う時だって多かったからね」
「車椅子……」
リリーがそこまで体が弱かったとは知らなかった。
なのに二人も子供を産んだのはある意味凄いと思う。ただ、結果としてリリーは亡くなってしまった。
「ただ……どうしても愛する人の子供を産みたい、公爵夫人としての義務を果たしたいと言われれば止めることは出来ないだろう」
彼女の妊娠と出産については私は部外者だったけれど。レインは寂しそうに笑った。
「なら万が一、絶対嫌ですけれど……私がケビン様の子供を妊娠したらどう思いますか?」
「君が、ケビンの子供を……?」
私はレインの表情をじっと観察する。先程リリーに対して質問した時と差異はあまり感じられなかった。
嫉妬も憎悪も無い。確かに私に対してのレインの印象は原作とは違うけれど、ケビンに対しての恋慕は同じ筈なのに。
「望まない妊娠なら、時期が早ければ堕胎という選択肢もあるだろうけれど……私は積極的に推奨は出来ないな。健康上でも、それ以外でも」
「つまり産んだ方が良いということですか?」
「そうだね、養子に出すという手段もあるけれど二人は戸籍的には正式な夫婦だから難しそうだ」
「では……もし私とケビン様が子供が必要だと判断して出産する場合は?」
「それは……二人の判断に任せるとしか。アベニウス公爵家の夫婦計画に口を出せる立場では無いし」
「わかりました。私は絶対ケビン様の子供を妊娠したくないので対策を頑張りたいと思います」
私はレインにそう答える。頭の中では別の事を考えていた。
「そう……まあ、出来る限りの協力はさせて貰うよ」
複雑な笑みで彼女は言う。
やっぱり今のレインに原作レインの愛憎交じりの狂気は感じられない。
違う、原作のレインも途中から急におかしくなったのだ。
エリカにベタベタしてケビンに嫉妬されるのを面白がっていたのに、急にケビンとエリカの仲を否定し始めた。
最初はエリカとケビンが愛の無い結婚だと思っていたのに二人が両想いなことに気付き、破滅させようとしたのだと思った。
けれどレインがケビンに嫉妬されることを求めて、最初からエリカと親密にしていたなら話は別だ。
(漫画のレインは急に暴走した……いや、暴走させられた可能性があるわね)
私はある人物の顔を思い浮かべた。
レインはケビンや婚約者のアルヴァに蔑ろにされるのに耐えられなくなった結果男装した。
すると何故かリリーはレインに関心を向けスキンシップを摂るようになった。
結果ケビンはレインに嫉妬し、そのことにレインは快楽を抱くようになった。
雑に纏めたけれど色々な意味で酷い。酷くない部分が無い。
ただレインに聞いた四人の関係性で閃いたことがある。
原作でレインがエリカに対してセクハラキャラとなっていた理由だ。
(あの時もケビンはセクハラするレインに対し敵意を見せ睨みつけていた)
ケビンなので同性間でもセクハラは良くないという義憤からで無いのはわかっている。
きっとエリカへの独占欲と嫉妬でレインを睨みつけていたのだ。リリーが居た時のように。
つまりレインはエリカに対しやたら距離を近くすることで、独占欲の強いケビンに嫉妬させるのが目的だった。
原作のケビンは息子たちとエリカを取り合うような男だ。レインがエリカと同性だと知っていても嫉妬するだろう。
だからケビンの溺愛対象になっていない今の私にはレインは比較的まともな距離感を取るのだろう。
この推理が事実かを確認することは出来ない。
私がケビンに恋愛的な意味で関心を持たれ独占欲を抱かれるという条件が必要だからだ。
クリア出来る気がしないし、したいとも思わない。
まさかレインの闇落ちを阻止しようとした結果セクハラも止められるとは思わなかった。
レインの医師としての能力は私のアベニウス公爵家での暮らしの役に立つだろうし、良好な関係を築けるなら何よりだ。
せめて離婚が成立して私が第二の人生を歩き始めるまではレインと仲良くできたら良い。
私と親しくしてもケビンに嫉妬させることが出来ないのでレインの性癖を満足させることは出来ないけれど。
(私はリリーみたいにレインを疑似彼氏みたく扱う気も無いし……)
そこまで考えて、思考につまずきを覚える。
リリーと原作のエリカ、レインはどちらとも親しくしてケビンに嫉妬されている。ここまではいい。
そしてリリーはケビンと結婚して子供を二人も出産している。
けれど原作ではエリカに対しレインは避妊薬を強引に飲ませようとして失敗した。つまり妊娠させたくなかったのだ。
何故ケビンが愛した女性二人に対し対応に差をつけるのか。私は疑問を口に出す。
「……レイン先生、変な質問をしても宜しいでしょうか?」
「えっ、少し怖いけれど……どうぞ」
「貴方は前公爵夫人が妊娠した時どう思われましたか」
私が質問するとレインは目を丸くする。その後も戸惑った表情を浮かべただけだった。
演技かもしれないが、そこには憎悪や嫉妬と言う感情は見つけられない。
原作のエリカに対してはケビンの子供を産むことをあれ程までに嫌がったのに。
「医者としては、母体の健康状態を考えれば推奨は出来ない。リリーは昔から虚弱で体力が本当に無くて散歩に車椅子を使う時だって多かったからね」
「車椅子……」
リリーがそこまで体が弱かったとは知らなかった。
なのに二人も子供を産んだのはある意味凄いと思う。ただ、結果としてリリーは亡くなってしまった。
「ただ……どうしても愛する人の子供を産みたい、公爵夫人としての義務を果たしたいと言われれば止めることは出来ないだろう」
彼女の妊娠と出産については私は部外者だったけれど。レインは寂しそうに笑った。
「なら万が一、絶対嫌ですけれど……私がケビン様の子供を妊娠したらどう思いますか?」
「君が、ケビンの子供を……?」
私はレインの表情をじっと観察する。先程リリーに対して質問した時と差異はあまり感じられなかった。
嫉妬も憎悪も無い。確かに私に対してのレインの印象は原作とは違うけれど、ケビンに対しての恋慕は同じ筈なのに。
「望まない妊娠なら、時期が早ければ堕胎という選択肢もあるだろうけれど……私は積極的に推奨は出来ないな。健康上でも、それ以外でも」
「つまり産んだ方が良いということですか?」
「そうだね、養子に出すという手段もあるけれど二人は戸籍的には正式な夫婦だから難しそうだ」
「では……もし私とケビン様が子供が必要だと判断して出産する場合は?」
「それは……二人の判断に任せるとしか。アベニウス公爵家の夫婦計画に口を出せる立場では無いし」
「わかりました。私は絶対ケビン様の子供を妊娠したくないので対策を頑張りたいと思います」
私はレインにそう答える。頭の中では別の事を考えていた。
「そう……まあ、出来る限りの協力はさせて貰うよ」
複雑な笑みで彼女は言う。
やっぱり今のレインに原作レインの愛憎交じりの狂気は感じられない。
違う、原作のレインも途中から急におかしくなったのだ。
エリカにベタベタしてケビンに嫉妬されるのを面白がっていたのに、急にケビンとエリカの仲を否定し始めた。
最初はエリカとケビンが愛の無い結婚だと思っていたのに二人が両想いなことに気付き、破滅させようとしたのだと思った。
けれどレインがケビンに嫉妬されることを求めて、最初からエリカと親密にしていたなら話は別だ。
(漫画のレインは急に暴走した……いや、暴走させられた可能性があるわね)
私はある人物の顔を思い浮かべた。
1,673
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
私は彼に選ばれなかった令嬢。なら、自分の思う通りに生きますわ
みゅー
恋愛
私の名前はアレクサンドラ・デュカス。
婚約者の座は得たのに、愛されたのは別の令嬢。社交界の噂に翻弄され、命の危険にさらされ絶望の淵で私は前世の記憶を思い出した。
これは、誰かに決められた物語。ならば私は、自分の手で運命を変える。
愛も権力も裏切りも、すべて巻き込み、私は私の道を生きてみせる。
毎日20時30分に投稿
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
頑張らない政略結婚
ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」
結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。
好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。
ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ!
五話完結、毎日更新
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる
千環
恋愛
第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。
なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を助けようとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる