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第一章
第2話:嘘偽り
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「正直に申し上げますと、力不足を反省しております。
責任をとって死を選ぼうかとも思いましたが、それでは守護神様の怒りを買ってしまう恐れがあり、簡単に死を選ぶこともできません。
ですが、悪魔のダンジョンを修行の場とし、そこで修業中に死ぬのなら、守護神様も王家王国に天罰を下されないと思ったのです」
私のはったりに、王太子が真っ青になって震えています。
元々憶病で有名な根性なしですから、少し脅せば震えあがります。
ですが、我が義妹ポーラは鼻で笑っていますね。
身体を張って男を騙して成り上がって来た母親を見て育っています。
この程度の言葉に怖がるはずもないですし、そもそも神を信じていないでしょう。
信じていれば、聖女の私を陥れ、自ら聖女になろうとは考えないです。
「聖女リリア殿、しかし、修行中に死んだら天罰が下らないというのは本当なのか?
もし確信がないのなら、危険な真似は止めてもらいたいのだが」
王太子の取り巻きの一人が、我が身大事で質問してきた。
歯の根もあわないほど震えている王太子よりは根性があるようですが、それでも顔が真っ青ですし、言葉にも恐れが籠っています。
この国では、いえ、この大陸では神と人間の距離が近いのです。
数年前にも、守護神の怒りを買って滅ぼされた国があります。
それを知っていて、私を聖女の座から引きずり降ろそうなんて、王太子の馬鹿さ加減は振り切っています。
「それはやってみなければ分かりませんが、私を処刑したり幽閉するよりは安全ではありませんか?
私に何も与えずにで追放してしまったら、野垂れ死にするのは確実です。
それこそ天罰が下るのではありませんか?」
王太子の取り巻きの表情が更に悪くなりました。
王太子の震えが一層激しくなり、今にもこの場から逃げ出しそうですが、義妹のポーラにガッチリ肩を掴まれているので、逃げるに逃げられなくなっています。
そのポーラが射るような眼で私を睨みつけています。
敵意を全開にしているのは、私に交渉で負けるのが我慢ならないのでしょう。
「ですが王太子殿下、私の無能を理由に婚約破棄と聖女剥奪を断行されるのですから、褒美に領地を与える事も金銀を与える事もできないのではありませんか?
このような状況で、天罰を避けようとすれば、他に方法がありません。
どうでしょうか、お慈悲で悪魔のダンジョンを隠居領にいただけませんか?」
「駄目よ、絶対に駄目!
お義姉様は無能だから婚約を破棄され、聖女の位を剥奪され、王都から追放されるのよ、それなのに隠居領が欲しいなんて、強欲にもほどがあるわ。
とっととこの国から出て行ってください、お義姉様!」
何か嫌な予感がしたのでしょう。
いえ、私が悪魔のダンジョンを使って報復すると気が付いたのかもしれません。
そういう野生の勘は鋭いのでしょうね。
仕方ありません、聖女の役目から解放された事で満足しましょう。
責任をとって死を選ぼうかとも思いましたが、それでは守護神様の怒りを買ってしまう恐れがあり、簡単に死を選ぶこともできません。
ですが、悪魔のダンジョンを修行の場とし、そこで修業中に死ぬのなら、守護神様も王家王国に天罰を下されないと思ったのです」
私のはったりに、王太子が真っ青になって震えています。
元々憶病で有名な根性なしですから、少し脅せば震えあがります。
ですが、我が義妹ポーラは鼻で笑っていますね。
身体を張って男を騙して成り上がって来た母親を見て育っています。
この程度の言葉に怖がるはずもないですし、そもそも神を信じていないでしょう。
信じていれば、聖女の私を陥れ、自ら聖女になろうとは考えないです。
「聖女リリア殿、しかし、修行中に死んだら天罰が下らないというのは本当なのか?
もし確信がないのなら、危険な真似は止めてもらいたいのだが」
王太子の取り巻きの一人が、我が身大事で質問してきた。
歯の根もあわないほど震えている王太子よりは根性があるようですが、それでも顔が真っ青ですし、言葉にも恐れが籠っています。
この国では、いえ、この大陸では神と人間の距離が近いのです。
数年前にも、守護神の怒りを買って滅ぼされた国があります。
それを知っていて、私を聖女の座から引きずり降ろそうなんて、王太子の馬鹿さ加減は振り切っています。
「それはやってみなければ分かりませんが、私を処刑したり幽閉するよりは安全ではありませんか?
私に何も与えずにで追放してしまったら、野垂れ死にするのは確実です。
それこそ天罰が下るのではありませんか?」
王太子の取り巻きの表情が更に悪くなりました。
王太子の震えが一層激しくなり、今にもこの場から逃げ出しそうですが、義妹のポーラにガッチリ肩を掴まれているので、逃げるに逃げられなくなっています。
そのポーラが射るような眼で私を睨みつけています。
敵意を全開にしているのは、私に交渉で負けるのが我慢ならないのでしょう。
「ですが王太子殿下、私の無能を理由に婚約破棄と聖女剥奪を断行されるのですから、褒美に領地を与える事も金銀を与える事もできないのではありませんか?
このような状況で、天罰を避けようとすれば、他に方法がありません。
どうでしょうか、お慈悲で悪魔のダンジョンを隠居領にいただけませんか?」
「駄目よ、絶対に駄目!
お義姉様は無能だから婚約を破棄され、聖女の位を剥奪され、王都から追放されるのよ、それなのに隠居領が欲しいなんて、強欲にもほどがあるわ。
とっととこの国から出て行ってください、お義姉様!」
何か嫌な予感がしたのでしょう。
いえ、私が悪魔のダンジョンを使って報復すると気が付いたのかもしれません。
そういう野生の勘は鋭いのでしょうね。
仕方ありません、聖女の役目から解放された事で満足しましょう。
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