義妹に誑かされた王太子に婚約破棄され聖女の地位も剥奪されました。

克全

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第一章

第3話:移動

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「やる、やるから直ぐに王都から出ていってくれ。
 もう俺の前に現れないでくれ」

 私が諦めて王太子達の前から出ていこうとすると、恐怖に顔を歪めた王太子が、私に悪魔のダンジョンを渡すと叫びました。
 義妹のポーラが王太子の肩を掴む力を強めたのでしょう。
 王太子が激痛をに苦しみ泣き叫んでいますが、取り巻き達は無視しています。

 ポーラの脅かしに王太子が前言を翻さないうちに、正式な書類を発行しようとしているのは明らかです。
 彼らが一番王太子の愚かさを知っているので、守護神様の天罰の巻き添えにされないようにしたいのでしょう。

「これが書類です、直ぐに担当の役所に提出してください。
 国王陛下が御病気なので、摂政の王太子殿下の決定だけで大丈夫です」

 やはり、国王陛下は起き上がる事もできない御病気なのですね。
 王太子とポーラが余りに好き勝手しているので、国王陛下に何かあったと思っていましたが、最悪の状況は避けられました。
 もし国王陛下が亡くなられてしまっていたら、愚かで憶病な王太子が王位を継ぐことになり、この国は未曽有の人災に見舞われるでしょう。

 私は急いで役所を回り、必要な許可を受けて、悪魔のダンジョンの所有権をえましたが、それだけでは安心する事はできません。
 ポーラに脅された王太子が、いつ約束を反故にするか分かりません。
 考えたくもないですが、国王陛下がお亡くなりになるようなことになれば、王太子が王になり、完全に王権を手に入れてしまうのです。
 その時にマルティナとポーラの悪女母娘が、その力をどのように使うか……

 そんな最悪な事態が起こる前に、悪魔のダンジョンに避難しなければいけません。
 普通の聖女なら、命をかけてこの国のためのために戦うでしょう。
 ですが、私にはそんな志などありません。
 誰かを助ける前に、自分が生き延びる事が一番大切です。
 私はこの国に好い思い出など全くないのです。
 こんな国のために命を賭けたいとは、どうしても思えないのです。

「聖女様、私達もお連れください。
 どのような危険な場所であろうと、どれほどの困難が待ち受けていようと、最後までお仕えさせていただきます」

「僕たちも連れて行ってください。
 大した事はできませんが、できる限り働かせていただきます。
 聖女様のおられない神殿に残ったら、どんな目にあわされるか分かりません」

 私は一人で神殿を出て行こうと思っていたのですが、側仕え修道女や孤児院の子供たちが待っていて、一緒の連れて行ってくれと言います。
 本心では彼らは私の重荷でしかないのですか、見捨てる事はできませんでした。
 もう聖女ではないのですが、私にだって見栄というものがあるのです。
 ですが、彼らを連れて行くとなると、大量の食糧を持っていく必要があります。
 さて、その購入費用をどうやって集めましょうか?
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