36 / 48
第二章
第36話:獅子奮迅
しおりを挟む
皇太子の側近は選び抜かれた騎士や戦士だ。
一騎当千と言ってもいい猛将豪将勇将がそろっている。
普通なら縦横無尽に戦って貴族軍など翻弄する事ができる。
だが今は皇太子殿下を護るために動きが制限されてしまっている。
いや、皇太子殿下だけならば皇太子殿下自身が一騎当千の騎士だから、一緒に縦横無尽に戦う事ができる。
だが今はどうしようもない制限があった。
邪神と王都の繋がりを断つために、魔術師と呪術師が魔法陣から動けないのだ。
近接戦闘力がないどころか、剣を避ける事もできないほど、一心不乱に魔術と呪術に精神集中してしまっている。
魔術師と呪術師を護るために機動力を失った状態で貴族軍を迎え討っていた。
「ウォオオオオオ、いかせはせん、いかせはせん、いかせはせん。
お前らごとき、皇太子殿下の所にいかせはせん」
剛力を誇る皇太子の守護騎士が吠えた。
全身を使って百人力のハルバートを振り回していた。
一振りで五人六人に敵兵の首が刎ねとんだ。
鋼鉄製の鎧など何の役にも立たなかった。
なかには素早さを生かして懐に飛び込もうとした敵兵もいたが、ハルバートの柄や石突部分を使って叩き殺していた。
「死にたい者はかかってきなさい」
敵は数にモノを言わせて遂に魔法陣近くにまで迫ってきていた。
皇太子は魔法陣の一角から絶対に離れない。
何故ならそこにはマチルダ嬢がいたからだ。
マチルダ嬢が一心不乱に呪術を唱えていた。
才能を認められ、皇太子の役に立ちたい一心で、無理矢理志願して加わっていた。
皇太子殿下とマチルダ嬢を護るために、皇太子の女性守護騎士オルガが貴族軍の前に立ちはだかり、啖呵を切った。
オルガの実力は誰もが認めるものだった。
騎士団でも徒士団でも体格に恵まれない者はオルガを手本にするほどだった。
それほどの使い手を相手に迂闊に攻撃などできない。
一定以上の実力を備えた者はそれが理解できる。
だが乱暴なだけ、地縁血縁だけで貴族軍に召し抱えられている者には分からない。
だから隙だらけで襲いかかってくる。
「これで私達の勝ちだよ」
オルガはそう言い放つとバカな貴族軍兵士を殺さずに突き抜けた。
貴族軍の一角から内部に入り込むことを優先したのだ。
バカで弱い貴族軍兵士は他の守護騎士に任せればいい。
自分の役割は素早い動きを生かした貴族軍の翻弄だと理解していた。
まるで踊るような槍術、舞うような槍術。
敵味方に関係なく目を奪われる美しい殺戮の舞踊を演じた。
少し細身で軽いが長い槍をしなわせて振るう。
敵の槍や剣とは打ち合わず、敵の鎧の隙間を的確に切り裂く。
オルガが素早く駆け抜けた場所には数十人に遺体が残されることになる。
オルガは敵貴族軍の奥深くに入り込み、大将首を狙っていた。
これで戦いの帰趨が決まると思われた時、計算違いが起きてしまった。
一騎当千と言ってもいい猛将豪将勇将がそろっている。
普通なら縦横無尽に戦って貴族軍など翻弄する事ができる。
だが今は皇太子殿下を護るために動きが制限されてしまっている。
いや、皇太子殿下だけならば皇太子殿下自身が一騎当千の騎士だから、一緒に縦横無尽に戦う事ができる。
だが今はどうしようもない制限があった。
邪神と王都の繋がりを断つために、魔術師と呪術師が魔法陣から動けないのだ。
近接戦闘力がないどころか、剣を避ける事もできないほど、一心不乱に魔術と呪術に精神集中してしまっている。
魔術師と呪術師を護るために機動力を失った状態で貴族軍を迎え討っていた。
「ウォオオオオオ、いかせはせん、いかせはせん、いかせはせん。
お前らごとき、皇太子殿下の所にいかせはせん」
剛力を誇る皇太子の守護騎士が吠えた。
全身を使って百人力のハルバートを振り回していた。
一振りで五人六人に敵兵の首が刎ねとんだ。
鋼鉄製の鎧など何の役にも立たなかった。
なかには素早さを生かして懐に飛び込もうとした敵兵もいたが、ハルバートの柄や石突部分を使って叩き殺していた。
「死にたい者はかかってきなさい」
敵は数にモノを言わせて遂に魔法陣近くにまで迫ってきていた。
皇太子は魔法陣の一角から絶対に離れない。
何故ならそこにはマチルダ嬢がいたからだ。
マチルダ嬢が一心不乱に呪術を唱えていた。
才能を認められ、皇太子の役に立ちたい一心で、無理矢理志願して加わっていた。
皇太子殿下とマチルダ嬢を護るために、皇太子の女性守護騎士オルガが貴族軍の前に立ちはだかり、啖呵を切った。
オルガの実力は誰もが認めるものだった。
騎士団でも徒士団でも体格に恵まれない者はオルガを手本にするほどだった。
それほどの使い手を相手に迂闊に攻撃などできない。
一定以上の実力を備えた者はそれが理解できる。
だが乱暴なだけ、地縁血縁だけで貴族軍に召し抱えられている者には分からない。
だから隙だらけで襲いかかってくる。
「これで私達の勝ちだよ」
オルガはそう言い放つとバカな貴族軍兵士を殺さずに突き抜けた。
貴族軍の一角から内部に入り込むことを優先したのだ。
バカで弱い貴族軍兵士は他の守護騎士に任せればいい。
自分の役割は素早い動きを生かした貴族軍の翻弄だと理解していた。
まるで踊るような槍術、舞うような槍術。
敵味方に関係なく目を奪われる美しい殺戮の舞踊を演じた。
少し細身で軽いが長い槍をしなわせて振るう。
敵の槍や剣とは打ち合わず、敵の鎧の隙間を的確に切り裂く。
オルガが素早く駆け抜けた場所には数十人に遺体が残されることになる。
オルガは敵貴族軍の奥深くに入り込み、大将首を狙っていた。
これで戦いの帰趨が決まると思われた時、計算違いが起きてしまった。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】忌子と呼ばれ婚約破棄された公爵令嬢、追放され『野獣』と呼ばれる顔も知らない辺境伯に嫁ぎました
葉桜鹿乃
恋愛
「よくもぬけぬけと……今まで隠していたのだな」
昨日まで優しく微笑みかけてくれていた王太子はもういない。
双子の妹として産まれ、忌子、とされ、王家に嫁がせ発言力を高めるための『道具』として育てられた私、メルクール。
一つ上の姉として生きてきたブレンダが、王太子に私たちが本当は双子でという話をしてしまった。
この国では双子の妹ないしは弟は忌子として嫌われる。産まれたその場で殺されることもある。
それを隠して『道具』として育てられ、教育を施された私はまだ幸せだったかもしれないが、姉が王太子妃の座を妬んで真実を明かしてしまった。
王太子妃教育も厳しかったけれど耐えてきたのは、王宮に嫁ぎさえすればもうこの嘘を忘れて新しく生きることができると思ったからだったのに…。
両親、そして婚約していた事すら恥とした王室により、私は独身で社交性の無い、顔も知らない『野獣』と呼ばれる辺境伯の元に厄介払い、もとい、嫁ぐ事となったのだが、辺境伯領にいたのは淡い金髪に青い瞳の儚げに見える美青年で……?
※感想の取り扱いについては近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも別名義にて掲載予定です。
【完結】猫を被ってる妹に悪役令嬢を押し付けられたお陰で人生180度変わりました。
本田ゆき
恋愛
「お姉様、可愛い妹のお願いです。」
そう妹のユーリに乗せられ、私はまんまと悪役令嬢として世に名前を覚えられ、終いには屋敷を追放されてしまった。
しかし、自由の身になった私に怖いものなんて何もない!
もともと好きでもない男と結婚なんてしたくなかったし堅苦しい屋敷も好きでなかった私にとってそれは幸運なことだった!?
※小説家になろうとカクヨムでも掲載しています。
3月20日
HOTランキング8位!?
何だか沢山の人に見て頂いたみたいでありがとうございます!!
感想あんまり返せてないですがちゃんと読んでます!
ありがとうございます!
3月21日
HOTランキング5位人気ランキング4位……
イッタイ ナニガ オコッテンダ……
ありがとうございます!!
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
聖女で美人の姉と妹に婚約者の王子と幼馴染をとられて婚約破棄「辛い」私だけが恋愛できず仲間外れの毎日
佐藤 美奈
恋愛
「好きな人ができたから別れたいんだ」
「相手はフローラお姉様ですよね?」
「その通りだ」
「わかりました。今までありがとう」
公爵令嬢アメリア・ヴァレンシュタインは婚約者のクロフォード・シュヴァインシュタイガー王子に呼び出されて婚約破棄を言い渡された。アメリアは全く感情が乱されることなく婚約破棄を受け入れた。
アメリアは婚約破棄されることを分かっていた。なので動揺することはなかったが心に悔しさだけが残る。
三姉妹の次女として生まれ内気でおとなしい性格のアメリアは、気が強く図々しい性格の聖女である姉のフローラと妹のエリザベスに婚約者と幼馴染をとられてしまう。
信頼していた婚約者と幼馴染は性格に問題のある姉と妹と肉体関係を持って、アメリアに冷たい態度をとるようになる。アメリアだけが恋愛できず仲間外れにされる辛い毎日を過ごすことになった――
閲覧注意
婚約者と家族に裏切られたので小さな反撃をしたら、大変なことになったみたいです
柚木ゆず
恋愛
コストール子爵令嬢マドゥレーヌ。彼女はある日、実父、継母、腹違いの妹、そして婚約者に裏切られ、コストール家を追放されることとなってしまいました。
ですがその際にマドゥレーヌが咄嗟に口にした『ある言葉』によって、マドゥレーヌが去ったあとのコストール家では大変なことが起きるのでした――。
婚約破棄はまだですか?─豊穣をもたらす伝説の公爵令嬢に転生したけど、王太子がなかなか婚約破棄してこない
nanahi
恋愛
火事のあと、私は王太子の婚約者:シンシア・ウォーレンに転生した。王国に豊穣をもたらすという伝説の黒髪黒眼の公爵令嬢だ。王太子は婚約者の私がいながら、男爵令嬢ケリーを愛していた。「王太子から婚約破棄されるパターンね」…私はつらい前世から解放された喜びから、破棄を進んで受け入れようと自由に振る舞っていた。ところが王太子はなかなか破棄を告げてこなくて…?
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる