舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全

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7話

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 デイジーは小城の周囲に広がる田畑を歩いていた。
 とても美しい田園風景だった。
 だが大きな違和感もあった。
 この城を護る兵士も、田畑を世話する農夫も、人間ではなかったのだ。
 俗にスケルトンと言われるアンデットだった。

 だが一般に知られているアンデットとは全く違っていた。
 人間を襲うと言われているスケルトンが、農地を耕し雑草を抜いているのだ。
 人間と一緒に地面を耕している牛のスケルトンもいる。
 それどころか、鎧を着たスケルトンがデイジーを護衛しているのだ。
 小城で雑用をする侍女と思われる服装を着ているのもスケルトン。
 料理を作るのもスケルトンなのだ。

「お世話してくれるスケルトンは完璧なのだけれど、話せないのは寂しいわ。
 次に騎士様が来られた時に相談しましょう。
 ここまでして頂いたのに、これ以上何かお願いするのは気がひけるけれど、こんな風に独り言を言うのは哀しいもの」

 思わず護衛のスケルトンに話しかけてしまうデイジーだったが、スケルトンに返事ができるはずもない。
 ただ言葉の意味は分かっているのか、カクカクと首を縦に振ってくれる。
 お陰で何もいないところに話しかけているような虚しさはなかった。

 父と兄の性格が変わってから、ずっと敵地の中で暮らすような状態だったデイジーには、ただ首を上下左右に動かして返事してくれるだけでも嬉しかった。
 見張られている嫌な感じもせず、むしろ安心して本音を話すことができた。
 数体、デイジーは既に数人という感覚になっていたのだが、自分を護るスケルトンが顔を見合わせて、どう返事をするか相談している姿に面白みを感じていた。

「すまないね、デイジー嬢。
 だが分かって欲しいのだが、人間は信用できないのだよ。
 人間にはどうしようもない本能があって、自分の欲望を満たすためなら、平気で人を裏切り傷つけるんだ。
 話し相手が欲しいというだけで、デイジー嬢を傷つける人間をここに置くわけにはいかないのだよ」

 翌日現れた真金の騎士に話し相手が欲しいと相談したデイジーだが、騎士は人間が信用できないと拒絶した。
 デイジーも人間が信用できない事は身に染みて分かっていたので、無理を通すわけにはいかなかった。

「ではスケルトン達は信用できるのですか?
 いえ、この方達が嫌いとか信用できないとか言っているわけではありません。
 人間が信用できない騎士様がこの方達を信用されている理由が知りたいのです」

「ああ、この者達は生まれ変わる直前の善人なのだよ。
 神様が同じ人間に転生させるために厳選されている人達なのだよ」

 一応真金の騎士の話を理解したデイジーだが、厳選されて人間に生まれ変わった人達が、なぜ悪事を重ねる信用できない人間になるのか理解できずその事を確認した。
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