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第二章
春日山城燃ゆる
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本来なら難攻不落の堅城である春日山城だが、守備兵が少なく、全ての曲輪に万全の兵数を配備出来なかった事と、春日山城を知悉した多くの越後勢が寝返った事で、山麓部にあった家臣団の屋敷群を囲むようにある、監物掘とも呼ばれた総構えと土塁が攻城初日で突破されてしまった。
後はどうしようもなく、本来なら多くの国衆がそれぞれの曲輪を責任もって守るのだが、三千兵を切る兵力では守り切れなかった。
兵力の少ない曲輪から、本来その曲輪を守るべき越後国衆によって攻め落とされてしまった。
景勝と上田衆は、本丸とその周辺の曲輪に兵力を集中し、最後の籠城戦を挑もうとした。
「御屋形様、ここは再起を期して、羽柴に降伏してはいかがでしょうか」
「ここまで戦っておいて、今更降伏しても許されまい」
「いえ、今羽柴軍を指揮しているのは、あの木下与一郎とその父親、羽柴秀長です」
「それがどうかしたのか」
「木下与一郎は、吉川経家と清水宗治を許しております」
「う~む」
「ここは臥薪嘗胆され、他日を期されてください」
「だが助命を申し込んで断られたら、儂は天下の笑い者になってしまうぞ」
「では私が使者に参って木下与一郎の心底を探って参りましょう」
直江兼続は、主君・上杉景勝を想って献策をし、木下与一郎の本陣まで交渉に向かった。
だがそこには、上田衆が越後を支配する為に、御館の乱で景勝に味方したにもかかわらず、勝利後に粛清された国衆の一門や遺臣が集められていた。
それを見て、自分達上田衆は勿論、景勝も許されないと理解したものの、それでも一縷の望みをもって、与一郎に必死の助命嘆願を行った。
多くの越後衆から罵詈雑言を浴びせられながらも、必死の嘆願を行ったが、与一郎の口から出された言葉は冷たかった。
「忠義を尽くしてくれた家臣に正当な恩賞を与えない者に、武士の大将になる資格はない。まして功臣を粛清した者に、生きる資格はない」
与一郎の言葉を聞いた越後衆は、心から喝采をあげた。
意気消沈した直江兼続は、景勝の名誉を傷つけた責任と、御館の乱後の失政を恥じて、景勝に報告後に腹を切って責任を取った。
越後衆の恨みの深さを知った上田衆は、絶対に許されない事を悟り、死を覚悟して夜明けと共に城を討って出た。
上田衆が死兵となる事を予測した与一郎は、一旦攻撃を緩めて軍勢を後退させ、守りを重視した包囲に陣替えさせていた。
そこに上田衆が討って出てきたので、鉄砲を撃ち、弓を放って迎え討ち、大きな損害を受けないですんだ。
上田衆が攻め疲れた頃合を見て、十分な休息をとった越後衆に思う存分戦わせた。
恨み骨髄の越後衆は、情け容赦せずに上田衆を討ち果たしていった。
上杉景勝は本丸で腹を切り、近習が火を放った。
後はどうしようもなく、本来なら多くの国衆がそれぞれの曲輪を責任もって守るのだが、三千兵を切る兵力では守り切れなかった。
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「では私が使者に参って木下与一郎の心底を探って参りましょう」
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多くの越後衆から罵詈雑言を浴びせられながらも、必死の嘆願を行ったが、与一郎の口から出された言葉は冷たかった。
「忠義を尽くしてくれた家臣に正当な恩賞を与えない者に、武士の大将になる資格はない。まして功臣を粛清した者に、生きる資格はない」
与一郎の言葉を聞いた越後衆は、心から喝采をあげた。
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越後衆の恨みの深さを知った上田衆は、絶対に許されない事を悟り、死を覚悟して夜明けと共に城を討って出た。
上田衆が死兵となる事を予測した与一郎は、一旦攻撃を緩めて軍勢を後退させ、守りを重視した包囲に陣替えさせていた。
そこに上田衆が討って出てきたので、鉄砲を撃ち、弓を放って迎え討ち、大きな損害を受けないですんだ。
上田衆が攻め疲れた頃合を見て、十分な休息をとった越後衆に思う存分戦わせた。
恨み骨髄の越後衆は、情け容赦せずに上田衆を討ち果たしていった。
上杉景勝は本丸で腹を切り、近習が火を放った。
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