仇討浪人と座頭梅一

克全

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第二章

第二十五話:生臭坊主

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 おりょうと虎太郎の母子が長屋に引っ越し、つつがなく暮らし始めたのを確かめた梅一は、いよいよ本格的に殺しを始めることにした。
 前回の殺しで熊の旦那が凄腕の剣客なのは分かったが、あれは突発的に殺すことにしたので、本来の梅一のやり方とはかけ離れていた。
 普段の梅一は十分な準備をした上で殺しを始めるのだ。

「熊の旦那、やっぱり門限は破れませんかね」

 梅一は熊の旦那に確認してみた。
 できれば深夜、殺す相手が寝静まっている時に殺したい梅一だった。

「駄目だ、門限がある事は最初から言ってあったはずだ。
 その上で某を仲間に引き入れたのだから、門限は守ってもらう」

 だがあっさりと断られてしまった。
 次の殺しは急いで始めなければいけない。
 そうしなければ新たな犠牲者が出てしまう。
 生臭坊主が博徒と組んで行っているいかさま博打にのめり込んだ父親の所為で、わずか八両で吉原に売られた娘が、必死で貯めた三両の金。
 二人で分ければ一両二分にしかならないが、梅一には金額以上の重みがある。

「そりゃあ、まあ、約束はしましたけど、本当にいいんですかい。
 門限までに殺すとなると、密かにという訳にはいきませんよ。
 御城下を騒がして、幕府の威信を傷つけることになるますよ。
 しかも熊の旦那を捕らえようと、町方だけでなく火盗も血眼になりますぜ」

「そんな事は一向にかまわん、白昼堂々やればいい。
 梅一の話し通りなら、極悪非道な奴なのだろう。
 そんな奴はお天道様の下に引きずり出して殺してしまうに限る。
 それとも、相手は善人で、梅一が嘘をついているのか」

「ようがす、熊の旦那がそこまで言われるのなら、証拠をお見せしましょう。
 今から今度殺す相手がやっている賭場にご案内します。
 そこで連中がどれだけ悪辣非道なの確かめていただきましょう」

 ちょっと腹を立てた梅一は、話しをしていた金龍山浅草寺の境内からさっさと出て、足早で歩いていった。
 後をちゃんと熊の旦那がついてきているかは、振り返らなくても気配で分かる。
 熊の旦那がわざと軽く気配を表に出しているので、梅一なら注意深く観察していれば振り返らなくても分かるのだ。

 仁王門を出て、そのまま真直ぐ雷門から広小路にでる。
 尾行を撒くためなのか、それとも単なる趣味なのか、そのまま東本願寺の裏門から境内に入り、左に曲がって表門から門跡前の通りに出る。
 左に折れていて菊屋橋を渡り、新寺町通りを真っすぐ進み、下谷町二丁目の前、車坂丁と門前町の間に隠れるようにある正宝寺に入っていった。
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