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19話
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「今日はよく来てくれた。
ああ、緊張せず寛いでくれ。
これは非公式の体面だ。
正式な謁見ではないから記録には残らない」
私たちは急に呼び出されてしまいました。
本心は断りたかったのですが、相手がこの国の王太子では断れません。
ジルべリア王国の王太子、ジルベスタ殿下。
私たちが逃げ出してきたヘプバーン王国と敵対している国。
今は絶対に問題を起こせない相手です。
敵対したら安全な国がなくなってしまいます。
「ご配慮ありがとうございます。
身分卑しき我らに対面の栄誉を賜り、恐悦至極でございます」
「あっはっはっは!
なにを言っているんだい。
オードリー嬢が伯爵令嬢だったことは知っているよ。
聖女に認定されていたのもね!」
どういう事でしょうか?
私に何かさせたいという事は分かりました。
ですが、ここまで調べているのなら、私が偽聖女と呼ばれている事も、すでに調べているはずです。
腕力や剣術は鍛えることができましたが、奇跡は今でも起こせないのです。
そんな私に何をさせようというのでしょうか?
グズグズ考えていても仕方ありませんね。
「お恥ずかしい話でございます。
なんの奇跡も起こせない偽聖女と、陰口を言われるような元聖女でございます」
「クックックック。
偽聖女結構じゃないか!
ヘプバーン王国では起こせなかった奇跡が、ジルべリア王国で起こせるようになったら、世間はどう思うだろうね。
ヘプバーン王国は神に逆らってた邪悪な存在だから奇跡が起こせなかった。
ジルべリア王国は神の教えを守る正義の存在だから奇跡が起こせるようになった。
そういう噂が広がるんじゃないかな?」
そう言う事ですか。
ヘプバーン王国にゆさぶりをかけたいのですね。
成功したら、ヘプバーン王国内は収拾がつかない事態になるでしょう。
聖女である私を追い出して、グレイスを愛妾にしているのですから。
しかも実の息子である王太子とグレイスを奪い合ったのです。
あんな醜聞が広まらないわけがないのです。
「私に、奇跡が起こせる演技をしろとおっしゃられるのですか?」
「いや、それでは嘘がバレた時が危険だ。
オードリー嬢には本当に奇跡を起こせるようになってもらう!」
無茶を言ってくれますね。
私だって奇跡が起こせるものなら起こしたかったのです。
過去五度の人生でも、今生でも、努力に努力を重ねてきたのです。
それでもダメだったのです。
それを簡単に起こせと口にしないで欲しい!
段々腹が立ってきました!
「恐れながら横から質問させていただきます。
もしかして、我らに王家ダンジョンを解放してくださるのですか?」
ああ、緊張せず寛いでくれ。
これは非公式の体面だ。
正式な謁見ではないから記録には残らない」
私たちは急に呼び出されてしまいました。
本心は断りたかったのですが、相手がこの国の王太子では断れません。
ジルべリア王国の王太子、ジルベスタ殿下。
私たちが逃げ出してきたヘプバーン王国と敵対している国。
今は絶対に問題を起こせない相手です。
敵対したら安全な国がなくなってしまいます。
「ご配慮ありがとうございます。
身分卑しき我らに対面の栄誉を賜り、恐悦至極でございます」
「あっはっはっは!
なにを言っているんだい。
オードリー嬢が伯爵令嬢だったことは知っているよ。
聖女に認定されていたのもね!」
どういう事でしょうか?
私に何かさせたいという事は分かりました。
ですが、ここまで調べているのなら、私が偽聖女と呼ばれている事も、すでに調べているはずです。
腕力や剣術は鍛えることができましたが、奇跡は今でも起こせないのです。
そんな私に何をさせようというのでしょうか?
グズグズ考えていても仕方ありませんね。
「お恥ずかしい話でございます。
なんの奇跡も起こせない偽聖女と、陰口を言われるような元聖女でございます」
「クックックック。
偽聖女結構じゃないか!
ヘプバーン王国では起こせなかった奇跡が、ジルべリア王国で起こせるようになったら、世間はどう思うだろうね。
ヘプバーン王国は神に逆らってた邪悪な存在だから奇跡が起こせなかった。
ジルべリア王国は神の教えを守る正義の存在だから奇跡が起こせるようになった。
そういう噂が広がるんじゃないかな?」
そう言う事ですか。
ヘプバーン王国にゆさぶりをかけたいのですね。
成功したら、ヘプバーン王国内は収拾がつかない事態になるでしょう。
聖女である私を追い出して、グレイスを愛妾にしているのですから。
しかも実の息子である王太子とグレイスを奪い合ったのです。
あんな醜聞が広まらないわけがないのです。
「私に、奇跡が起こせる演技をしろとおっしゃられるのですか?」
「いや、それでは嘘がバレた時が危険だ。
オードリー嬢には本当に奇跡を起こせるようになってもらう!」
無茶を言ってくれますね。
私だって奇跡が起こせるものなら起こしたかったのです。
過去五度の人生でも、今生でも、努力に努力を重ねてきたのです。
それでもダメだったのです。
それを簡単に起こせと口にしないで欲しい!
段々腹が立ってきました!
「恐れながら横から質問させていただきます。
もしかして、我らに王家ダンジョンを解放してくださるのですか?」
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