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20話

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「さすが百戦錬磨のアンゲリカだ。
 余の言いたいことを分かってくれている」

「何人の団員を連れて行っていいのですか?」

 ジルベスタ王太子殿下とアンゲリカの会話についていけません。

「オードリー嬢は知らないようだが、ジルべリア王国には王族専用のダンジョンが存在するのだよ。
 そのダンジョンで得られる宝物は特別でね。
 ジルべリア王国建国の原動力になったほどの、力ある宝物が得られるのだよ。
 だからこそ王族専用になったのだが、王城に忍び込んでそのダンジョンに入ろうとする盗賊が後を絶たないくらい、裏では有名なのだよ」

「私たちにそのダンジョンを解放してくださるのですか?!」

「余もそれほど甘くはないよ。
 たとえ余がそう願っても、他の王族の承認が得られないね。
 余が認めてやれるのは、聖女オードリーとアンゲリカだけだ。
 本当なら聖女オードリーだけにしたいのだが、それではアンゲリカが認めないだろうからね。
 下手な事をすれば、アンゲリカは聖女オードリーだけを連れて、ヘプバーン王国の魔の手が及ばない遠国に逃げてしまうだろう?
 自分から懐に飛び込んできてきてくれた宝玉を、余の失策で失うわけにはいけないからね」

 アンゲリカが満面の笑みを浮かべています。
 ジルベスタ王太子殿下の言葉を喜んでいるのか?
 それとも警戒しているのか?
 いざという時には王太子を殺すと決断したのでなければいいのですが……

「ですが王太子殿下。
 王族専用ダンジョンは団長と私だけで潜れるのですか?
 浅い場所でも聖女の力を取り戻せる何かがあるんですか?
 ダンジョン内でキャンプする必要があるのなら、団長と私だけというのは無理があります」

 アンゲリカの疑問ももっともです。
 私も犬死には嫌です。
 浅い階層の日帰りで、聖女の力を手に入れられるとは到底思えないのですが……

「確かに日帰りでは無理だ。
 最下層まで行って、ダンジョンの主を斃してもらう必要がある。
 だが戦力を心配する必要はない。
 ダンジョンに潜った事のある王族が同行する。
 余をはじめとして、ダンジョン主を斃した経験のある猛者ばかりだ。
 多くの者は先達に助けられてダンジョン主を斃しただけだが、それでも並の冒険者には後れは取らんよ」

「王太子殿下は結構なのですが、他の王族の方の顔ぶれと実力を確認させていただけるのでしょうか?」

 アンゲリカは度胸があります。
 ここまで話を聞いて、同行者が納得できなければ断るつもりです。
 そな事をすれば、口封じというか、殺されるのは確実なのに、私を護りながらここから逃げる自信があるのです。
 頼もしい限りです。
 ほんと、アンゲリカが男性だったらよかったのに。
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