19 / 29
18話
しおりを挟む
「アンゲリカ。
私はどうすればいいのですか?
分からなくなってしまいました……」
私は、自分がもっと強いと思っていました。
表面的な力だけでなく、心も強いと思っていました。
だからこそ、今日まで生き延びてきました。
貴族令嬢とは思えない行動力だと、今でも自負があります。
ありますが、アンゲリカのようにはいきません。
私は、アンゲリカに寄りかかってしまっています。
「はっはっはっはっは!
なにを気にしているのです?
弱気になる必要など全くありませんよ。
団長が優しさを捨てれば簡単に全部片付くことです」
「私が?
優しさを捨てればすむ?
何のことですか?」
「分かりませんか?
団長が私に命じればいいのです。
ヘプバーン王国のレンブラン王とグレイスを殺せと。
そう命令してくだされば、明日にでも二人の首をお持ちしますよ」
「そんな簡単に言いますが、相手は一国の王と愛妾ですよ!
いえ、今ではグレイスが王妃同然だと聞いています。
防御力が厳重な王城を襲い、数々の魔道具を突破しなければいけないのです。
人間相手なら無敵のアンゲリカでも、絶対とは言えないのではありませんか?」
「そうですね。
確かに絶対とは言えませんね。
でもどれほどの魔道具があろうと、城が厳重であろうと、腕龍ほど堅固でも強力でもありませんよ。
九割五分は無事に帰ってこれます」
「ダメです!
絶対にダメです!
五分も危険があるではないですか!
そんな危険なこと、アンゲリカにやらせられません!
他に方法はないのですか?」
狼狽してしまいました。
アンゲリカが王やグレイスの罠にはまって死ぬかもしれない。
そう思ったら何も考えられなくなってしまいました。
どれほど少ない可能性でも、認められないです。
アンゲリカが苦笑いしています。
でも、そのなかに、私への情愛を感じるのは、私の願望なのでしょうか?
「まいりましたね。
どんな場合でも、五分くらいの危険はあるのですよ。
他の方法といわれても、後は迎撃か撤退しかありません。
この国で踏ん張って、刺客を撃退し続けるのです。
ですがその場合は、今日のように味方が裏切ることもあり得ます。
副団長としては元凶を取り除きたいのですが……」
「ダメです!
今はまだダメです!
もう少し私が強くなるまで待ちなさい。
アンゲリカが王とグレイスを殺しに私にそばを離れた時が危険ではありませんか!
だからまだダメです。
もっと私を鍛えなさい。
一瞬でも私の側を離れてはいけません!
これは厳命です!
いいですね!」
「しかたありませんね。
ですが、今までより訓練が厳しくなりますよ?
それでもいいですか?」
「構いません。
望むところです!」
私はどうすればいいのですか?
分からなくなってしまいました……」
私は、自分がもっと強いと思っていました。
表面的な力だけでなく、心も強いと思っていました。
だからこそ、今日まで生き延びてきました。
貴族令嬢とは思えない行動力だと、今でも自負があります。
ありますが、アンゲリカのようにはいきません。
私は、アンゲリカに寄りかかってしまっています。
「はっはっはっはっは!
なにを気にしているのです?
弱気になる必要など全くありませんよ。
団長が優しさを捨てれば簡単に全部片付くことです」
「私が?
優しさを捨てればすむ?
何のことですか?」
「分かりませんか?
団長が私に命じればいいのです。
ヘプバーン王国のレンブラン王とグレイスを殺せと。
そう命令してくだされば、明日にでも二人の首をお持ちしますよ」
「そんな簡単に言いますが、相手は一国の王と愛妾ですよ!
いえ、今ではグレイスが王妃同然だと聞いています。
防御力が厳重な王城を襲い、数々の魔道具を突破しなければいけないのです。
人間相手なら無敵のアンゲリカでも、絶対とは言えないのではありませんか?」
「そうですね。
確かに絶対とは言えませんね。
でもどれほどの魔道具があろうと、城が厳重であろうと、腕龍ほど堅固でも強力でもありませんよ。
九割五分は無事に帰ってこれます」
「ダメです!
絶対にダメです!
五分も危険があるではないですか!
そんな危険なこと、アンゲリカにやらせられません!
他に方法はないのですか?」
狼狽してしまいました。
アンゲリカが王やグレイスの罠にはまって死ぬかもしれない。
そう思ったら何も考えられなくなってしまいました。
どれほど少ない可能性でも、認められないです。
アンゲリカが苦笑いしています。
でも、そのなかに、私への情愛を感じるのは、私の願望なのでしょうか?
「まいりましたね。
どんな場合でも、五分くらいの危険はあるのですよ。
他の方法といわれても、後は迎撃か撤退しかありません。
この国で踏ん張って、刺客を撃退し続けるのです。
ですがその場合は、今日のように味方が裏切ることもあり得ます。
副団長としては元凶を取り除きたいのですが……」
「ダメです!
今はまだダメです!
もう少し私が強くなるまで待ちなさい。
アンゲリカが王とグレイスを殺しに私にそばを離れた時が危険ではありませんか!
だからまだダメです。
もっと私を鍛えなさい。
一瞬でも私の側を離れてはいけません!
これは厳命です!
いいですね!」
「しかたありませんね。
ですが、今までより訓練が厳しくなりますよ?
それでもいいですか?」
「構いません。
望むところです!」
33
あなたにおすすめの小説
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
魔の森に捨てられた伯爵令嬢は、幸福になって復讐を果たす
三谷朱花
恋愛
ルーナ・メソフィスは、あの冷たく悲しい日のことを忘れはしない。
ルーナの信じてきた世界そのものが否定された日。
伯爵令嬢としての身分も、温かい我が家も奪われた。そして信じていた人たちも、それが幻想だったのだと知った。
そして、告げられた両親の死の真相。
家督を継ぐために父の異母弟である叔父が、両親の死に関わっていた。そして、メソフィス家の財産を独占するために、ルーナの存在を不要とした。
絶望しかなかった。
涙すら出なかった。人間は本当の絶望の前では涙がでないのだとルーナは初めて知った。
雪が積もる冷たい森の中で、この命が果ててしまった方がよほど幸福だとすら感じていた。
そもそも魔の森と呼ばれ恐れられている森だ。誰の助けも期待はできないし、ここに放置した人間たちは、見たこともない魔獣にルーナが食い殺されるのを期待していた。
ルーナは死を待つしか他になかった。
途切れそうになる意識の中で、ルーナは温かい温もりに包まれた夢を見ていた。
そして、ルーナがその温もりを感じた日。
ルーナ・メソフィス伯爵令嬢は亡くなったと公式に発表された。
悪役令嬢ベアトリスの仁義なき恩返し~悪女の役目は終えましたのであとは好きにやらせていただきます~
糸烏 四季乃
恋愛
「ベアトリス・ガルブレイス公爵令嬢との婚約を破棄する!」
「殿下、その言葉、七年お待ちしておりました」
第二皇子の婚約者であるベアトリスは、皇子の本気の恋を邪魔する悪女として日々蔑ろにされている。しかし皇子の護衛であるナイジェルだけは、いつもベアトリスの味方をしてくれていた。
皇子との婚約が解消され自由を手に入れたベアトリスは、いつも救いの手を差し伸べてくれたナイジェルに恩返しを始める! ただ、長年悪女を演じてきたベアトリスの物事の判断基準は、一般の令嬢のそれとかなりズレている為になかなかナイジェルに恩返しを受け入れてもらえない。それでもどうしてもナイジェルに恩返しがしたい。このドッキンコドッキンコと高鳴る胸の鼓動を必死に抑え、ベアトリスは今日もナイジェルへの恩返しの為奮闘する!
規格外で少々常識外れの令嬢と、一途な騎士との溺愛ラブコメディ(!?)
【完結】婚約破棄された悪役令嬢ですが、魔法薬の勉強をはじめたら留学先の皇子に求婚されました
楠結衣
恋愛
公爵令嬢のアイリーンは、婚約者である第一王子から婚約破棄を言い渡される。
王子の腕にすがる男爵令嬢への嫌がらせを謝罪するように求められるも、身に覚えのない謝罪はできないと断る。その態度に腹を立てた王子から国外追放を命じられてしまった。
アイリーンは、王子と婚約がなくなったことで諦めていた魔法薬師になる夢を叶えることを決意。
薬草の聖地と呼ばれる薬草大国へ、魔法薬の勉強をするために向う。
魔法薬の勉強をする日々は、とても充実していた。そこで出会ったレオナード王太子の優しくて甘い態度に心惹かれていくアイリーン。
ところが、アイリーンの前に再び第一王子が現れ、アイリーンの心は激しく動揺するのだった。
婚約破棄され、諦めていた魔法薬師の夢に向かって頑張るアイリーンが、彼女を心から愛する優しいドラゴン獣人である王太子と愛を育むハッピーエンドストーリーです。
「失礼いたしますわ」と唇を噛む悪役令嬢は、破滅という結末から外れた?
パリパリかぷちーの
恋愛
「失礼いたしますわ」――断罪の広場で令嬢が告げたのは、たった一言の沈黙だった。
侯爵令嬢レオノーラ=ヴァン=エーデルハイトは、“涙の聖女”によって悪役とされ、王太子に婚約を破棄され、すべてを失った。だが彼女は泣かない。反論しない。赦しも求めない。ただ静かに、矛盾なき言葉と香りの力で、歪められた真実と制度の綻びに向き合っていく。
「誰にも属さず、誰も裁かず、それでもわたくしは、生きてまいりますわ」
これは、断罪劇という筋書きを拒んだ“悪役令嬢”が、沈黙と香りで“未来”という舞台を歩んだ、静かなる反抗と再生の物語。
婚約破棄された侯爵令嬢ですが、帝国の次席秘書官になりました ――王の隣ではなく、判断を誤らせない場所へ
ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として王宮に仕える侯爵令嬢ゼクレテァ。
彼女は華やかな場に立つことはなく、ただ静かに、しかし確実に政務と外交を支えていた。
――その役割が、突然奪われるまでは。
公の場で告げられた一方的な婚約破棄。
理由はただひとつ、「愛している相手がいるから」。
ゼクレテァは感情を見せることなく、その決定を受け入れる。
だが彼女が王宮を去った後、王国には小さな歪みが生じ始めた。
些細な行き違い、遅れる判断、噛み合わない政策。
それらはやがて、国家全体を揺るがす事態へと発展していく。
一方、行き場を失ったゼクレテァの前に、思いもよらぬ「選択肢」が差し出される。
求められたのは、身分でも立場でもない。
彼女自身の能力だった。
婚約破棄から始まる、
静かで冷静な逆転劇。
王の隣に立つことを拒んだ令嬢は、
やがて「世界を動かす場所」へと歩み出す――。
-
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。
愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。
ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。
ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。
二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。
時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し……
全ては、愛する人と幸せになるために。
他サイトと重複投稿しています。
全面改稿して投稿中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる