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21話
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「団長、慌てる事はありません。
自分が斃せる敵だけを確実に斃してください。
余計な敵は私が斃します」
「そう、そう。
聖女オードリーはやれることだけをしてくれればいいのですよ。
他の事はお供の我々がやりますから」
アンゲリカの激に続いて、ジルベスタ王太子殿下のやんわりとした、指示と言うのか命令というべきか分からない、気の抜けそうな言葉が加わります。
ですがそれに応えている余裕など全くありません。
ジルべリア王族専用ダンジョンに出てくる敵の何と強力な事か!
出てくるのは普通の魔物です。
見た目は他のダンジョンとおなじゴブリンやコボルト、オークやミノタウロスですが、その強さが他のダンジョンとは段違いなのです。
このダンジョンに我が団員が入っても、最初の階層で敗走してしまいます。
我が団が最強などとは言いませんが、中堅より少し上につけています。
アンゲリカの力を計算すれば、上位五傑の団といえます。
それが最初の階層で敗退すると断言できるくらい、強力な敵が現れるのです。
幸い私はアンゲリカに鍛えられていましかたら、一階層、二階層、三階層と順調に進むことができました。
四階層に入ると敵の強さに磨きがかかり、アンゲリカや王族の助力を得ないと叩けない状態になってしまいました。
本当に厳しい実戦でしたが、戦い甲斐もあります。
戦う度に自分が強くなっている実感があります。
敵を斃すことで得られる身体強化ではなく、純粋に筋力と技が向上したのです。
まあ、魔境やダンジョンで身体強化が得られることなど滅多にありません。
特にある程度強くなった者にはないのです。
「おっと、いいモノが出たね。
それは速さが向上するドロップ品だと思うよ。
本来の目的物ではないけれど、聖女オードリーが手に入れたモノだから食べな」
「ジルベスタ王太子殿下!
このダンジョンのドロップ品は国王陛下に献上する決まりですぞ!」
「大丈夫だよ、ねえ、ランハルト」
「はい、兄上。
みなよく聞いてくれ。
今回は特別中の特別なのだ。
我が国の将来を変える岐路なのだ。
国王陛下の英断により、聖女オードリーと勇者アンゲリカに関しては、兄上と私がともに同意したモノに関しては、自由に食べていいことになっている」
「「「「「……」」」」」
沈黙が怖いです。
ジルベスタ王太子殿下とランハルト第二王子は認めてくださっていますが、他の王族たちが憎々しげに睨んでいます。
彼らはここでドロップしたモノを食べることが許されなかったのでしょう。
王族専用のダンジョンで、王族なのにドロップ品を食べることが許されなかった。
なのに王族ではない私が食べる事を許される。
恨まれるのも当然でしょう。
ですが、運がいいなどとは思いません。
その見返りに何をさせられるか?
気が重くて仕方ありません。
自分が斃せる敵だけを確実に斃してください。
余計な敵は私が斃します」
「そう、そう。
聖女オードリーはやれることだけをしてくれればいいのですよ。
他の事はお供の我々がやりますから」
アンゲリカの激に続いて、ジルベスタ王太子殿下のやんわりとした、指示と言うのか命令というべきか分からない、気の抜けそうな言葉が加わります。
ですがそれに応えている余裕など全くありません。
ジルべリア王族専用ダンジョンに出てくる敵の何と強力な事か!
出てくるのは普通の魔物です。
見た目は他のダンジョンとおなじゴブリンやコボルト、オークやミノタウロスですが、その強さが他のダンジョンとは段違いなのです。
このダンジョンに我が団員が入っても、最初の階層で敗走してしまいます。
我が団が最強などとは言いませんが、中堅より少し上につけています。
アンゲリカの力を計算すれば、上位五傑の団といえます。
それが最初の階層で敗退すると断言できるくらい、強力な敵が現れるのです。
幸い私はアンゲリカに鍛えられていましかたら、一階層、二階層、三階層と順調に進むことができました。
四階層に入ると敵の強さに磨きがかかり、アンゲリカや王族の助力を得ないと叩けない状態になってしまいました。
本当に厳しい実戦でしたが、戦い甲斐もあります。
戦う度に自分が強くなっている実感があります。
敵を斃すことで得られる身体強化ではなく、純粋に筋力と技が向上したのです。
まあ、魔境やダンジョンで身体強化が得られることなど滅多にありません。
特にある程度強くなった者にはないのです。
「おっと、いいモノが出たね。
それは速さが向上するドロップ品だと思うよ。
本来の目的物ではないけれど、聖女オードリーが手に入れたモノだから食べな」
「ジルベスタ王太子殿下!
このダンジョンのドロップ品は国王陛下に献上する決まりですぞ!」
「大丈夫だよ、ねえ、ランハルト」
「はい、兄上。
みなよく聞いてくれ。
今回は特別中の特別なのだ。
我が国の将来を変える岐路なのだ。
国王陛下の英断により、聖女オードリーと勇者アンゲリカに関しては、兄上と私がともに同意したモノに関しては、自由に食べていいことになっている」
「「「「「……」」」」」
沈黙が怖いです。
ジルベスタ王太子殿下とランハルト第二王子は認めてくださっていますが、他の王族たちが憎々しげに睨んでいます。
彼らはここでドロップしたモノを食べることが許されなかったのでしょう。
王族専用のダンジョンで、王族なのにドロップ品を食べることが許されなかった。
なのに王族ではない私が食べる事を許される。
恨まれるのも当然でしょう。
ですが、運がいいなどとは思いません。
その見返りに何をさせられるか?
気が重くて仕方ありません。
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