23 / 29
22話
しおりを挟む
「おめでとうございます。
これで目的は達成です。
よく頑張りましたね。
王族専用ダンジョンに一カ月間潜りっぱなしなんて、過去誰もいませんよ」
ジルベスタ王太子殿下が、最初に心からの称賛の言葉をくれます。
少々キザな言い回しに聞こえてしまいますが、言葉遣いと違って心根が優しく真面目な方なのは、肩を並べて戦い、時に命を預けて背中を任せた戦友ですから、もう十分理解しています。
「団長、おめでとうございます!
これで団長も聖女になれます!」
アンゲリカが心から褒めてくれています!
心底うれしいです。
限られたレベル、ノルマを達成した誉め言葉ではないのです。
護るべき対象を労わる誉め言葉ではないのです。
戦友だと、共に戦い、共に狩りに行く、同格のパーティーメンバーとして褒めてくれていると理解できます。
これほどうれしいことはありません。
「本当に凄いよ、聖女オードリー。
君の治癒魔法がなければ、負傷した者たちのために、王家の秘宝を使わなければいけないところだったよ。
だがこれでこれからは楽ができるよ。
ダンジョン主のドロップ品を手に入れた上に、それまでに手に入れたドロップ品を蓄えることができる」
ランハルト第二王子が身勝手な言い方をします。
まるでこれからずっと私がこのダンジョンを回るような言い方です。
まさか本気ではないでしょうね?
アンゲリカと私は、ジルべリア王家のダンジョン奴隷扱いなのですか?!
「それはこれからの話だよランハルト。
王族会議であらゆる可能性を探り、国王陛下が裁可をくだされる。
国王陛下の決定には、王太子の私であろうと異議は言えないのだ」
「分かっていますよ、兄上。
私の考えは一面の利益だと言われるのでしょ?
兄上には別の利益が見えておられる。
でも兄上も私に見えている利益を否定はされないのですよね?」
「ああ、認めるよ。
分かりやすい利益だね。
だがその利益を得るために失うモノも多い。
ランハルトはその計算が甘すぎると思うよ」
「私には逆に見えますね。
兄上は損害を高く見積もり過ぎです。
そして目に見えない利益を高く評価し過ぎです」
兄弟で口論を始めてしまいました。
非常に気になります。
アンゲリカと私の将来を決定する口論のようです。
どう考えてもジルベスタ王太子殿下が勝ってくれないと、アンゲリカと私はダンジョン奴隷にされてしまいます。
問題は話題に出た王族会議でしょうね。
ここでジルベスタ王太子殿下が負ければ私たちはお終いです。
今まで誰にも負けることがないと思っていたアンゲリカでも、正々堂々戦えばジルベスタ王太子殿下に負けると思います。
ランハルト殿下や他の王族には勝てると思いますが、二人以上が相手だと確実に勝てるとは断言できません……
これで目的は達成です。
よく頑張りましたね。
王族専用ダンジョンに一カ月間潜りっぱなしなんて、過去誰もいませんよ」
ジルベスタ王太子殿下が、最初に心からの称賛の言葉をくれます。
少々キザな言い回しに聞こえてしまいますが、言葉遣いと違って心根が優しく真面目な方なのは、肩を並べて戦い、時に命を預けて背中を任せた戦友ですから、もう十分理解しています。
「団長、おめでとうございます!
これで団長も聖女になれます!」
アンゲリカが心から褒めてくれています!
心底うれしいです。
限られたレベル、ノルマを達成した誉め言葉ではないのです。
護るべき対象を労わる誉め言葉ではないのです。
戦友だと、共に戦い、共に狩りに行く、同格のパーティーメンバーとして褒めてくれていると理解できます。
これほどうれしいことはありません。
「本当に凄いよ、聖女オードリー。
君の治癒魔法がなければ、負傷した者たちのために、王家の秘宝を使わなければいけないところだったよ。
だがこれでこれからは楽ができるよ。
ダンジョン主のドロップ品を手に入れた上に、それまでに手に入れたドロップ品を蓄えることができる」
ランハルト第二王子が身勝手な言い方をします。
まるでこれからずっと私がこのダンジョンを回るような言い方です。
まさか本気ではないでしょうね?
アンゲリカと私は、ジルべリア王家のダンジョン奴隷扱いなのですか?!
「それはこれからの話だよランハルト。
王族会議であらゆる可能性を探り、国王陛下が裁可をくだされる。
国王陛下の決定には、王太子の私であろうと異議は言えないのだ」
「分かっていますよ、兄上。
私の考えは一面の利益だと言われるのでしょ?
兄上には別の利益が見えておられる。
でも兄上も私に見えている利益を否定はされないのですよね?」
「ああ、認めるよ。
分かりやすい利益だね。
だがその利益を得るために失うモノも多い。
ランハルトはその計算が甘すぎると思うよ」
「私には逆に見えますね。
兄上は損害を高く見積もり過ぎです。
そして目に見えない利益を高く評価し過ぎです」
兄弟で口論を始めてしまいました。
非常に気になります。
アンゲリカと私の将来を決定する口論のようです。
どう考えてもジルベスタ王太子殿下が勝ってくれないと、アンゲリカと私はダンジョン奴隷にされてしまいます。
問題は話題に出た王族会議でしょうね。
ここでジルベスタ王太子殿下が負ければ私たちはお終いです。
今まで誰にも負けることがないと思っていたアンゲリカでも、正々堂々戦えばジルベスタ王太子殿下に負けると思います。
ランハルト殿下や他の王族には勝てると思いますが、二人以上が相手だと確実に勝てるとは断言できません……
32
あなたにおすすめの小説
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
魔の森に捨てられた伯爵令嬢は、幸福になって復讐を果たす
三谷朱花
恋愛
ルーナ・メソフィスは、あの冷たく悲しい日のことを忘れはしない。
ルーナの信じてきた世界そのものが否定された日。
伯爵令嬢としての身分も、温かい我が家も奪われた。そして信じていた人たちも、それが幻想だったのだと知った。
そして、告げられた両親の死の真相。
家督を継ぐために父の異母弟である叔父が、両親の死に関わっていた。そして、メソフィス家の財産を独占するために、ルーナの存在を不要とした。
絶望しかなかった。
涙すら出なかった。人間は本当の絶望の前では涙がでないのだとルーナは初めて知った。
雪が積もる冷たい森の中で、この命が果ててしまった方がよほど幸福だとすら感じていた。
そもそも魔の森と呼ばれ恐れられている森だ。誰の助けも期待はできないし、ここに放置した人間たちは、見たこともない魔獣にルーナが食い殺されるのを期待していた。
ルーナは死を待つしか他になかった。
途切れそうになる意識の中で、ルーナは温かい温もりに包まれた夢を見ていた。
そして、ルーナがその温もりを感じた日。
ルーナ・メソフィス伯爵令嬢は亡くなったと公式に発表された。
悪役令嬢ベアトリスの仁義なき恩返し~悪女の役目は終えましたのであとは好きにやらせていただきます~
糸烏 四季乃
恋愛
「ベアトリス・ガルブレイス公爵令嬢との婚約を破棄する!」
「殿下、その言葉、七年お待ちしておりました」
第二皇子の婚約者であるベアトリスは、皇子の本気の恋を邪魔する悪女として日々蔑ろにされている。しかし皇子の護衛であるナイジェルだけは、いつもベアトリスの味方をしてくれていた。
皇子との婚約が解消され自由を手に入れたベアトリスは、いつも救いの手を差し伸べてくれたナイジェルに恩返しを始める! ただ、長年悪女を演じてきたベアトリスの物事の判断基準は、一般の令嬢のそれとかなりズレている為になかなかナイジェルに恩返しを受け入れてもらえない。それでもどうしてもナイジェルに恩返しがしたい。このドッキンコドッキンコと高鳴る胸の鼓動を必死に抑え、ベアトリスは今日もナイジェルへの恩返しの為奮闘する!
規格外で少々常識外れの令嬢と、一途な騎士との溺愛ラブコメディ(!?)
【完結】婚約破棄された悪役令嬢ですが、魔法薬の勉強をはじめたら留学先の皇子に求婚されました
楠結衣
恋愛
公爵令嬢のアイリーンは、婚約者である第一王子から婚約破棄を言い渡される。
王子の腕にすがる男爵令嬢への嫌がらせを謝罪するように求められるも、身に覚えのない謝罪はできないと断る。その態度に腹を立てた王子から国外追放を命じられてしまった。
アイリーンは、王子と婚約がなくなったことで諦めていた魔法薬師になる夢を叶えることを決意。
薬草の聖地と呼ばれる薬草大国へ、魔法薬の勉強をするために向う。
魔法薬の勉強をする日々は、とても充実していた。そこで出会ったレオナード王太子の優しくて甘い態度に心惹かれていくアイリーン。
ところが、アイリーンの前に再び第一王子が現れ、アイリーンの心は激しく動揺するのだった。
婚約破棄され、諦めていた魔法薬師の夢に向かって頑張るアイリーンが、彼女を心から愛する優しいドラゴン獣人である王太子と愛を育むハッピーエンドストーリーです。
「失礼いたしますわ」と唇を噛む悪役令嬢は、破滅という結末から外れた?
パリパリかぷちーの
恋愛
「失礼いたしますわ」――断罪の広場で令嬢が告げたのは、たった一言の沈黙だった。
侯爵令嬢レオノーラ=ヴァン=エーデルハイトは、“涙の聖女”によって悪役とされ、王太子に婚約を破棄され、すべてを失った。だが彼女は泣かない。反論しない。赦しも求めない。ただ静かに、矛盾なき言葉と香りの力で、歪められた真実と制度の綻びに向き合っていく。
「誰にも属さず、誰も裁かず、それでもわたくしは、生きてまいりますわ」
これは、断罪劇という筋書きを拒んだ“悪役令嬢”が、沈黙と香りで“未来”という舞台を歩んだ、静かなる反抗と再生の物語。
婚約破棄された侯爵令嬢ですが、帝国の次席秘書官になりました ――王の隣ではなく、判断を誤らせない場所へ
ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として王宮に仕える侯爵令嬢ゼクレテァ。
彼女は華やかな場に立つことはなく、ただ静かに、しかし確実に政務と外交を支えていた。
――その役割が、突然奪われるまでは。
公の場で告げられた一方的な婚約破棄。
理由はただひとつ、「愛している相手がいるから」。
ゼクレテァは感情を見せることなく、その決定を受け入れる。
だが彼女が王宮を去った後、王国には小さな歪みが生じ始めた。
些細な行き違い、遅れる判断、噛み合わない政策。
それらはやがて、国家全体を揺るがす事態へと発展していく。
一方、行き場を失ったゼクレテァの前に、思いもよらぬ「選択肢」が差し出される。
求められたのは、身分でも立場でもない。
彼女自身の能力だった。
婚約破棄から始まる、
静かで冷静な逆転劇。
王の隣に立つことを拒んだ令嬢は、
やがて「世界を動かす場所」へと歩み出す――。
-
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。
愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。
ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。
ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。
二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。
時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し……
全ては、愛する人と幸せになるために。
他サイトと重複投稿しています。
全面改稿して投稿中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる