426 / 838
二年生の一学期
🍛🌶👀
しおりを挟む
咀嚼していた南が、唇を手の甲で覆って飲み込む。
「飲食は結構重労働な業界だから、こういう賄い出るのも分かる気がする。早いし手間ないし、パワー出る。白身はお味噌に入れてかきたまにしようね。わたしおかわりしよ」
春樹が続ける。
「2011年の震災直後から被災地に入ってたみたいだったよ。その時、社長さんも来ていたんだけど、現場を管理する社員の一人は、もう何ヶ月もいっぱなしだって」
「うわ、大変」と奈緒が舌を巻いた。
「でも、そのおかげで、被災した人たちは冷たい料理で気分が萎れてしまわずに済んだのよね」
杏奈の発言に、春樹が補足した。
「ああ、協力し合う人間ってすげー力を発揮するんだなって思った。普段はライバル同士の店が協力して代わる代わる拠点に来て料理提供したらしい。近隣の人だって、家が無事だった人は、庭で汲み上げてる地下水提供してくれたり、電気貸してくれたりしたしな」
「電気復旧してたんだ」務が訊く。
「ああ。けっこう早かったらしいよ。すごい勢いで電柱が建てられていって、二カ月目くらいには電気来たって」
「こういう経験も、いつか役に立つかもしれないね。東京でなにかあっても、もし僕たちがこの経験を活かしてボランティアに回れたら、その時は被災者が五人減るじゃない。ここでの出来事は思い出の中だけにとどまらずに、未来の近隣地域のためにも役立つんだと思うと、今感じている以上に大切な経験なのかもしれないね」
讃するような瞳の煌めきを務に向けた杏奈が、みんなに微笑みかけて眼差しを送る。
「それじゃあ、最後までめいっぱい楽しみましょうよ」
柔らかい照射のバルコニーで食べる朝ごはんは、終始賑やかに進んだ。
「あー、バナナ。バナナ買うの忘れた」奈緒が落胆の悲鳴を上げる。
すると南が噴飯しそうになって、グラスの水を一口飲む。そして、足元に置いてあった荷物を持ち上げた。
「あはは、やっと思い出したの? あるよ、ここに。ほら」リュックから取りだす。
「えー? 昨日食べた?」
「ううん。いつ思い出すのかなぁって見てた」
「教えてくれてもいいのに」
「ごめんごめん。ちょっと見ていて面白かったから」
「飲食は結構重労働な業界だから、こういう賄い出るのも分かる気がする。早いし手間ないし、パワー出る。白身はお味噌に入れてかきたまにしようね。わたしおかわりしよ」
春樹が続ける。
「2011年の震災直後から被災地に入ってたみたいだったよ。その時、社長さんも来ていたんだけど、現場を管理する社員の一人は、もう何ヶ月もいっぱなしだって」
「うわ、大変」と奈緒が舌を巻いた。
「でも、そのおかげで、被災した人たちは冷たい料理で気分が萎れてしまわずに済んだのよね」
杏奈の発言に、春樹が補足した。
「ああ、協力し合う人間ってすげー力を発揮するんだなって思った。普段はライバル同士の店が協力して代わる代わる拠点に来て料理提供したらしい。近隣の人だって、家が無事だった人は、庭で汲み上げてる地下水提供してくれたり、電気貸してくれたりしたしな」
「電気復旧してたんだ」務が訊く。
「ああ。けっこう早かったらしいよ。すごい勢いで電柱が建てられていって、二カ月目くらいには電気来たって」
「こういう経験も、いつか役に立つかもしれないね。東京でなにかあっても、もし僕たちがこの経験を活かしてボランティアに回れたら、その時は被災者が五人減るじゃない。ここでの出来事は思い出の中だけにとどまらずに、未来の近隣地域のためにも役立つんだと思うと、今感じている以上に大切な経験なのかもしれないね」
讃するような瞳の煌めきを務に向けた杏奈が、みんなに微笑みかけて眼差しを送る。
「それじゃあ、最後までめいっぱい楽しみましょうよ」
柔らかい照射のバルコニーで食べる朝ごはんは、終始賑やかに進んだ。
「あー、バナナ。バナナ買うの忘れた」奈緒が落胆の悲鳴を上げる。
すると南が噴飯しそうになって、グラスの水を一口飲む。そして、足元に置いてあった荷物を持ち上げた。
「あはは、やっと思い出したの? あるよ、ここに。ほら」リュックから取りだす。
「えー? 昨日食べた?」
「ううん。いつ思い出すのかなぁって見てた」
「教えてくれてもいいのに」
「ごめんごめん。ちょっと見ていて面白かったから」
0
あなたにおすすめの小説
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
ぼっち陰キャはモテ属性らしいぞ
みずがめ
ライト文芸
俺、室井和也。高校二年生。ぼっちで陰キャだけど、自由な一人暮らしで高校生活を穏やかに過ごしていた。
そんなある日、何気なく訪れた深夜のコンビニでクラスの美少女二人に目をつけられてしまう。
渡会アスカ。金髪にピアスというギャル系美少女。そして巨乳。
桐生紗良。黒髪に色白の清楚系美少女。こちらも巨乳。
俺が一人暮らしをしていると知った二人は、ちょっと甘えれば家を自由に使えるとでも考えたのだろう。過激なアプローチをしてくるが、紳士な俺は美少女の誘惑に屈しなかった。
……でも、アスカさんも紗良さんも、ただ遊び場所が欲しいだけで俺を頼ってくるわけではなかった。
これは問題を抱えた俺達三人が、互いを支えたくてしょうがなくなった関係の話。
【完結】メインヒロインとの恋愛フラグを全部ブチ壊した俺、サブヒロインと付き合うことにする
エース皇命
青春
《将来ヤンデレになるメインヒロインより、サブヒロインの方が良くね?》
16歳で自分が前世にハマっていた学園ドラマの主人公の人生を送っていることに気付いた風野白狼。しかしそこで、今ちょうどいい感じのメインヒロインが付き合ったらヤンデレであることを思い出す。
告白されて付き合うのは2か月後。
それまでに起こる体育祭イベント、文化祭イベントでの恋愛フラグを全てぶち壊し、3人の脈ありサブヒロインと付き合うために攻略を始めていく。
3人のサブヒロインもまた曲者揃い。
猫系ふわふわガールの火波 猫音子に、ツンデレ義姉の風野 犬織、アニオタボーイッシュガールの空賀 栗涼。
この3人の中から、最終的に誰を選び、付き合うことになるのか。てかそもそも彼女たちを落とせるのか!?
もちろん、メインヒロインも黙ってはいない!
5人の癖強キャラたちが爆走する、イレギュラーなラブコメ、ここに誕生!
※カクヨム、小説家になろうでも連載中!
俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。
甘酢ニノ
恋愛
彼女いない歴=年齢の高校生・相沢蓮。
平凡な日々を送る彼の前に立ちはだかるのは──
学園一の美少女・黒瀬葵。
なぜか彼女は、俺にだけやたらとツンツンしてくる。
冷たくて、意地っ張りで、でも時々見せるその“素”が、どうしようもなく気になる。
最初はただの勘違いだったはずの関係。
けれど、小さな出来事の積み重ねが、少しずつ2人の距離を変えていく。
ツンデレな彼女と、不器用な俺がすれ違いながら少しずつ近づく、
焦れったくて甘酸っぱい、青春ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる