FRIENDS

緒方宗谷

文字の大きさ
795 / 838
三年生の一学期

第二百五十三話 白いF型ワゴン。

しおりを挟む
 車から降りてきたのは、女性社員の畑中恵と男性アルバイトの佐久間雅隆だった。その他にはアルバイトで元体育教師の男性職員斎藤辰巳が後部座席に乗っていた。
「おはよう ござます、ございます、成川先生」男の子が真っ先に下りてきて、お辞儀をする。
「成瀬先生でしょう?」恵が訂正するが、それを否定して、「いいの、もう知らない」と中に入った。
「謙信君、おはようございます。今日も青い服装で格好いいね。お船もすてき」
 奈緒が言うと、謙信がちょっと怒る。
「いいじゃん、べつに。言わないで、もう言わないで」そう言って靴をかたすと、走っていって遊び始める。
 助手席に乗っていた男の子が窓から手を振ってきたので、この子も振り返す。勘助君というその男の子は、支柱付き靴型装具を装着しているので、半身不随の奈緒では車から降ろすことはできない。なので、邦夫君と巴瑞季(はずき)ちゃんの降りる手伝いをする。
 そうこうするうちに勘助君がやってきて、「んー、んー」と言いながら、頭を撫でたり優しく叩いたりしてきた。同じ高校三年生で菜緒より背が高いので、いつも押し倒されそうになる。だが、彼は力加減が分かっているのか、ふしぎと転ばされたことはない。
 勘助君は、中年の斎藤先生に連れられて椅子に座って、自ら靴を脱いで靴箱に入れる。男の先生に掴まって飛び跳ねるのが大好きなので、挨拶以降、奈緒は接触する機会があまりない。
 車椅子に座る高[たかし]君と寧々ちゃんが、おむつ交換用の部屋の前に連れていかれた。奈緒は、最後に下ろされた佐奈ちゃんのバギーを押して、二人の後ろに停める。
 秋人君が、奈緒の背中に呼びかけた。
「今度僕、バギーで来ようかな」
「いいなぁ、秋人君格好いいから、バギー似合うよ、きっと」
「ほんとー? 成瀬せんせー、だいすきー」
「わたしも秋人君だいすきー」












しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。 「再婚するから」 そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。 次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。 それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。 ※他サイトにも掲載しております

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

讃美歌 ① 出逢いの章              「礼拝堂の同級生」~「もうひとつの兆し」

エフ=宝泉薫
青春
少女と少女、心と体、美と病。 通い合う想いと届かない祈りが織りなす終わりの見えない物語。

カノジョのいる俺に小悪魔で金髪ギャルの後輩が迫ってくる

中山道れおん
青春
鎌ヶ谷右京(かまがや うきょう)は高校一年生のときに人生で初めてのカノジョができた。 恋人である市川栞梨(いちかわ しおり)と少しずつ関係を深めていき、幸せな日々を送る右京。 しかし高校二年生に進級すると、中学生のときの後輩である野田良子(のだ りょうこ)と再会したことがきっかけとなり、右京の幸せな日々は歪に形を変えていくのであった。 主人公もヒロインもそれぞれ一途な想いを持っている。 だけど、なぜか不純愛の世界へと導かれていく。 果たして、それぞれの一途な想いはどこへ向かっていくのか。 この物語は一途な想いを持つ者たちによる不純愛ラブコメである!

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』

本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」 かつて、私は信じていた。 優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な── そんな普通のお兄ちゃんを。 でも── 中学卒業の春、 帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、 私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった! 家では「戦利品だー!」と絶叫し、 年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、 さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!? ……ちがう。 こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない! たとえ、世界中がオタクを称えたって、 私は、絶対に── お兄ちゃんを“元に戻して”みせる! これは、 ブラコン妹と 中二病オタク姫が、 一人の「兄」をめぐって 全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──! そしていつしか、 誰も予想できなかった 本当の「大好き」のカタチを探す、 壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。

処理中です...