#秒恋3 友だち以上恋人未満の貴方に、甘い甘いサプライズを〜貴方に贈るハッピーバースデー〜

ReN

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piece3 パーティー前日

彩奈のリビングデコレーション

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「わあっ!綺麗……」
レモンティーを乗せたトレーを手にしたまま、悠里は目を輝かせる。

彩奈が飾りつけてくれたリビングの壁は、シックながらも暖かいお祝いの気持ちに溢れていた。

金色で書かれた『happy birthday』のウォールステッカー。
その右側半分ほどを囲む形で、グリーンのリーフが飾られている。

そして下の方から、白・淡い金色・銀色の風船が華やかに配置されていた。
まるで空に舞い上がるように、だんだんと上の方に取り付けられた風船。

1番上の白い風船には、さりげなく『happy birthday』『2/14』と書かれていた。

「どう? シバさんのイメージ的に、派手な感じよりも、大人っぽく仕上げた方がいいかなと思って」
「すごい。すごく綺麗で大人っぽいし、シックだけど華やかで、本当すごい!」

もっと言葉を尽くしたいのに、悠里の口からは「すごい」ばかりが溢れ出る。
彩奈が声をあげて笑った。
「ホント? どっか直したいところとか、付け加えたいとかはない?」
「ないない!彩奈の完璧だもん!」


写真部の彩奈。
彼女の撮る写真はいつも、構図や光の加減、角度が丁寧に考えられていて、被写体への愛が伝わってくる。

そのセンスと気持ちを最大限に発揮して、部屋を飾ってくれたのだと思うと、改めて悠里の心は感謝でいっぱいになる。

「レモンティー、いい香り!」
暖かい笑みを浮かべて、彩奈が言った。
「お茶しよ、悠里!」


「そう言えば今日、ヤローたちはどこに出かけてるんだっけ」
レモンティーを片手にクッキーをつまみ、彩奈が問いかけた。

悠里はにっこり微笑んで答える。
「拓真さんが、楽器店に行くって言ってたよ。前に、ゴウさんとお出かけしたときに、拓真さんのプレゼントにバンドスコアを買いに行ったところ」

「ああ、悠里とシバさんの初デェトん時ね!」
彩奈が顔いっぱいに、ニヤニヤ笑いを広げた。

「でも、あれからまだ2人で出かけてないでしょ!早くまたデートしなよー!」
たちまち悠里は耳まで真っ赤になる。

「そ、そんな。ゴウさんは1月もバスケの大会があったし、忙しいんだよ。彩奈だって、一緒に応援行ったじゃない」
「うんうん、シバさん輝いてた! まあ私は、シバさんを熱心に応援する悠里を応援してたんだけどね」
「な、何それ!」

ますます動揺する悠里を見て、彩奈のニヤニヤ笑いは止まらない。
悠里は、しどろもどろに言う。
「ゴウさんは、忙しい合間を縫って私たちと会ってくれるんだから、私、充分嬉しいもん」

「あれ~?もしかして私と拓真くん、貴重な2人の時間を邪魔しちゃってるかな?」
「し、してない、してないよ!」
慌てて悠里は首を左右に振った。
「私、4人でいるの大好きだもん!」

「あはは~!そう? 私たちに遠慮なく、イチャついていいんだからね? 特に明日!」
「もう、彩奈!」
真っ赤になったまま、むくれた悠里の頭を、彩奈が笑いながら撫でる。


そのとき、彩奈のバッグの中でスマートフォンが震えた。
「……ん?メッセージだな」
彩奈が悠里の隣から立ち上がり、バッグの中からスマートフォンを取り出す。

画面を確認した彩奈が、ぷっと吹き出し、悠里の元に戻ってきた。
「あはは、なんか拓真くんから、面白いスリーショットが来たんだけど」
「ふふ、なぁに?」

悠里は、自分に向けられたスマートフォンの画像を覗き込んだ。
「あ、店長さんだ」
剛士と一緒に行った楽器店の店主を囲み、剛士と拓真が笑顔で映っていた。

「なんか、めちゃめちゃ仲良さそうじゃん!」
彩奈が楽しげに笑い出す。

さすがは拓真といったところだろう。
初対面の店主とも、すっかり意気投合したのが、画像の和やかな雰囲気から伝わってきた。
拓真が敬愛しているバンドの話題で盛り上がっている光景が、目に浮かぶ。


「よし、こっちも送ろう!」
言うが早いか、彩奈は悠里に寄り添い、スマートフォンのカメラを起動する。
ぴたりと頭をくっつけて、2人は写真に収まった。

「よし!悠里はいただいた!っと」
拓真への返信だが、明らかに剛士宛である。
ほんの数十秒で、再び彩奈のスマートフォンが震えた。
「返信早っ!」
彩奈がメッセージを開き、笑いながら悠里に見せた。

『明日は貸せよ』

かあっと悠里の頬が熱くなる。
拓真と彩奈のスマートフォンを経由して届けられた剛士の声に、胸の高鳴りが止まらない。

『たまには貸せよ?』
そう言って、悠里の頭を撫でてくれた大きな手の温もりが、蘇るようだった。

「ちょっともう、最近のシバさん、グイグイ来るよね! これはもう秒読みなんじゃないの!?」
興奮した彩奈にグシャグシャと髪を撫でられ、悠里は我に帰る。

「愛されてるねえ、悠里?」

何と返すこともできず、悠里は真っ赤になった顔を両手で隠すしかなかった。
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