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piece3 パーティー前日
悠里のケーキ作り
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部屋のデコレーションは彩奈に任せ、悠里はケーキ作りを開始する。
材料の計量を終え、ハンドミキサーで卵白を泡立てる。
ふわふわに泡立ち、グラニュー糖を加えて更に混ぜていくと、ツヤのあるメレンゲに変わっていく。
こうして手を加えていくごとに、美味しくなるための変化が訪れる。
その工程を見るのが、悠里は好きだ。
鼻歌を零しながら、悠里はひとつひとつの作業に、丁寧に向き合った。
生地の準備ができあがり、型に流し込む。
空気を抜くために型を少し高いところから落としていると、彩奈がワクワクした顔でキッチンにやって来た。
「順調?」
「彩奈!」
悠里が笑顔で迎える。
「うん!今からオーブンに入れるところだよ」
彩奈が楽しそうに型の中を覗き込む。
「ああ~もう既に、美味しそうな予感が、ぷんぷんする!」
「あはは、ありがと!」
悠里は笑いながらオーブンの蓋を開けた。
願いを込めて、ケーキの型を送り出す。
「美味しくなあれ!」
2人は両手を合わせて、オーブンに祈りを捧げた。
ケーキが焼けるまでは、約40分。
その間に悠里は、デコレーションに使うアイシングクッキーの仕上げをする。
「見ててもいい?」
「もちろん!」
傍らに立つ彩奈に、悠里はにっこりと微笑みかけた。
悠里は嬉しそうに、昨夜のうちに下塗りしておいたクッキーを取り出す。
「わあ!可愛い!もうここまで出来上がってるんだ!」
彩奈が歓声を上げた。
悠里は微笑んで頷く。
「うん!アイシングが固まるのに時間がかかるから、下地の色は昨日塗って乾かしておいたんだ」
今日は枠を描いたり、文字を書いたりするよ!と悠里は道具を取り出した。
彩奈は、悠里が手慣れた様子でボールの線を描いたり、ゴールネットを描く様子を感心して見つめた。
「……悠里、マジで、めちゃめちゃ練習したんだね」
「え?」
アイシングを入れたコルネを持ったまま、きょとんと悠里は彩奈を見つめる。
「だって、こんな難しいのをさ、そんなにスラスラ綺麗に描けないでしょ普通! 練習の跡が見えまくりですよ。本当、がんばったね」
愛の成せる技だねえ、としみじみした口調で言い、彩奈は彼女の頭を撫でた。
「そ、そんな……」
パッと悠里は頬を赤らめる。
「練習してたら、楽しくなっちゃっただけ。ゴウさんの誕生日をお祝いできると思ったら、嬉しくて……」
「嬉しくて!」
彩奈が歓声を上げた。
「そっかそっかあ。嬉しいんだね、悠里!」
暖かい笑みを浮かべ、彩奈が頷く。
赤メガネの下の目が、キラキラと輝いていた。
時には悠里をからかいながらも、いつも見守り、励まし、助けてくれる彩奈。
彼女がいるから、自分はがんばれるのだと悠里は思う。
「彩奈。……見ててね」
これからも見守っていてね、とは気恥ずかしさが勝って言えない。
あくまで今のアイシング作業のことを示すように悠里は言い、彩奈に笑いかけた。
無事にユニフォーム型クッキーの文字入れも完成し、悠里はホッとひと息つく。
「完成?」
ワクワクした声で、彩奈が問いかけてくる。
悠里はにっこり笑って頷いた。
それから嬉しそうに冷蔵庫を開ける。
「そうそう、これ見て!」
取り出したのは、彩奈のアイディアで作った、スコアボード風の日付プレートだった。
これはホワイトチョコとビターチョコで作っており、アイシング作業が必要ないパーツなので、昨夜のうちに完成させたのだ。
彩奈が目を輝かせる。
「わあ、すごい!めちゃめちゃスコアボードだ!日付書いてある!ボール付いてる!Goushiって書いてあるー!」
手を叩いて喜んでくれる彩奈に、思わず悠里は笑ってしまう。
「彩奈のおかげだよ?」
「全然!悠里の実力です!愛です!」
「あははっ」
はしゃぐ2人の仲間に入ろうとするように、オーブンが、ケーキの焼き上がりを告げる。
悠里はいそいそとオーブンを開け、焼け具合をチェックした。
「……うん、大丈夫!」
ケーキに刺した竹串を確認し、悠里は微笑む。
キッチンミトンを両手に付けてケーキ型を取り出すと、えいっ!と掛け声をあげて、型を落とした。
「おわっ!?悠里、大丈夫なの?」
目を丸くする彩奈を見て、悠里は笑いながら答えた。
「こうやって、焼けてすぐに型ごと落とすと、焼き縮みしないんだよ」
「へえ~!」
お菓子作りは奥が深いねえ、と彩奈はしみじみと頷いた。
悠里は鼻歌混じりに濡れ布巾を用意し、型からケーキを取り出した。
「こうして、冷めるまで置いておくよ」
網に乗せたケーキの上に、丁寧に濡れ布巾をかけて、悠里は微笑んだ。
「あ、じゃあ休憩?」
彩奈が悪戯っぽく首を傾げる。
「うん!そうだね!お茶淹れるよ」
「やったあ」
彩奈はパチパチと手を叩いてから、嬉しそうに言った。
「休憩がてら、リビングのデコレーション、見てくれる?」
悠里は大きく頷いた。
「うん!ありがとうね!」
材料の計量を終え、ハンドミキサーで卵白を泡立てる。
ふわふわに泡立ち、グラニュー糖を加えて更に混ぜていくと、ツヤのあるメレンゲに変わっていく。
こうして手を加えていくごとに、美味しくなるための変化が訪れる。
その工程を見るのが、悠里は好きだ。
鼻歌を零しながら、悠里はひとつひとつの作業に、丁寧に向き合った。
生地の準備ができあがり、型に流し込む。
空気を抜くために型を少し高いところから落としていると、彩奈がワクワクした顔でキッチンにやって来た。
「順調?」
「彩奈!」
悠里が笑顔で迎える。
「うん!今からオーブンに入れるところだよ」
彩奈が楽しそうに型の中を覗き込む。
「ああ~もう既に、美味しそうな予感が、ぷんぷんする!」
「あはは、ありがと!」
悠里は笑いながらオーブンの蓋を開けた。
願いを込めて、ケーキの型を送り出す。
「美味しくなあれ!」
2人は両手を合わせて、オーブンに祈りを捧げた。
ケーキが焼けるまでは、約40分。
その間に悠里は、デコレーションに使うアイシングクッキーの仕上げをする。
「見ててもいい?」
「もちろん!」
傍らに立つ彩奈に、悠里はにっこりと微笑みかけた。
悠里は嬉しそうに、昨夜のうちに下塗りしておいたクッキーを取り出す。
「わあ!可愛い!もうここまで出来上がってるんだ!」
彩奈が歓声を上げた。
悠里は微笑んで頷く。
「うん!アイシングが固まるのに時間がかかるから、下地の色は昨日塗って乾かしておいたんだ」
今日は枠を描いたり、文字を書いたりするよ!と悠里は道具を取り出した。
彩奈は、悠里が手慣れた様子でボールの線を描いたり、ゴールネットを描く様子を感心して見つめた。
「……悠里、マジで、めちゃめちゃ練習したんだね」
「え?」
アイシングを入れたコルネを持ったまま、きょとんと悠里は彩奈を見つめる。
「だって、こんな難しいのをさ、そんなにスラスラ綺麗に描けないでしょ普通! 練習の跡が見えまくりですよ。本当、がんばったね」
愛の成せる技だねえ、としみじみした口調で言い、彩奈は彼女の頭を撫でた。
「そ、そんな……」
パッと悠里は頬を赤らめる。
「練習してたら、楽しくなっちゃっただけ。ゴウさんの誕生日をお祝いできると思ったら、嬉しくて……」
「嬉しくて!」
彩奈が歓声を上げた。
「そっかそっかあ。嬉しいんだね、悠里!」
暖かい笑みを浮かべ、彩奈が頷く。
赤メガネの下の目が、キラキラと輝いていた。
時には悠里をからかいながらも、いつも見守り、励まし、助けてくれる彩奈。
彼女がいるから、自分はがんばれるのだと悠里は思う。
「彩奈。……見ててね」
これからも見守っていてね、とは気恥ずかしさが勝って言えない。
あくまで今のアイシング作業のことを示すように悠里は言い、彩奈に笑いかけた。
無事にユニフォーム型クッキーの文字入れも完成し、悠里はホッとひと息つく。
「完成?」
ワクワクした声で、彩奈が問いかけてくる。
悠里はにっこり笑って頷いた。
それから嬉しそうに冷蔵庫を開ける。
「そうそう、これ見て!」
取り出したのは、彩奈のアイディアで作った、スコアボード風の日付プレートだった。
これはホワイトチョコとビターチョコで作っており、アイシング作業が必要ないパーツなので、昨夜のうちに完成させたのだ。
彩奈が目を輝かせる。
「わあ、すごい!めちゃめちゃスコアボードだ!日付書いてある!ボール付いてる!Goushiって書いてあるー!」
手を叩いて喜んでくれる彩奈に、思わず悠里は笑ってしまう。
「彩奈のおかげだよ?」
「全然!悠里の実力です!愛です!」
「あははっ」
はしゃぐ2人の仲間に入ろうとするように、オーブンが、ケーキの焼き上がりを告げる。
悠里はいそいそとオーブンを開け、焼け具合をチェックした。
「……うん、大丈夫!」
ケーキに刺した竹串を確認し、悠里は微笑む。
キッチンミトンを両手に付けてケーキ型を取り出すと、えいっ!と掛け声をあげて、型を落とした。
「おわっ!?悠里、大丈夫なの?」
目を丸くする彩奈を見て、悠里は笑いながら答えた。
「こうやって、焼けてすぐに型ごと落とすと、焼き縮みしないんだよ」
「へえ~!」
お菓子作りは奥が深いねえ、と彩奈はしみじみと頷いた。
悠里は鼻歌混じりに濡れ布巾を用意し、型からケーキを取り出した。
「こうして、冷めるまで置いておくよ」
網に乗せたケーキの上に、丁寧に濡れ布巾をかけて、悠里は微笑んだ。
「あ、じゃあ休憩?」
彩奈が悪戯っぽく首を傾げる。
「うん!そうだね!お茶淹れるよ」
「やったあ」
彩奈はパチパチと手を叩いてから、嬉しそうに言った。
「休憩がてら、リビングのデコレーション、見てくれる?」
悠里は大きく頷いた。
「うん!ありがとうね!」
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