#秒恋3 友だち以上恋人未満の貴方に、甘い甘いサプライズを〜貴方に贈るハッピーバースデー〜

ReN

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piece4 楽しい遊園地

2人きりの電車

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待ち合わせ場所である駅のホームに辿り着くと、すぐに長身の彼を見つけることができた。
「ゴウさん!」
悠里は笑顔で駆け寄る。

「よお」
「おはよう!お待たせしました」
悠里は彼を見上げ、元気に挨拶をする。

いつも着ている黒のダウンジャケットの下は、初めて2人で出掛けたときのヒヤシンスブルーのセーターだった。

偶然とはいえ、嬉しい。
悠里が着ているネイビーのワンピースは、彼のセーターを意識して買ったものだった。

ーーまたこの服で、一緒に歩けるなんて。
悠里の胸が心地好く高鳴った。

あの日の剛士は黒のパンツを履いていたが、今日はカーキのパンツを合わせている。
爽やかな印象のコーディネートだ。

優しく微笑んでくれた剛士の手を、悠里は無意識に握ってしまう。
珍しく彼女の方から手を繋いできたのを見て、剛士は照れたように笑みを深めた。

「……何か今日は、元気だな?」
「ふふ、いつも通りだよ?」
とぼけたように、悠里は微笑む。
「ゴウさん、ありがと」
「ん?」
ふっと笑い、剛士は彼女の小さな手をしっかりと握り直した。
悠里は嬉しそうに頬を染める。

「じゃ、行くか」
「うん!」
お互いの優しい温もりを感じながら、2人は到着した電車に乗り込んだ。


程よく混んだ電車で、2人はドア付近、寄り添うように立つ。
遊園地のある駅まで、ずっと反対側のドアが開くので、落ち着いて居られる場所だった。

「いい天気で良かったね」
「そうだな、あまり寒くないし」
「ふふ、寒いの苦手?」
「ん、苦手だな」
「可愛い」
「はは、うっせ」

手を繋いだまま、他愛のない話をする。
「ゴウさんは子どもの頃、あの遊園地にはよく行った?」
「うーん、そうだな。あそこには本当に小さいうちしか行ってないけど、別の遊園地には、よく連れてかれたな。4つ上の兄貴がいるんだけど、そいつが行きたがるからさ」

悠里は目を丸くする。
「ゴウさん、お兄さんがいるんだ」
「うん、大学3年の。1人暮らししてるから、全然会わないけどな」
そんな仲良くもないし、と僅かに顔を歪め、剛士は言った。

彼には珍しい表情だった。
確かに今まで、彼の口から兄の話が出たことはなかった。

あまり触れてはいけない話題なのかと、少し心配そうな顔をする悠里。
そんな彼女を見、剛士は微苦笑を浮かべて頭を撫でた。
「まあ男兄弟なんて、そんなもんだよ」
「ん、そっかあ」


「お前と悠人は、仲良いよな」
剛士の口から弟の名が出てきたことに、驚きと喜びが入り混じる。
思わず照れ笑いを浮かべながら、悠里は答えた。
「そ、そうかな。うん、仲は悪くないと、思う」

「前に会ったときも、めちゃめちゃテンション高かったもんな」
「ふふ、あれはゴウさんと会ったからだよ。今日も、私がゴウさんと会うって知った途端、オレも会いたい!って騒いでたんだよ、あの子」

剛士が明るい笑みを零す。
「そっか。じゃあ早く、約束果たさないとな」


『オレにスリーポイントのコツ、教えてください!』
剛士に向かって、勢いよく頭を下げた悠人の姿を思い返す。


悠人との約束を、剛士から口にしてくれたことに、暖かい感謝の気持ちが湧き上がった。

「ゴウさん。ありがとう」
「いや、むしろ、なかなか時間取れなくてごめんな」
近いうちに必ず時間作るから、と剛士が繋いだ手に力を込める。
その暖かさに頬を染めながら、悠里は微笑む。

「ゴウさんは、優しいね」
「ん? 別に、お前の弟だし」
「姉弟そろって、ゴウさんにお世話になっちゃうね」
冗談めかした悠里の言葉に、剛士が、ふっと小さく笑う。
「……するよ。いくらでも」

優しい声と、少しだけ悪戯っぽい笑顔に、悠里の頬はたちまち真っ赤になってしまった。
「お前って本当、すぐ赤くなるよな」
「ゴ、ゴウさんのせいです……」

剛士は、笑いながら悠里の髪を撫でる。
ますます色づいてしまう顔を持て余しながらも、このままずっと、彼の優しい温もりを感じていたいと思うのだった。
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