人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
507 / 515
第十章

心臓を捧げよ1

しおりを挟む
「どわっ!?」

「にょわ!?」

 もはや心地よさすら感じ始めた熱気と金属の音を感じて目を開けるとドアップで優斗の顔があった。
 圭が驚いて飛び起きたものだから上に乗って寝ていたシャリンが跳ね飛ばされてびっくりした。

「あっと……悪いな。人を呼ぶとそこに出てくるらしい」

 イスギスが作業を中断して圭の様子を覗き込む。
 圭が寝ていた横に優斗が呼び出されていた。

 イスギスがコントロールしているわけではなくイスギスの工房の中で圭がいつも現れる場所が圭の世界と一番繋がりやすい場所なのでそこに出てきてしまうのだ。
 当然優斗も呼び出せば圭と同じ場所に出てきてしまうのも仕方ないことなのである。

「そいつが優斗か?」

「ああ、ここに優斗君がいるってことは賄賂上手くいったんだな」

「効果抜群だ」

 イスギスは歯を見せてニカッと笑う。
 優斗がいるならばどうだと結果を聞かなくても分かる。

 お酒賄賂作戦は成功したのだ。

「むしろ酒をくれってうるさいやつまで出てくる始末だ。ほらよ」

「ん? なんだこれ?」

 イスギスが投げた何かを圭は自然とキャッチした。
 見てみると赤くて小さなビー玉のようなものだった。

「酒をくれってうるさくてしつこい奴が一人いてな。ただ今回のことに力を貸すこともできなさそうだから無視してたらそれやるからってよ」

「んでなんなんだよ?」

『エラー! 登録がありません!』

 圭が真実の目で見ようとしても玉の情報を見ることができない。
 登録がありませんなんて初めて見る。

「それを飲み込むととある世界で戦神だった奴の力を借りることができる。一度だけだが効果はあるはずだ」

「すごいものなんだな」

「ハチミツ味らしいぞ」

「へぇ……」

 少し舐めてみようかとも思ったけどそれで効果発動してはもったいない。
 圭は戦神の玉を収納袋に入れていざという時に使おうと思った。

「んじゃ追加のお酒も置いとくぞ」

 新しく家に届いたお酒とか買い足したお酒もあるので出しておく。

「おぉー! ありがとう!」

『ヴェルガドザドルがお酒の匂いを嗅ぎつけました!
 あなたに注目しています!』

「えっ?」

「おい! 人ん家勝手に覗いてんじゃねえよ!」

 急に表示が現れて圭は驚く。
 ヴェルガドザドルがなんなのか知らないけど圭の様子を見てイスギスが怒ったように天井に声をかけた。

「これって……」

「さっき言ってたしつこい奴だよ。どうやらお前が来るの見張ってたみたいだな。結構強い力持つ神なんだが……酒が好きらしい」

「注目されて大丈夫なのか……?」

「ウルセェ奴だけど悪神じゃない。あいつの世界も滅びたんだけど人間がいる世界でこちらの世界の人間にも好意的だ。注目されても悪いことはしないだろう。むしろ接触してくるかもな」

 しばらく天井を睨みつけていたイスギスはため息をついて椅子に座った。
 流石に一月も準備期間があった前回よりもお酒の量は少ないが、前にもらったものもまだあるので自分で楽しむぐらいもできるだろうと口の端が上がってしまう。

「にしてもそいつ起きないな」

 結構騒がしくしていたのに優斗はまだスヤスヤと寝息を立てている。

「これ食べていい?」

「ああ、いいぞ。その代わりあいつ起こしてくれ」

「分かった~」

 シャリンがテーブルの上にあったお皿を指差した。
 そこにはお酒のつまみとして炒った豆があった。

 優斗も一応覚醒者である。
 そう簡単には死なないと思うけどシャリンに任せて大丈夫かなと様子をうかがう。

「スゥー……起きろー!」

「うわっ!? 何、何!? 耳が……えっ!?」

 優斗の耳に口を寄せたシャリンは声に魔力を込めて叫んだ。
 少し離れていた圭ですら耳がキンとなったのだから間近で叫ばれた優斗は直接耳の中を殴られたような衝撃を受けていた。

 加えて起きて目を覚ましてみると知らない場所にいるのだから混乱も大きい。

「あ、あれ? 僕、家で寝てたはずなのに……」

 耳鳴りがする中で優斗はキョロキョロと周りのことを見る。
 寝ぼけて自分の家の工房に来てしまったのかと一瞬考えたのだけど、自分の家の工房とは作りが違っている。

「おはよう、優斗君」

「あ、村雨さん……」

 自分が初めて来た時もこんなんだったなと優斗の混乱を見ていて圭は思った。

「ここはなんですか?」

「前に言っただろ?」

「前に……まさか鉄鋼竜の?」

「その通りだよ。この人……が工房の主人のイスギスだ」

 人と呼んでいいのか、それとも神様と紹介していいのか悩んだけれど人と呼んでもイスギスに訂正する感じはないのでそのままにしておく。

「あ、あなたが鉄鋼竜を扱える職人なんですね」

「ふっふっ、可愛らしいな」

「あ、え……」

 可愛らしいと言われて優斗が顔を赤くする。
 背が高く体つきもいい優斗はある程度大きくなってから可愛いなどと言われることはなくなっていた。

 イスギスはかなり整った顔をしている。
 綺麗なお姉さんに可愛いなどと言われて優斗も思わず照れしまった。

「ふふふ、これだけで顔を赤くするか」

 顔を赤くしているのもまた可愛らしいなとイスギスは笑う。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

処理中です...