人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第十章

因縁あり3

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「ええと……」

「こいつらはみんな仲間です。俺に話があるならみんなも」

 ヴァルキリーギルドは離れたが隣にいるシャリンや夜滝たち、さらには何故か黒羽もそのまま圭の横にいる。
 ヤンは圭以外は離れてほしそうにしていたが圭に関わることなら仲間のみんなも聞いて然るべきだ。

 リーインに対してヤンが何かを伝え、リーインは軽く頷きながら答える。

「分かりました。では皆様にもお聞きいただきますが、今から話すことは機密事項、くれぐれもご内密にお願いします」

「機密事項……」

 ヤンの言葉にみんながそれぞれ頷く。

「今回我々がこちらに来たのは村雨さんに警告と提案をするためにやってまいりました」

「警告?」

 提案はひとまずよしとして警告など穏やかではない。

「何を警告しに?」

「実はリウ・カイ、彼が村雨さんを狙っているかもしれないのです」

「えっ!?」

「リウ・カイってあの?」

「狙ってるってどういうことなんだよ?」

 予想だにしなかった警告に圭たちに衝撃が走る。
 リウ・カイといえばA級犯罪者である。

 やっていることもA級であれば能力もA級の覚醒者である。
 カイに殺されかけたのは忘れられない苦い記憶である。

 かつて戦った時には直接圭は関係がなかった。
 和輝が持っていた鉄鋼竜の心臓が目的で襲撃してきて巻き込まれたのだ。

「我々はカイのことを追ってきました。奴は海外に渡って巧みに身を隠しながら汚い仕事に手を染めてきました。少し前中国に戻ってきたのですが、そこである仕事を請け負いました」

「それがまさか……」

「村雨圭の暗殺です」

「暗殺って……」

 思っていたよりもはるかに重たい話だった。

「誰かに暗殺を依頼される覚えはありますか?」

「そんな……暗殺なんて……」

 依頼される覚えはない。
 そう言い切りたかったのだがそうとも言えない。

 なぜなら今圭が抱えているものはかなり大きい。
 世界の命運を握っているのだ。

 さらには鉄鋼竜の心臓も一応圭の手元にあるわけだし、ついでに悪魔教に大打撃を与えた要因の一人でもある。
 覚醒者がレベルアップによって強くなれるということを知っていてそれを見抜く目を持っているし、圭に恨みを持っている神や敵対視している神もいる。

 思い当たる節を考えてみると意外とあってしまう。
 ないだろうと言い切る自信が急になくなってしまった。

「何かあるようですね。事情はお聞きしません。こちらでもなぜ暗殺が依頼されたのかまでは把握しておりませんし興味もありません」

「そうですか……」

 何か知ってるなら教えて欲しいと思うのだがリーインたちも暗殺の理由までは掴んでいなかった。

「そこで提案なのですが、我々青龍ギルドに護衛させてもらえませんか?」

「護衛?」

「これまでカイは我々の追跡をたくみにかわし続けてきました。しかしここで村雨圭暗殺という情報を得たことで先回りするチャンスを得ました。あなたのそばにいればカイが現れる。我々はあなたを利用する。逆にあなたも我々を利用して身を守るのはどうでしょうか?」

 暗殺の目的がなんであれカイは圭を狙っている。
 つまり圭のそばにいればそのうちカイが現れるということになる。

 暗殺とはいうがカイはこっそり近づいて気づかぬ間に殺すような殺害はしない。
 目の前に堂々と現れて力でねじ伏せて殺すのだ。

 常に警戒しておけば暗殺されるリスクは下げられるのである。
 圭の近くにいればカイと会うことができるのなら青龍ギルドとしては喜んで護衛を引き受けるつもりだった。

 カイを殺すつもりなので護衛するということと青龍ギルドの目的が合致していることも大きいのである。

「本来ならば我が国に来てほしいですがカイに警戒されてもいけません。それに村雨さんの生活を尊重したいのです」

「……お話は分かりました。ただもう少し細かく話をする時間と考える時間をくれませんか?」

 一口に護衛といってもどう護衛するのか圭には分からない。
 いきなりお願いしますというわけにもいかない。

 受けるにしてももうちょっと詳細に話を詰めていく必要があると感じた。
 ただ今はヴァルキリーギルドと共同で動いている時間である。

 あまりヴァルキリーギルドを待たせてしまうのも申し訳ない。

「確かにいきなりのことで困惑なされるのも当然かと思います。改めて覚醒者協会を通じてご連絡いたします」

 連れてきた人たちを見る限り護衛する気満々だったのではないかと思うのだがリーインと話し合ったヤンは思いの外あっさりと引いてくれた。

「まだカイも本格的には動き出していないと思いますのですぐに襲われることはないでしょう。ですが警戒してください。いつ来るかも分かりませんし、カイに依頼した他に依頼している可能性もあります」

「……分かりました」

「それでは失礼します。日を改めてお会いしましょう」

 リーインたちは再度圭に対して頭を下げると去っていった。

「……なんだかすごい話だな」

「暗殺って……現実離れした話すぎ」

 リーインたちが去った後も圭たちは少し呆然としてしまった。

「暗殺?」

「誰かが命狙ってること」

「むっ、誰が!」

「リウ・カイって人?」

「カイ? 誰それ、殺す……」

 圭が狙われていると知ってシャリンは怒りをあらわにしている。

「待て待て、今狙われてるわけじゃないから……」

 黒い魔力が漏れ出して圭は慌ててシャリンを宥める。

「……とりあえず今は、な」
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