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第五章
最も不幸で、最も幸運な者7
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「む、もうあまり時間がないな」
神殿が大きく揺れた。
「どうしてそんな話を俺にするんだ?」
「それは色々な理由がある。1番大きな理由が君が最も幸運な者だからだ」
「幸運な者? それが一体どうしたというんだ?」
再び神殿が揺れ始めて断続的に揺れが続く。
「幸運とは運命に囚われない力。未来を切り開くことができる刃なのだ。君ならばこの世界の命運を変えられるかもしれない」
「そんな……俺には世界を救うなんて力なんて」
「君は1人ではない。神に届く才能を集めろ。そのゴーレムもそうだ」
「えっ?」
「ピピ?」
「フィーネ、いたのか?」
実はフィーネはずっといた。
基本的には圭のそばにいるフィーネはウェアウルフにさらわれた時も一緒だった。
これまで重たい雰囲気だったし、いざとなれば圭を守るためにひっそりと気配を消していたのである。
「最も不幸で、最も幸運な者よ。この世界を救え」
「なんで俺が不幸なんだ? それにどうしてそんなことを教えてくれるんだ?」
神殿の振動が大きくなってきた。
パラパラと天井の一部が崩れて落ちてきて、立っているのも大変になってきた。
「俺は滅びた世界の神だ」
メシルは悲しそうに笑った。
「俺の世界もこのくだらないゲームに巻き込まれて、滅んでしまった。この世界の者がゲートと呼ぶものは滅ぼされた世界のカケラなのだ。俺は……このゲームを恨み、くだらない娯楽を楽しむ奴らにお返しがしてやりたいのさ」
「くっ……!」
さらに大きく揺れて圭は立っていられなくなった。
そんな中でもメシルはまるで何事もないかのように平然と立っている。
「もっと伝えたいことはたくさんある。けれど時間がないのだ。このゲームを恨む神はたくさんいる。塔は俺の時にはなかった新たなシステムだ。塔を登れ。そこにも俺と同じくゲームを恨むものがいる」
「ま、待て!」
まだ聞けたことは少ししかない。
まだまだ聞きたいことはたくさんあるのに揺れて声すら出すのが辛い。
「疑問があるのは分かる。知りたいなら強くなれ。そうすれば世界も救えるかもしれない」
メシルは揺れの中を歩いて圭に近づいてきた。
「お前の仲間に魔法使いの女がいるな。俺の力を与えよう。これで神に届くものになれるはずだ。これを飲ませろ」
メシルは圭の手に何かを握らせた。
「きっと他の神からも接触があるだろう。君の幸運が世界を救えるものであることを願うよ。そして気をつけろ……人の中にも裏切り者がいる」
地震どころではなく何かにシェイクされているほどの揺れに神殿が崩壊し始めた。
圭は言葉を発しようとしたけれど何も言葉にならず、意識が真っ暗になった。
「アウターゴッド……この世界はお前たちの好きにはさせない」
ーーーーー
「圭!」
「圭さん!」
「お兄さん!」
「圭さん!」
「マスター!」
圭の目が覚めるとそこはテントの中だった。
「何が……あったんだ?」
「それはこっちのセリフだよ」
二重ゲートの外でウェアウルフと戦った夜滝たち。
最初に襲いかかってきた勢いはなく、鈍く反撃を繰り出すのみでいとも簡単に倒せてしまった。
けれど圭が入ったとみられる二重ゲートに夜滝たちは入ることができなかった。
どうしたらいいかと悩んでいると急に圭が二重ゲートの中から飛び出してきて、二重ゲートはガラスでも割られるようバラバラになって消えてしまった。
圭は気を失っていたので夜滝たちはゲートの外に運び出してきたのである。
「そのあとゲートも消えちゃったしね」
圭を運び出してから通常のゲートの方も閉じて消えてしまった。
「中で何があったんだい?」
「…………実は」
悩んだけれど圭は中でのことを話すことにした。
メシルという神に会って、この世界がアウターゴッドによる遊びによって滅ぼされそうになっているという話を打ち明けた。
メシルが言っていた仲間とは夜滝たちのこと。
神に届く才能というのはきっとみんなのことなのだろうと圭は思ったのである。
ならばこの話を聞くべきなのだ。
「そんなことってあり得るのかよ?」
「世界が神様に遊ばれてるなんて……」
話を聞いてみんなの雰囲気は重たい。
圭だって全てを理解して納得しているわけじゃない。
世界が神々の遊びのせいで滅亡に向かっているなんて到底受け入れられる話ではない。
「…………圭はどうするんだい?」
みんな動揺している中で夜滝は圭に意見を求めた。
圭が呼び出されて話をされたということは圭が中心となるキーマンであることは間違いない。
「まだ分からない……でもこの世界が滅ぼされるのを黙って見ているなんてできない」
世界を救うとかそんな話大きなことすぎて実感がない。
圭自身何をしたらいいのかも分からないしメシルにされた話だけではあまりにも情報が不足している。
だけど世界が滅ぼされると聞いてただのんきに暮らしているわけにはいかない。
「いつも通りだ」
「いつも通り?」
「強くなろう。何があってもいいように。何かができるように、強くなろう」
圭たちにできることは変わらない。
強くなることだけである。
メシルも強くなれと言っていた。
だからいつもと変わらない。
もっと努力しなければいけないかもしれないとは思うけれどこれまで通りに強くなっていくことを目標にしていけば間違っていないはずである。
「こんな話されて困るよな……もしあれならやめても」
「やるよ」
「波瑠……」
「世界がピンチなのもあるけど私は圭さんと一緒に強くなるって、頑張ろうって決めたんだ。まだ私にもよく分かんないけど圭さんがやるなら私もやる」
正直世界の滅亡とかまだ理解の及ばない話である。
でも圭がやるならついていく。
「私もだ。みんなとならきっと世界を救えるかもしれないしな」
「カレン」
「まさかこんなことになるとはねぇ。私の目標は孫に囲まれて幸せに死ぬことなんだ。世界の滅亡なんかさせられないよ」
「夜滝ねぇ」
「僕も……せっかく皆さんに出会えたのにお別れなんて嫌です! 僕にできることなら頑張ります」
「薫君」
「フィーネモガンバル! ココハフィーネノセカイ! マモル!」
「フィーネまで……」
みんなの気持ちに圭は熱いものが込み上げてくるようだった。
「圭が導いてくれるなら私たちはどこまでも一緒に行くよ」
「みんな、ありがとう」
強くなりたいという思いがあった。
これからは強くならねばならない理由ができた。
世界の滅亡。
未だに現実とは思えない話であるけれどより詳しく知るためにも強くならねばならない。
圭たちは新たな決意を胸に宿したのであった。
「……なんで最も不幸なものなんだろうか」
メシルと話は内容はほとんどそのまま夜滝たちに伝えた。
しかし言っていないこともあった。
圭は不幸だと言われたことに妙な引っ掛かりを覚えていたのである。
神殿が大きく揺れた。
「どうしてそんな話を俺にするんだ?」
「それは色々な理由がある。1番大きな理由が君が最も幸運な者だからだ」
「幸運な者? それが一体どうしたというんだ?」
再び神殿が揺れ始めて断続的に揺れが続く。
「幸運とは運命に囚われない力。未来を切り開くことができる刃なのだ。君ならばこの世界の命運を変えられるかもしれない」
「そんな……俺には世界を救うなんて力なんて」
「君は1人ではない。神に届く才能を集めろ。そのゴーレムもそうだ」
「えっ?」
「ピピ?」
「フィーネ、いたのか?」
実はフィーネはずっといた。
基本的には圭のそばにいるフィーネはウェアウルフにさらわれた時も一緒だった。
これまで重たい雰囲気だったし、いざとなれば圭を守るためにひっそりと気配を消していたのである。
「最も不幸で、最も幸運な者よ。この世界を救え」
「なんで俺が不幸なんだ? それにどうしてそんなことを教えてくれるんだ?」
神殿の振動が大きくなってきた。
パラパラと天井の一部が崩れて落ちてきて、立っているのも大変になってきた。
「俺は滅びた世界の神だ」
メシルは悲しそうに笑った。
「俺の世界もこのくだらないゲームに巻き込まれて、滅んでしまった。この世界の者がゲートと呼ぶものは滅ぼされた世界のカケラなのだ。俺は……このゲームを恨み、くだらない娯楽を楽しむ奴らにお返しがしてやりたいのさ」
「くっ……!」
さらに大きく揺れて圭は立っていられなくなった。
そんな中でもメシルはまるで何事もないかのように平然と立っている。
「もっと伝えたいことはたくさんある。けれど時間がないのだ。このゲームを恨む神はたくさんいる。塔は俺の時にはなかった新たなシステムだ。塔を登れ。そこにも俺と同じくゲームを恨むものがいる」
「ま、待て!」
まだ聞けたことは少ししかない。
まだまだ聞きたいことはたくさんあるのに揺れて声すら出すのが辛い。
「疑問があるのは分かる。知りたいなら強くなれ。そうすれば世界も救えるかもしれない」
メシルは揺れの中を歩いて圭に近づいてきた。
「お前の仲間に魔法使いの女がいるな。俺の力を与えよう。これで神に届くものになれるはずだ。これを飲ませろ」
メシルは圭の手に何かを握らせた。
「きっと他の神からも接触があるだろう。君の幸運が世界を救えるものであることを願うよ。そして気をつけろ……人の中にも裏切り者がいる」
地震どころではなく何かにシェイクされているほどの揺れに神殿が崩壊し始めた。
圭は言葉を発しようとしたけれど何も言葉にならず、意識が真っ暗になった。
「アウターゴッド……この世界はお前たちの好きにはさせない」
ーーーーー
「圭!」
「圭さん!」
「お兄さん!」
「圭さん!」
「マスター!」
圭の目が覚めるとそこはテントの中だった。
「何が……あったんだ?」
「それはこっちのセリフだよ」
二重ゲートの外でウェアウルフと戦った夜滝たち。
最初に襲いかかってきた勢いはなく、鈍く反撃を繰り出すのみでいとも簡単に倒せてしまった。
けれど圭が入ったとみられる二重ゲートに夜滝たちは入ることができなかった。
どうしたらいいかと悩んでいると急に圭が二重ゲートの中から飛び出してきて、二重ゲートはガラスでも割られるようバラバラになって消えてしまった。
圭は気を失っていたので夜滝たちはゲートの外に運び出してきたのである。
「そのあとゲートも消えちゃったしね」
圭を運び出してから通常のゲートの方も閉じて消えてしまった。
「中で何があったんだい?」
「…………実は」
悩んだけれど圭は中でのことを話すことにした。
メシルという神に会って、この世界がアウターゴッドによる遊びによって滅ぼされそうになっているという話を打ち明けた。
メシルが言っていた仲間とは夜滝たちのこと。
神に届く才能というのはきっとみんなのことなのだろうと圭は思ったのである。
ならばこの話を聞くべきなのだ。
「そんなことってあり得るのかよ?」
「世界が神様に遊ばれてるなんて……」
話を聞いてみんなの雰囲気は重たい。
圭だって全てを理解して納得しているわけじゃない。
世界が神々の遊びのせいで滅亡に向かっているなんて到底受け入れられる話ではない。
「…………圭はどうするんだい?」
みんな動揺している中で夜滝は圭に意見を求めた。
圭が呼び出されて話をされたということは圭が中心となるキーマンであることは間違いない。
「まだ分からない……でもこの世界が滅ぼされるのを黙って見ているなんてできない」
世界を救うとかそんな話大きなことすぎて実感がない。
圭自身何をしたらいいのかも分からないしメシルにされた話だけではあまりにも情報が不足している。
だけど世界が滅ぼされると聞いてただのんきに暮らしているわけにはいかない。
「いつも通りだ」
「いつも通り?」
「強くなろう。何があってもいいように。何かができるように、強くなろう」
圭たちにできることは変わらない。
強くなることだけである。
メシルも強くなれと言っていた。
だからいつもと変わらない。
もっと努力しなければいけないかもしれないとは思うけれどこれまで通りに強くなっていくことを目標にしていけば間違っていないはずである。
「こんな話されて困るよな……もしあれならやめても」
「やるよ」
「波瑠……」
「世界がピンチなのもあるけど私は圭さんと一緒に強くなるって、頑張ろうって決めたんだ。まだ私にもよく分かんないけど圭さんがやるなら私もやる」
正直世界の滅亡とかまだ理解の及ばない話である。
でも圭がやるならついていく。
「私もだ。みんなとならきっと世界を救えるかもしれないしな」
「カレン」
「まさかこんなことになるとはねぇ。私の目標は孫に囲まれて幸せに死ぬことなんだ。世界の滅亡なんかさせられないよ」
「夜滝ねぇ」
「僕も……せっかく皆さんに出会えたのにお別れなんて嫌です! 僕にできることなら頑張ります」
「薫君」
「フィーネモガンバル! ココハフィーネノセカイ! マモル!」
「フィーネまで……」
みんなの気持ちに圭は熱いものが込み上げてくるようだった。
「圭が導いてくれるなら私たちはどこまでも一緒に行くよ」
「みんな、ありがとう」
強くなりたいという思いがあった。
これからは強くならねばならない理由ができた。
世界の滅亡。
未だに現実とは思えない話であるけれどより詳しく知るためにも強くならねばならない。
圭たちは新たな決意を胸に宿したのであった。
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