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第五章
神に届く才能
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「こ、これを飲むのかい?」
重恭には適当な言い訳をして誤魔化した。
少し疑問に思うようなところはあったけれど重恭は圭たちが言いたくないことならばとそれ以上何も聞かなかった。
そしてコボルトの魔石なんかを任せて家に戻った圭と夜滝だったのだけど、そこで圭はふとメシルから渡されたものがあったことを思い出した。
渡された時には手に握らされたはずなのに気づいたらポケットの中にあった。
取り出してみるとビー玉ぐらいの大きさの青く美しい小さな宝石のようなものだった。
飲ませろと言っていたので夜滝に飲むように言ったのだけど、見た目は完全に食べられるものではない。
石を飲み込めと言っているようなもので流石の夜滝も拒否感をあらわにした。
「……本当の本当に強くなれるのかい?」
「…………多分」
『error
閲覧制限がかけられています』
メシルはそんな感じのことを言っていた。
神に届くものという言い方はしていたが、強くなれるということなのだろうと圭は思っている。
実際どうなるのかは知らないので多分強くなれるだろうという予想ではあるのだけど。
真実の目で見ようとしても石については情報を得られなかった。
「うぅ……」
圭が嘘をつくはずがない。
きっと効果があるのだろうと思うのだけど石を飲み込む勇気が出てこない。
せめてもうちょっと小さいなら飲み込みやすいのにと青く透明な石を見ながら夜滝は思う。
「……ご褒美が欲しい」
「ご褒美?」
「これ飲んだら頭撫でて褒めてほしい」
強くなるかどうかはまだ分からない。
夜滝の中では石を飲み込むことに明確な目的があるとは言い難かった。
確実なご褒美、石を飲み込むための理由になるものが欲しかった。
大人になって褒められることも少ない。
圭が頑張ったと言ってくれるなら夜滝も頑張れると思った。
「それぐらいなら」
「飲み込めなくて喉に詰まらせたらキスで吸い出してくれるかい?」
「それ、正しいやり方?」
「愛があればいいのさ」
「……喉に詰まらせたらちゃんと助けるよ」
流石にそこはしっかりと助けねばならない。
「チッ」
「今舌打ちした?」
「気のせいだよぅ」
飲み込むために大量の水を夜滝は用意した。
「ふぅー……」
大きく息を吐き出して夜滝は改めて手のひらの上の石を見る。
少し劣等感が夜滝の中にはあった。
スタートラインで圭たちよりも能力的には優れているけれど夜滝の才能的には圭たちに劣っていた。
いつかついていけなくなるんじゃないか、いつか仲間としていらないと言われるんじゃないかと不安があったのだ。
これで強くなれるなら圭と一緒にいられるかもしれない。
夜滝は覚悟を決めて石を口に放り込むと一気に水を流し込む。
石を飲み込もうとして脳が異物を拒否する。
涙目になりながらも水で石を喉に流し込む。
「んん……ん~!」
夜滝の喉が大きく動いてなんとか石を飲み込むことに成功した。
「はぁ……はぁ……」
油断すると吐き戻してしまいそうになる気分を耐える。
「やったよ……圭……ん!」
「夜滝ねぇ! 大丈夫?」
吐きそうになる気分をなんとか乗り越えたと思った瞬間急に胸が熱くなった。
夜滝は胸を掴んでうずくまる。
「体が……熱い!」
胸から全身に熱が広がっていく。
体の中が燃えているようで夜滝は滝のような汗をかき始めた。
不思議な感情が夜滝の頭の中に流れ込む。
怒り、悲しみ、そして守れなかったという後悔。
誰のものなのか分からない感情が駆け巡り、最後に声が聞こえた気がした。
“君に託そう。幸運を支え、世界を救ってくれ”
全ての感情が頭を駆け抜けると、体の熱もだんだんと落ち着いてきた。
「夜滝ねぇ……平気?」
ゆっくりと顔を上げると心配そうに夜滝の顔を覗き込む圭がそばにいた。
「夜滝ねぇ!?」
夜滝がふらりと倒れ込むと圭は優しく受け止めてくれる。
「圭……」
「なに?」
「頑張ったよ」
「……そうだね、夜滝ねぇ、頑張ったね」
夜滝は頑張って石を飲み込んだ。
圭は夜滝の頭を撫でる。
汗で濡れているけれどそんなことも気にしないようにゆっくりと撫でてあげた。
『平塚夜滝
レベル37
総合ランクE
筋力E(一般)
体力F(一般)
速度E(一般)
魔力D(神話)
幸運E(英雄)
スキル:思考加速
才能:魔道的並列思考、優れた魔力回路』
「夜滝ねぇ、すごいよ!」
「なんだい?」
「魔力の才能値が神話級になってる!」
「本当かい?」
「嘘なんてつかないよ」
何が夜滝に起きたのか確かめようと圭が真実の目を使ってみた。
すると夜滝の魔力の才能値が伝説級から神話級になっていた。
「……もしかしたら神に届く力って神話級の才能のことなんだろうか」
もう一つ才能の方でも優れた魔力回路というものが増えている。
しかしメシルに言われた神に届く力というやつが神話級の才能値のことなのではないかと圭は思った。
「……とりあえず、ひどく疲れたよ……」
「ああ、話は後にしよう。どうする? 着替えて寝る?」
「お風呂に入りたい」
全身汗だくで体冷えてきて気持ち悪い。
「分かった。今お湯溜めるから」
「私のことお風呂に入れてくれるかい?」
「夜滝ねぇが望むなら」
「じょ、冗談だよ!」
いつものように断られると思ったのに、受け入れられるとそれはそれで恥ずかしくなった。
「……これで圭と一緒に戦えるかな?」
「ああ、夜滝ねぇがいてくれると心強いよ」
「世界を救うなんて柄じゃないけど、やるだけやってみよう」
「うん、そうだね」
重恭には適当な言い訳をして誤魔化した。
少し疑問に思うようなところはあったけれど重恭は圭たちが言いたくないことならばとそれ以上何も聞かなかった。
そしてコボルトの魔石なんかを任せて家に戻った圭と夜滝だったのだけど、そこで圭はふとメシルから渡されたものがあったことを思い出した。
渡された時には手に握らされたはずなのに気づいたらポケットの中にあった。
取り出してみるとビー玉ぐらいの大きさの青く美しい小さな宝石のようなものだった。
飲ませろと言っていたので夜滝に飲むように言ったのだけど、見た目は完全に食べられるものではない。
石を飲み込めと言っているようなもので流石の夜滝も拒否感をあらわにした。
「……本当の本当に強くなれるのかい?」
「…………多分」
『error
閲覧制限がかけられています』
メシルはそんな感じのことを言っていた。
神に届くものという言い方はしていたが、強くなれるということなのだろうと圭は思っている。
実際どうなるのかは知らないので多分強くなれるだろうという予想ではあるのだけど。
真実の目で見ようとしても石については情報を得られなかった。
「うぅ……」
圭が嘘をつくはずがない。
きっと効果があるのだろうと思うのだけど石を飲み込む勇気が出てこない。
せめてもうちょっと小さいなら飲み込みやすいのにと青く透明な石を見ながら夜滝は思う。
「……ご褒美が欲しい」
「ご褒美?」
「これ飲んだら頭撫でて褒めてほしい」
強くなるかどうかはまだ分からない。
夜滝の中では石を飲み込むことに明確な目的があるとは言い難かった。
確実なご褒美、石を飲み込むための理由になるものが欲しかった。
大人になって褒められることも少ない。
圭が頑張ったと言ってくれるなら夜滝も頑張れると思った。
「それぐらいなら」
「飲み込めなくて喉に詰まらせたらキスで吸い出してくれるかい?」
「それ、正しいやり方?」
「愛があればいいのさ」
「……喉に詰まらせたらちゃんと助けるよ」
流石にそこはしっかりと助けねばならない。
「チッ」
「今舌打ちした?」
「気のせいだよぅ」
飲み込むために大量の水を夜滝は用意した。
「ふぅー……」
大きく息を吐き出して夜滝は改めて手のひらの上の石を見る。
少し劣等感が夜滝の中にはあった。
スタートラインで圭たちよりも能力的には優れているけれど夜滝の才能的には圭たちに劣っていた。
いつかついていけなくなるんじゃないか、いつか仲間としていらないと言われるんじゃないかと不安があったのだ。
これで強くなれるなら圭と一緒にいられるかもしれない。
夜滝は覚悟を決めて石を口に放り込むと一気に水を流し込む。
石を飲み込もうとして脳が異物を拒否する。
涙目になりながらも水で石を喉に流し込む。
「んん……ん~!」
夜滝の喉が大きく動いてなんとか石を飲み込むことに成功した。
「はぁ……はぁ……」
油断すると吐き戻してしまいそうになる気分を耐える。
「やったよ……圭……ん!」
「夜滝ねぇ! 大丈夫?」
吐きそうになる気分をなんとか乗り越えたと思った瞬間急に胸が熱くなった。
夜滝は胸を掴んでうずくまる。
「体が……熱い!」
胸から全身に熱が広がっていく。
体の中が燃えているようで夜滝は滝のような汗をかき始めた。
不思議な感情が夜滝の頭の中に流れ込む。
怒り、悲しみ、そして守れなかったという後悔。
誰のものなのか分からない感情が駆け巡り、最後に声が聞こえた気がした。
“君に託そう。幸運を支え、世界を救ってくれ”
全ての感情が頭を駆け抜けると、体の熱もだんだんと落ち着いてきた。
「夜滝ねぇ……平気?」
ゆっくりと顔を上げると心配そうに夜滝の顔を覗き込む圭がそばにいた。
「夜滝ねぇ!?」
夜滝がふらりと倒れ込むと圭は優しく受け止めてくれる。
「圭……」
「なに?」
「頑張ったよ」
「……そうだね、夜滝ねぇ、頑張ったね」
夜滝は頑張って石を飲み込んだ。
圭は夜滝の頭を撫でる。
汗で濡れているけれどそんなことも気にしないようにゆっくりと撫でてあげた。
『平塚夜滝
レベル37
総合ランクE
筋力E(一般)
体力F(一般)
速度E(一般)
魔力D(神話)
幸運E(英雄)
スキル:思考加速
才能:魔道的並列思考、優れた魔力回路』
「夜滝ねぇ、すごいよ!」
「なんだい?」
「魔力の才能値が神話級になってる!」
「本当かい?」
「嘘なんてつかないよ」
何が夜滝に起きたのか確かめようと圭が真実の目を使ってみた。
すると夜滝の魔力の才能値が伝説級から神話級になっていた。
「……もしかしたら神に届く力って神話級の才能のことなんだろうか」
もう一つ才能の方でも優れた魔力回路というものが増えている。
しかしメシルに言われた神に届く力というやつが神話級の才能値のことなのではないかと圭は思った。
「……とりあえず、ひどく疲れたよ……」
「ああ、話は後にしよう。どうする? 着替えて寝る?」
「お風呂に入りたい」
全身汗だくで体冷えてきて気持ち悪い。
「分かった。今お湯溜めるから」
「私のことお風呂に入れてくれるかい?」
「夜滝ねぇが望むなら」
「じょ、冗談だよ!」
いつものように断られると思ったのに、受け入れられるとそれはそれで恥ずかしくなった。
「……これで圭と一緒に戦えるかな?」
「ああ、夜滝ねぇがいてくれると心強いよ」
「世界を救うなんて柄じゃないけど、やるだけやってみよう」
「うん、そうだね」
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