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第九章
ようやく帰れる2
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「村雨さんの方は問題ないでしょう」
「むしろ問題なのはそちらの子ですね」
そちらの子とはシャリンのことである。
色々と聞かれると面倒なのでシャリンについては記憶喪失かもしれないということにもしてある。
アメリカの覚醒者協会でもシャリンが何者なのか探しているがいまだに何かを見つけたという話はない。
シャリンは悪魔で探している人もいないのだから当然である。
ただそうなるとシャリンをどこでどう保護するかという問題が発生する。
両親が見つかれば、或いはせめてどこの国の出身なのかと分かればその国で保護してもらうことになる。
だがシャリンの出身は魔界なので保護すべき国はない。
「日本語を話しているので日本で暮らしていた可能性はあります」
ちなみに魔界で悪魔と話が通じていたのは悪魔はどの言語でもない言葉でどの言語とも交流を図ることができる能力を持っているからだった。
呼び出された悪魔が言葉が通じないからと取引もできないのでは困るからそんな能力が備わっているらしい。
一方でシャリンも魔界にいる時は悪魔の言語を話して圭たちと意思の疎通を図っていた。
しかし圭と魂の契約を交わしてからシャリンは日本語を話して始めていたのである。
圭と契約した影響なのであるが、普通に意思の疎通が取れていた圭は何も気づいていない。
「それに村雨さんには……懐いていらっしゃるようですね」
シャリンは圭以外の会う人全員に警戒をあらわにしている。
子供になったシャリンがどれぐらいの力を持っているのか分からないが、暴れると危ないので手を出さないように言ってある。
言いつけを守って相手を睨みつけるだけなのだが顔がいいので今や病院でもシャリンの存在は有名になっていた。
可愛いといって看護師の人たちや挙句には入院患者もチラリとシャリンを見に来るのだ。
特に食事の時はニコニコ食べるので人気が高く、いつの間にか圭の食事もシャリンのものとまとめて豪華になっていた。
ともあれ周りから見てもシャリンは圭には心を開いている。
「……できればこの子は俺が保護できませんか?」
「村雨さん……」
シャリンを他に渡すわけにはいかない。
他の人に懐くはずがないし悪魔であるシャリンが暴れたり調べられたりしたらどうなるのか分からない。
圭にとってもリスクではあるが近くに置いておくしかないのだ。
ただ伊丹は圭の真剣な目を見て正義感に溢れているのだなと感動すら覚えていた。
保護して自分を拠り所にしてくれているとはいえ見知らぬ子供を保護しようとしている圭の心意気は素晴らしいと感じているのである。
「どういたしましょうか?」
「うむ……村雨さんを信頼している以上引き剥がすのはかわいそうでしょう。村雨さん本人も保護したいということですし向こうに伝えてみましょう」
どうなるかは正直予想がつかないと木村は思う。
厄介ごとを引き受けたくないのはどこも同じ。
普通ならば引き受けたいといえば何の問題もなく引き受けられるだろう。
けれどシャリンは普通の子ではない。
赤い瞳もそうであるのだが強い力を木村は感じていた。
もしかしたら高等級覚醒者な可能性がある。
高等級覚醒者であったならばそれはどこの国でも欲しい人になってくる。
子供ならば尚更扱いやすく今のうちから教育を施して自国のために活躍してくれるようにしたいはずである。
アメリカ側が保護すると主張し出す可能性は十分に考えることだった。
「それともう一つお願いがあるんです」
「お願いですか? 何でしょうか?」
「一緒に保護された人にダンテという人がいます。その人が日本への亡命を望んでいるんです」
「ぼ、亡命ですか?」
いきなりの話に伊丹も木村も驚いている。
圭やシャリンのこともそうであるがダンテのことも色々と問題である。
ダンテも悪魔ルシファーとの契約者なのでバレるとあまり良くない。
ついでにせっかく日本に来たのにまたアメリカに逆戻りということになってしまう。
そこで今度は亡命という形を取れないかという話になった。
「アザードは悪魔教でしたが権力を持った人でした。兄は大きなカジノの経営者でありますし恨みを買っている可能性が大きいです。このままアメリカにいたら暗殺の危険性もあります」
アメリカに戻って悪魔教を潰してもいいが今回の件はあまりにも目立ちすぎた。
アザードを倒した犯人をアザードの家であるロドリゲス一家は敵とみなして探すだろう。
アザードが豪華客船を乗り回していたことを考えるとロドリゲスはかなりのお金と権力を持っている。
ダンテがA級覚醒者であっても一人でロドリゲスの力が及ぶアメリカにいるのは相当危険なのだ。
堂々と日本に入国する方法として亡命してみるのはどうだろうかとダンテが自ら考えた。
ダンテはA級覚醒者なので国に来てくれるならありがたい。
「なかなか難しい話ですね」
「このことは覚醒者協会だけでは決められない。国の機関と協議が必要だな。だが悪魔を倒した実力があれば前向きに検討する可能性が大きいだろう」
圭の提案に伊丹と木村も悩んだけれどリアクションは悪くない。
「ご本人に話を聞いて決めましょう。村雨さんについても手続きや協議など時間はかかるかもしれませんができる限り早く帰れるように手配します」
「いつもありがとうございます、伊丹さん」
「……本当に感謝しているなら何か奢ってください。かなみや……他の皆さんも心配していましたよ」
「そうだ……せめて連絡ぐらい取りたいのでスマホなんか用意してもらえないですかね?」
「そちらもお任せください」
日本の覚醒者協会が来てくれたおかげで話が進みそうだ。
知った顔にも会えて少し圭も安心した。
「早く……帰りたいな」
「むしろ問題なのはそちらの子ですね」
そちらの子とはシャリンのことである。
色々と聞かれると面倒なのでシャリンについては記憶喪失かもしれないということにもしてある。
アメリカの覚醒者協会でもシャリンが何者なのか探しているがいまだに何かを見つけたという話はない。
シャリンは悪魔で探している人もいないのだから当然である。
ただそうなるとシャリンをどこでどう保護するかという問題が発生する。
両親が見つかれば、或いはせめてどこの国の出身なのかと分かればその国で保護してもらうことになる。
だがシャリンの出身は魔界なので保護すべき国はない。
「日本語を話しているので日本で暮らしていた可能性はあります」
ちなみに魔界で悪魔と話が通じていたのは悪魔はどの言語でもない言葉でどの言語とも交流を図ることができる能力を持っているからだった。
呼び出された悪魔が言葉が通じないからと取引もできないのでは困るからそんな能力が備わっているらしい。
一方でシャリンも魔界にいる時は悪魔の言語を話して圭たちと意思の疎通を図っていた。
しかし圭と魂の契約を交わしてからシャリンは日本語を話して始めていたのである。
圭と契約した影響なのであるが、普通に意思の疎通が取れていた圭は何も気づいていない。
「それに村雨さんには……懐いていらっしゃるようですね」
シャリンは圭以外の会う人全員に警戒をあらわにしている。
子供になったシャリンがどれぐらいの力を持っているのか分からないが、暴れると危ないので手を出さないように言ってある。
言いつけを守って相手を睨みつけるだけなのだが顔がいいので今や病院でもシャリンの存在は有名になっていた。
可愛いといって看護師の人たちや挙句には入院患者もチラリとシャリンを見に来るのだ。
特に食事の時はニコニコ食べるので人気が高く、いつの間にか圭の食事もシャリンのものとまとめて豪華になっていた。
ともあれ周りから見てもシャリンは圭には心を開いている。
「……できればこの子は俺が保護できませんか?」
「村雨さん……」
シャリンを他に渡すわけにはいかない。
他の人に懐くはずがないし悪魔であるシャリンが暴れたり調べられたりしたらどうなるのか分からない。
圭にとってもリスクではあるが近くに置いておくしかないのだ。
ただ伊丹は圭の真剣な目を見て正義感に溢れているのだなと感動すら覚えていた。
保護して自分を拠り所にしてくれているとはいえ見知らぬ子供を保護しようとしている圭の心意気は素晴らしいと感じているのである。
「どういたしましょうか?」
「うむ……村雨さんを信頼している以上引き剥がすのはかわいそうでしょう。村雨さん本人も保護したいということですし向こうに伝えてみましょう」
どうなるかは正直予想がつかないと木村は思う。
厄介ごとを引き受けたくないのはどこも同じ。
普通ならば引き受けたいといえば何の問題もなく引き受けられるだろう。
けれどシャリンは普通の子ではない。
赤い瞳もそうであるのだが強い力を木村は感じていた。
もしかしたら高等級覚醒者な可能性がある。
高等級覚醒者であったならばそれはどこの国でも欲しい人になってくる。
子供ならば尚更扱いやすく今のうちから教育を施して自国のために活躍してくれるようにしたいはずである。
アメリカ側が保護すると主張し出す可能性は十分に考えることだった。
「それともう一つお願いがあるんです」
「お願いですか? 何でしょうか?」
「一緒に保護された人にダンテという人がいます。その人が日本への亡命を望んでいるんです」
「ぼ、亡命ですか?」
いきなりの話に伊丹も木村も驚いている。
圭やシャリンのこともそうであるがダンテのことも色々と問題である。
ダンテも悪魔ルシファーとの契約者なのでバレるとあまり良くない。
ついでにせっかく日本に来たのにまたアメリカに逆戻りということになってしまう。
そこで今度は亡命という形を取れないかという話になった。
「アザードは悪魔教でしたが権力を持った人でした。兄は大きなカジノの経営者でありますし恨みを買っている可能性が大きいです。このままアメリカにいたら暗殺の危険性もあります」
アメリカに戻って悪魔教を潰してもいいが今回の件はあまりにも目立ちすぎた。
アザードを倒した犯人をアザードの家であるロドリゲス一家は敵とみなして探すだろう。
アザードが豪華客船を乗り回していたことを考えるとロドリゲスはかなりのお金と権力を持っている。
ダンテがA級覚醒者であっても一人でロドリゲスの力が及ぶアメリカにいるのは相当危険なのだ。
堂々と日本に入国する方法として亡命してみるのはどうだろうかとダンテが自ら考えた。
ダンテはA級覚醒者なので国に来てくれるならありがたい。
「なかなか難しい話ですね」
「このことは覚醒者協会だけでは決められない。国の機関と協議が必要だな。だが悪魔を倒した実力があれば前向きに検討する可能性が大きいだろう」
圭の提案に伊丹と木村も悩んだけれどリアクションは悪くない。
「ご本人に話を聞いて決めましょう。村雨さんについても手続きや協議など時間はかかるかもしれませんができる限り早く帰れるように手配します」
「いつもありがとうございます、伊丹さん」
「……本当に感謝しているなら何か奢ってください。かなみや……他の皆さんも心配していましたよ」
「そうだ……せめて連絡ぐらい取りたいのでスマホなんか用意してもらえないですかね?」
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日本の覚醒者協会が来てくれたおかげで話が進みそうだ。
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