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第九章

おかえり、圭2

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「ケイは私の!」

 圭がシャリンの保護者となるための手続きとかアメリカの病室ではできない話を聞くなんてこともまだあるけれどひとまず家に帰ってもいいことになった。
 ダンテは亡命ということで覚醒者協会が用意したマンションを家として使うことになり、そちらの方に向かった。

 日本で活動していたので日本にも家はあるのだけどそちらに向かうのは明らかにおかしい。
 しばらくは用意された家で生活して折を見てまた自分の家に戻るつもりのようである。

 シャリンは圭が引き取ることになって家にも連れてきたのだけど夜滝たちは大騒ぎであった。
 それも当然で死んだと思えるような行方不明になった後に見知らぬ子供を連れてきて保護するというのだからざわつかない方がおかしい。

 当のシャリンはみんなが圭に近いものだから嫉妬したようにピタリとくっついて離れなくなった。

「か……かわいぃ~!」

 家に帰ってシャリンについての事情を説明した。
 シャリンについて説明するためには全部を説明する必要があって時間がかかった。

 魔界で出会った悪魔であり懐かれて魔界からついてきたのであるが、なかなか理解が難しそうであった。
 ただ圭に抱きついてみんなを睨みつけるようにしているシャリンに波瑠がデレた。

 赤い瞳をしているもののシャリンの容姿はすごくいい。
 大人な時は美人だったけど子供になってもかなりの美少女なのである。

 睨みつけるような顔をしていても絵になるような顔をしている。

「た、確かに可愛い顔してるよな……」

「ダメ」

「むぅ……」

 撫でてもいいだろうかとカレンが手を伸ばしたけれどシャリンは圭の後ろに隠れるようにして拒否した。

「悪魔だといっても子供だしねぇ。きてしまったものは仕方ないかもしれない」

「そうですね。圭さんに懐いているのなら大丈夫だと思いますし」

「病院の時もそうだけどみんなシャリンに対して甘いよな……」

「シャリンの力かもしれんな」

「ルシファー」

 すごく自然にルシファーも一緒にいた。
 シャリンのものと思われているルシファー人形をダンテが持っていくのも不自然なので今のところ圭が連れてきている。

 なんだかんだ魔界にいる時も圭が抱えていることも多くてそばにいても違和感はなくなっていた。
 ルシファーが助けてくれたということもみんなは理解してくれたのでルシファーについては特に問題にはなっていない。

「シャリンの能力ってどういうことなんだ?」

「シャリンは悪魔だ。人にはないような能力もある。力のある悪魔は男女の姿など容易く変えられるが力のないものでは決まった姿にしかなれんものもいる」

「それが?」

 みんなが甘いことと姿を変えられることになんの関係があるのか分からない。

「一概にそうではないけれども男の姿をした悪魔は力を誇示して力を使うことが多い。そして女性の姿をしているものは能力を誇示して能力を使うことが多いのだ」

「んーと?」

「たとえば淫魔は多くが女性をしている。破壊的な力を使って人の願いを叶えたりするのではなく能力、たとえば人を魅了したり夢を見せたりということで召喚に応じるのだ。シャリンを見てみろ。意図しなくとも女性の姿をしている」

 圭は腰に抱きついているシャリンのことを見る。
 どう見ても性別は女性。

 一応身体検査も行われたのだけど性別は女性のままなので体つきも女性なのだろうと思う。

「意図しなくとも女性ということは何かしらの能力を秘めている可能性が高いということなのだ。クォカドオーンも女性の姿……そしてシャリンはお前のことを最初ママと呼んでいたことを考えると、デルマードももしかしたら女性の姿をしていたのかもしれないな」

 圭の前ではヘルカトというモンスターの姿であったけれどそれは悪魔とバレないように偽装した姿であった。
 本来の悪魔の姿としては女性の姿だった可能性は大きい。

「そうなると力ばかりを重視した悪魔よりも能力的なものを持った悪魔同士から生まれた能力を持った悪魔な可能性がある」

「悪魔にもそんなのがあるんだな」

「まあ男の姿をして人を魅了する悪魔もおるし、女の姿をして腕っぷしが自慢な悪魔もおるがな。ともかくシャリンにはそうした能力があるのだろう。おそらく……人を魅了する力が天然で備わっているのだろう」

 魔性の女という言葉がある。
 もしかしたらシャリンは人を魅了してしまう本物の魔性を秘めているのかもしれない。

 少しとはいえ真実の目で悪魔の力を持っていてシャリンと魂の契約をしている圭にシャリンの能力は通じない。
 しかしなんの耐性もない人たちはまだコントロールしきれていないシャリンの能力の影響を受けてしまっているのだ。

 病院の人たちもただシャリンが可愛いからと可愛がっていたのではない。
 シャリンの人を魅了する魔性によって堕とされていたのである。

「まあこの世界に溶け込むには悪いことでもないだろう」

「……まあいいのかな?」

「あっ、こっちみたよ!」

「髪の毛もサラサラしてるな……」

「ママと呼んでみるかぃ?」

「悪魔だなんて思えませんね……」

「なんだかシャリンに全部取られちゃったな」

 せっかく帰ってきたもののシャリンに話題を全て掻っ攫われてしまった。

「みんな優しい味方だからそんな顔するなよ」

「可愛い……」

 圭がシャリンの頭を撫でてやると目を細めて嬉しそうな顔をする。
 それ見てみんなシャリンにメロメロになっていたのであった。

「帰れてよかったな」

「そんなこと言ってくれるのルシファーぐらいだよ」
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