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第十章

シャリンパンチ!3

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「今度はシャリンも戦ってみるぞ」

「ケイ、見てて!」

 シャリンはやる気に満ち溢れている。
 倒したハンマーブローツリーの魔石は幹の真ん中ら辺に埋まっていた。

 また適当に歩き回っているとすぐにハンマーブローツリーのことを見つけた。

「いいか、周りのみんなの様子も確認しながら連携を取って戦うんだ」

 次の戦いにはシャリンも加える。
 アタッカーである圭のポジションにシャリンを替えてみて試しに戦ってもらう。

「大丈夫! 私もできるよ!」

「そうか。じゃあ頼むぞ」

 戦った感じではハンマーブローツリーは圭たちでも問題がない。
 シャリンが上手く連携を取れなくても大きな問題になることはないだろうと圭は思っている。

「よし、やるぞ!」

 圭は後ろの薫の近くで戦いを見守る。
 先頭を行くカレンがハンマーブローツリーの攻撃を盾で上手く受け流して、その隙に波瑠とシャリンが前に出る。

「ケイ、見ててね!」

 シャリンが振り下ろされるコブに対抗して武器として持ってきていた金属の棒を振り上げる。

「ふぇっ!?」

 ゴンッと鈍い大きな音が聞こえて波瑠は驚いた。
 振り下ろされたコブがとんでもない勢いで戻っていく。

 それどころか振り上げたところを過ぎて一回転し、ハンマーブローツリーの幹に自らのコブが衝突するほどだった。

「あにゃ?」

 とんでもないパワー。
 硬いコブにくっきりと金属の棒の跡が残るほどの力で打ち返されてハンマーブローツリーそのものですら自分のコブを制御できなかった。

 ただし代償もあった。
 たった一度振っただけなのに金属の棒はひしゃげて折れ曲がってしまった。

 あまりにも強い力に棒の方が耐えられなかったのである。
 頑丈な武器がいいだろうと金属の棒にしたのにたった一度でダメになってしまって驚きを禁じ得ない。

「まあ、いいや!」

 シャリンは再び振り下ろされたコブをかわすと曲がった金属の棒を幹に叩き込んだ。
 棒はさらに曲がりながらもハンマーブローツリーの幹をくの字にへし折って倒した。

「……すっげぇ」

 圧倒的パワーにみんな呆然とするしかなかった。

「褒めて褒めて褒めて!」

 シャリンはぐにゃぐにゃになった棒を投げ捨てると圭に飛びついた。
 先程まで圧倒的な力を見せていたとは思えないほどの笑顔を浮かべている。

「むふー」

 圭も呆然としながらシャリンの頭を撫でる。
 シャリンは嬉しそうな表情を浮かべて圭の胸に頬を擦り付ける。

「シャリンよりも棒の心配をすべきだったねぇ……」

 流石のA級覚醒者相当の力を持っているだけはある。
 むしろ棒の方が耐えられないなんて思いもしなかった。

「これはもう使えないな」

 せっかく和輝が作ってくれたものであるがぐにゃぐにゃになってしまっては使い物にならない。
 圭は棒を収納袋の中に収めるとナックルガードの方を取り出した。

「こっちならどうだろうか?」

 ナックルガードの方が棒よりも壊れにくい。
 シャリンとしても拳を振り回す方が好きそうなので試してみることにした。

「あっちにいるやつ倒してみるか」

 すぐ近くにもう一体ハンマーブローツリーがいた。
 倒したハンマーブローツリーの魔石を回収して次のハンマーブローツリーに向かう。

「ふふん、また倒して~ケイに褒めてもらーうー!」

 今度は一番前に出たシャリンに向かってハンマーブローツリーがコブを振り下ろした。

「だりゃぁ!」

 ブチン。
 そんな音がした。

 コブに対してアッパーカットでシャリンは対抗した。
 鈍い音がした後に引きちぎれるような音が響き渡ってハンマーブローツリーのコブが空高く舞い上がった。

 金属の棒では打ち返すだけに留まったが拳では遠慮なく力を加えることができる。
 シャリンの一撃の強さに枝が引きちぎれてコブが空中に投げ出されたのだ。

「太い幹が発泡スチロールのようだねぇ」

 長い髪をたなびかせながらハンマーブローツリーと距離を詰めたシャリンがパンチを繰り出した。
 簡単にハンマーブローツリーの幹は折れて倒れてしまい、またしても圭たちは呆然としてしまう。

「と、とりあえず拳の方が良さそうだな……」

 激しい攻撃だったがナックルガードは壊れなかった。
 棒よりも拳の方が壊れずにすみそうだ。

 やったよ! としがみつくシャリンのアゴを撫でながら圭は苦笑いを浮かべるしかなかった。
 C級ゲートでシャリンの実力試しにもならなかった。

 なんとなく連携の取り方は分かったようであるが、シャリンのパンチ一撃でハンマーブローツリーは倒されてしまったのだ。
 こうなるとシャリンの方がハンマーブローである。

 ボスはデカめのハンマーブローツリーだったのだけどこちらも全てのコブがシャリンに打ち返された挙句幹を一撃で叩き折られてKOであった。

「サイキョウ!」

「最強!」

 ボスを倒したシャリンはフィーネに不思議なポーズを教えてもらっていた。
 フィーネは人じゃないのでシャリンの警戒の対象にならないらしく二人は割と距離が近い。

「次はB級でもいいかもな……」
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