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第91話 攻略! 中級ダンジョン『ボルケーノケイブ』③
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「お、お待ちなさいっ! どこに行くのです!」
俺を見つけた瞬間、『待て』と言い出す冷蔵庫組の若頭、リフリ・ジレイター。
『どこに行くのです』って? そんな事は決まっている。
『ダンジョンから出て行きなさい』と言われたから出て行くだけだ。
話しを聞く限り、奴は、転移組のパトロンみたいだし、俺の言動や行動が原因で転移組のパトロンを失う訳にはいかない。
まあ、俺個人の意見として、『パトロンにするならもっとマトモな奴を選べよ』と思わなくもないがどうでもいい。
というより、反社会的組織をパトロンにして大丈夫なのだろうか?
なんとなく、色々とアウトな気がする。
まあ、俺には関係ないし、まあいいか。
そんな事を考えながら、転移門『ユグドラシル』に向かおうとする。
「待てっ!」
「待ちなさいっ!」
すると、リフリ・ジレイターの腰巾着、もとい組員ビーツとクレソンが俺の進む道を遮ってきた。
「ちっ……」
逃げる事ができなかったか。
まさか、先回りされているとは、面倒臭い奴に絡まれてしまった……。
渋面を浮かべていると、追いかけてきたリフリ・ジレイターが話しかけてくる。
「ふふふっ、お久しぶりですね。Sランク冒険者ともあろう者が中級ダンジョンに足を運ぶだなんて……。もしかして、お散歩ですか? そういえば、そうでした。あなた、モブ・フェンリルでしたものね?」
「ああっ?」
何だコイツ。喧嘩売ってんのか?
俺が凄むと、リフリ・ジレイターは笑みを浮かべる。
何笑ってるんだ、コイツ。
俺の事をSランク冒険者だと認識していてその態度……。
言っとくけど、中級ダンジョンでレベリングしているお前なんて、俺の投石攻撃で一発だぞ?
石を投げるだけで一撃撃破だぞ?
なんなら、今すぐ駆除してやろうか?
そんな事を考えながら、地面に落ちている石を拾い上げる。
すると、『ああああ』が俺の手を掴んだ。
「ダ、ダメだよ。カケル君」
「あっ?」
何がだ?
俺は石を拾っただけだぞ?
もしかして、俺がこいつに向かって投石するとでも思ったのか?
大正解だけど、何故、お前がそれを止める。
「あっ、手が滑った……」
そういってよろけて見せると『ああああ』の一瞬の隙を突き、もう片方の手で石を投げる。
すると、石は『ズドンッ!』と音を立ててリフリ・ジレイターの足下で砕け散った。
チッ……外したか……まあいい。
『ああああ』の手を払い立ち上がると、先程まで余裕綽々だったリフリ・ジレイターが苦笑いを浮かべた。
「……あ、相変わらずの様ですね……まあ、いいでしょう」
何がいいのか、まったく分からないが、まあいいという事になった。
「それで、俺の事を呼び止めて何の用だ?」
俺はお前に対して用の欠片もないぞ。用を済ませるならさっさとしてくれ。
憤然とした態度でそう言うと、リフリ・ジレイターは、『やれやれ』と手と首を大仰に振る。
「まあ、大した事ではないのですけどね。私の父があなたに興味を持っている様なのですよ。丁度、トレーニングも済んだ所ですし、あなた、私に着いてきなさい」
「はあっ?」
何を勝手な事をほざいているんだ?
「嫌ですけれども?」
そう言って断ると、リフリ・ジレイターが眉間に皺を寄せる。
おそらく、断られると微塵も考えていなかったのだろう。
傲慢さが、顔と身体と態度に滲み出ている。
どうやって育ったらこんな傲慢な人間?に育つのだろうか。
まあここはゲーム世界だし、変な奴の巣窟と言われたらそれまでだけど……。
「……今、なんと言ったのですか?」
おっと、話がそれてしまった。
「聞こえなかったのか? 嫌だと言ったんだ。お前の親父が俺に興味を持つとか持たないとか、そんな事はどうでもいい。なんで俺がお前に着いていかなきゃならないんだ?」
コイツには下剤を盛ったり、市中引き回しの刑に処したり、馬車で追いかけたりと、色々な嫌がらせをしてきたという自覚がないのだろうか?
それに『トレーニングも済んだ所ですし』って、理由でもなんでもないだろ。
「ふん。生意気なのは相変わらずの様ですね。しかし、よろしいのですか?」
「はあっ? 何の事だ?」
よろしいに決まっている。
なんでそんな自信満々にそんな事が言えるのか、不思議な位だ。
『やれやれ、これだから馬鹿の相手は困る』と言わんばかりに首を振ると、リフリ・ジレイターが呆れたように言う。
「あなたという人は……本当にお馬鹿さんですね……。いいですか? 私は冷蔵庫組の若頭にして、転移組のパトロンですよ?」
「うん? それがどうした?」
転移組のパトロンである事が何か俺に関係あるんだ?
意味がわからん。
「言葉にしなければわかりませんか? まったく、これだから、モブ・フェンリルは……。あなたは転移組の組員でしょう? パトロンである私の言う事に背いてタダで済むと思っているのですか?」
「ああ、なるほど……」
そういう事か。ようやく理解した。
それなら話は早い。
「……じゃあ、尚更着いていく必要はないな。だって、俺、転移組の組員じゃないし」
そう言うと、リフリ・ジレイターの頬がピクりと動く。
「……なんですって?」
聞こえなかったのだろうか?
それならもう一度だけ言ってさしあげよう。
「だから、俺は転移組の組員じゃないの。つまり、お前が転移組のパトロンだろうが何だろうが、関係ないって事……。わかった? ドゥー・ユー・アンダースタンド?」
煽りながらそう言うと、リフリ・ジレイターのこめかみに皺を寄せる。
「……本当に、本当に初めてですよ。ここまで私をコケにしたお馬鹿さんはあなたが初めてです……。ビーツ! クレソン! このモブ・フェンリルを殺しなさい!」
「「はいっ!」」
そう叫ぶと、冷蔵庫組の組員、ビーツとクレソンが剣を片手に迫ってくる。
「「死ねぇぇぇぇ!」」
「……いや、お前等、仮にも組員だろ? 拳銃とか持ってないのかよ」
ピカピカ光って迎撃しようとするエレメンタルを静止し、剣をいなしながらそう呟くと、俺はモブ・フェンリルバズーカをビーツとクレソンに向ける。
「「ひっ!?」」
レベル二百オーバーの俺が放つゼロ距離射撃。エレメンタルに股間を焼かれるよりマシだよね。でも、辺り所が悪くて死んでしまったらゴメンね?
でも正当防衛って事で……!
そんなことを想いながら、モブ・フェンリルバズーカの引き金を引く。
すると、バズーカから、捕縛する魔法の鎖『グレイプニル』弾が勢いよく射出された。
「ぐ、ぐあっ!!」
「な、なにっ!?」
射出された『グレイプニル』弾がビーツの頭に突き刺さると、爆発し、鎖の網に捕らえられた二人を遥か彼方に吹き飛ばしていく。
「ビーツ! クレソンッ!? お、おのれ、モブ・フェンリル……」
顔を紅潮させ怒り狂うリフリ・ジレイター。
怒り心頭のリフリ・ジレイターにモブ・フェンリルバズーカを向けると、リフリ・ジレイターは両手を挙げて冷や汗を流す。
「ぐうっ、あ、あなた……私に手を出せば大変な事になりますよ。それでもいいのですか? な、なにをするのです! やめなさっ、う、うぐぐっ……」
「へえ、ああ、そう? それで? お前に手を出すとどうなるの? 教えてくれよ」
モブ・フェンリルバズーカの先で、リフリ・ジレイターの顔をウリウリしながらそう言うと、リフリ・ジレイターが苦しそうな表情を浮かべる。
「うぐぐぐぐっ……あなた、いい加減に……いい加減にしなさいよ。私が寛大だから許してあげているけどね。組に戻ったらタダじゃ……」
「……タダじゃなに? なんかくれんの?」
ウリウリタイムを継続しながらそう言うと、リフリ・ジレイターがブチ切れた。
「タ、タダじゃ……ダダじゃおかないと言っているのですよ! つーか、それ止めろやぁ! 誰に向かってバズーカ向けているか、本当にわかっているのですか、テメェ!」
「さあ? それがわからないから教えて貰おうと思ってるんだけど?」
もう二、三回ウリウリすると、リフリ・ジレイターの顔からモブ・フェンリルバズーカの砲身を外す。
リフリ・ジレイターは片手を上げたまま頬を撫でると、深い深呼吸をした。
「すうー、はあー、すうー、はあー」
まるで深呼吸しないとキレてしまいそうだと、言わんばかりの表情を浮かべながら深呼吸を繰り返すリフリ・ジレイター。
可哀相に、相当ストレスが溜まっているようだ。
「それで、お前達、トレーニング終わって帰るならここ使わせて貰っても問題ないよな? 俺、部下の訓練中なんだよね。まあ、お前に許可を取る必要性もないか……そんじゃ、さいなら。あのゴミ共はちゃんと拾って帰れよ。環境は大切にしろよな。環境は……」
大事だからな、環境は!
壊したら元に戻す事はできないかけがえのないものなんだぞ。
まあ、火山洞窟には肉食のモンスターも多数存在するし、生ゴミ二体置かれても、ダンジョン内に棲息するモンスターが処理してくれるだろうから、別にどうでもいいけど……。
「……さてと、あいつ等の下に戻るか」
リフリ・ジレイターの顔を見た瞬間、駆け出してしまったからな。
まあ、『ああああ』が着いているから大丈夫だとは思うが、ちゃんと素手(もしくは投石)でボルケーノ・ドラゴンを倒せているか心配だ。
憤怒の表情を浮かべ、部下二人を引き摺っていくリフリ・ジレイター。
「モブ・フェンリルッ! この私に逆らった事を後悔させてやるからなぁぁぁぁ!」
顔を向けると、もの凄い表情を浮かべ罵声を浴びせかけてきたが、無視だ。無視。
そんな事より部下の方が大事である。
ボスのいる階層へと続く魔法陣へ乗り、転移するとそこには……。
「「「うおっしゃぁぁぁぁ!」」」
――と声を上げる部下達の姿があった。
部下達が足蹴にしているのは、中級ダンジョン『ボルケーノケイブ』のボスモンスター、ボルケーノ・ドラゴン。
確か、野良ボルケーノ・ドラゴンよりも二十レベルほど、レベルが高かったはず……。それにも係わらず、圧勝か……。
ボルケーノ・ドラゴンのボロボロの姿を見るに、投石攻撃でHPを削り切ったのだろう。すげーな、投石攻撃。
この世界がまだゲーム世界だった時には考えもしない攻撃方法だわ。
しかし、これなら何とかなりそうだ。
命名神シリーズにより防御は万全。
安全にモンスターを倒せる手段も確立。
このダンジョンで自信を付けさせ、同時にレベリングも行えば、上級ダンジョンの攻略も容易い。
「くくくっ……」
思いの外、容易にモンスターを倒す手段が見つかった事に、俺はひそかにほくそ笑んだ。
俺を見つけた瞬間、『待て』と言い出す冷蔵庫組の若頭、リフリ・ジレイター。
『どこに行くのです』って? そんな事は決まっている。
『ダンジョンから出て行きなさい』と言われたから出て行くだけだ。
話しを聞く限り、奴は、転移組のパトロンみたいだし、俺の言動や行動が原因で転移組のパトロンを失う訳にはいかない。
まあ、俺個人の意見として、『パトロンにするならもっとマトモな奴を選べよ』と思わなくもないがどうでもいい。
というより、反社会的組織をパトロンにして大丈夫なのだろうか?
なんとなく、色々とアウトな気がする。
まあ、俺には関係ないし、まあいいか。
そんな事を考えながら、転移門『ユグドラシル』に向かおうとする。
「待てっ!」
「待ちなさいっ!」
すると、リフリ・ジレイターの腰巾着、もとい組員ビーツとクレソンが俺の進む道を遮ってきた。
「ちっ……」
逃げる事ができなかったか。
まさか、先回りされているとは、面倒臭い奴に絡まれてしまった……。
渋面を浮かべていると、追いかけてきたリフリ・ジレイターが話しかけてくる。
「ふふふっ、お久しぶりですね。Sランク冒険者ともあろう者が中級ダンジョンに足を運ぶだなんて……。もしかして、お散歩ですか? そういえば、そうでした。あなた、モブ・フェンリルでしたものね?」
「ああっ?」
何だコイツ。喧嘩売ってんのか?
俺が凄むと、リフリ・ジレイターは笑みを浮かべる。
何笑ってるんだ、コイツ。
俺の事をSランク冒険者だと認識していてその態度……。
言っとくけど、中級ダンジョンでレベリングしているお前なんて、俺の投石攻撃で一発だぞ?
石を投げるだけで一撃撃破だぞ?
なんなら、今すぐ駆除してやろうか?
そんな事を考えながら、地面に落ちている石を拾い上げる。
すると、『ああああ』が俺の手を掴んだ。
「ダ、ダメだよ。カケル君」
「あっ?」
何がだ?
俺は石を拾っただけだぞ?
もしかして、俺がこいつに向かって投石するとでも思ったのか?
大正解だけど、何故、お前がそれを止める。
「あっ、手が滑った……」
そういってよろけて見せると『ああああ』の一瞬の隙を突き、もう片方の手で石を投げる。
すると、石は『ズドンッ!』と音を立ててリフリ・ジレイターの足下で砕け散った。
チッ……外したか……まあいい。
『ああああ』の手を払い立ち上がると、先程まで余裕綽々だったリフリ・ジレイターが苦笑いを浮かべた。
「……あ、相変わらずの様ですね……まあ、いいでしょう」
何がいいのか、まったく分からないが、まあいいという事になった。
「それで、俺の事を呼び止めて何の用だ?」
俺はお前に対して用の欠片もないぞ。用を済ませるならさっさとしてくれ。
憤然とした態度でそう言うと、リフリ・ジレイターは、『やれやれ』と手と首を大仰に振る。
「まあ、大した事ではないのですけどね。私の父があなたに興味を持っている様なのですよ。丁度、トレーニングも済んだ所ですし、あなた、私に着いてきなさい」
「はあっ?」
何を勝手な事をほざいているんだ?
「嫌ですけれども?」
そう言って断ると、リフリ・ジレイターが眉間に皺を寄せる。
おそらく、断られると微塵も考えていなかったのだろう。
傲慢さが、顔と身体と態度に滲み出ている。
どうやって育ったらこんな傲慢な人間?に育つのだろうか。
まあここはゲーム世界だし、変な奴の巣窟と言われたらそれまでだけど……。
「……今、なんと言ったのですか?」
おっと、話がそれてしまった。
「聞こえなかったのか? 嫌だと言ったんだ。お前の親父が俺に興味を持つとか持たないとか、そんな事はどうでもいい。なんで俺がお前に着いていかなきゃならないんだ?」
コイツには下剤を盛ったり、市中引き回しの刑に処したり、馬車で追いかけたりと、色々な嫌がらせをしてきたという自覚がないのだろうか?
それに『トレーニングも済んだ所ですし』って、理由でもなんでもないだろ。
「ふん。生意気なのは相変わらずの様ですね。しかし、よろしいのですか?」
「はあっ? 何の事だ?」
よろしいに決まっている。
なんでそんな自信満々にそんな事が言えるのか、不思議な位だ。
『やれやれ、これだから馬鹿の相手は困る』と言わんばかりに首を振ると、リフリ・ジレイターが呆れたように言う。
「あなたという人は……本当にお馬鹿さんですね……。いいですか? 私は冷蔵庫組の若頭にして、転移組のパトロンですよ?」
「うん? それがどうした?」
転移組のパトロンである事が何か俺に関係あるんだ?
意味がわからん。
「言葉にしなければわかりませんか? まったく、これだから、モブ・フェンリルは……。あなたは転移組の組員でしょう? パトロンである私の言う事に背いてタダで済むと思っているのですか?」
「ああ、なるほど……」
そういう事か。ようやく理解した。
それなら話は早い。
「……じゃあ、尚更着いていく必要はないな。だって、俺、転移組の組員じゃないし」
そう言うと、リフリ・ジレイターの頬がピクりと動く。
「……なんですって?」
聞こえなかったのだろうか?
それならもう一度だけ言ってさしあげよう。
「だから、俺は転移組の組員じゃないの。つまり、お前が転移組のパトロンだろうが何だろうが、関係ないって事……。わかった? ドゥー・ユー・アンダースタンド?」
煽りながらそう言うと、リフリ・ジレイターのこめかみに皺を寄せる。
「……本当に、本当に初めてですよ。ここまで私をコケにしたお馬鹿さんはあなたが初めてです……。ビーツ! クレソン! このモブ・フェンリルを殺しなさい!」
「「はいっ!」」
そう叫ぶと、冷蔵庫組の組員、ビーツとクレソンが剣を片手に迫ってくる。
「「死ねぇぇぇぇ!」」
「……いや、お前等、仮にも組員だろ? 拳銃とか持ってないのかよ」
ピカピカ光って迎撃しようとするエレメンタルを静止し、剣をいなしながらそう呟くと、俺はモブ・フェンリルバズーカをビーツとクレソンに向ける。
「「ひっ!?」」
レベル二百オーバーの俺が放つゼロ距離射撃。エレメンタルに股間を焼かれるよりマシだよね。でも、辺り所が悪くて死んでしまったらゴメンね?
でも正当防衛って事で……!
そんなことを想いながら、モブ・フェンリルバズーカの引き金を引く。
すると、バズーカから、捕縛する魔法の鎖『グレイプニル』弾が勢いよく射出された。
「ぐ、ぐあっ!!」
「な、なにっ!?」
射出された『グレイプニル』弾がビーツの頭に突き刺さると、爆発し、鎖の網に捕らえられた二人を遥か彼方に吹き飛ばしていく。
「ビーツ! クレソンッ!? お、おのれ、モブ・フェンリル……」
顔を紅潮させ怒り狂うリフリ・ジレイター。
怒り心頭のリフリ・ジレイターにモブ・フェンリルバズーカを向けると、リフリ・ジレイターは両手を挙げて冷や汗を流す。
「ぐうっ、あ、あなた……私に手を出せば大変な事になりますよ。それでもいいのですか? な、なにをするのです! やめなさっ、う、うぐぐっ……」
「へえ、ああ、そう? それで? お前に手を出すとどうなるの? 教えてくれよ」
モブ・フェンリルバズーカの先で、リフリ・ジレイターの顔をウリウリしながらそう言うと、リフリ・ジレイターが苦しそうな表情を浮かべる。
「うぐぐぐぐっ……あなた、いい加減に……いい加減にしなさいよ。私が寛大だから許してあげているけどね。組に戻ったらタダじゃ……」
「……タダじゃなに? なんかくれんの?」
ウリウリタイムを継続しながらそう言うと、リフリ・ジレイターがブチ切れた。
「タ、タダじゃ……ダダじゃおかないと言っているのですよ! つーか、それ止めろやぁ! 誰に向かってバズーカ向けているか、本当にわかっているのですか、テメェ!」
「さあ? それがわからないから教えて貰おうと思ってるんだけど?」
もう二、三回ウリウリすると、リフリ・ジレイターの顔からモブ・フェンリルバズーカの砲身を外す。
リフリ・ジレイターは片手を上げたまま頬を撫でると、深い深呼吸をした。
「すうー、はあー、すうー、はあー」
まるで深呼吸しないとキレてしまいそうだと、言わんばかりの表情を浮かべながら深呼吸を繰り返すリフリ・ジレイター。
可哀相に、相当ストレスが溜まっているようだ。
「それで、お前達、トレーニング終わって帰るならここ使わせて貰っても問題ないよな? 俺、部下の訓練中なんだよね。まあ、お前に許可を取る必要性もないか……そんじゃ、さいなら。あのゴミ共はちゃんと拾って帰れよ。環境は大切にしろよな。環境は……」
大事だからな、環境は!
壊したら元に戻す事はできないかけがえのないものなんだぞ。
まあ、火山洞窟には肉食のモンスターも多数存在するし、生ゴミ二体置かれても、ダンジョン内に棲息するモンスターが処理してくれるだろうから、別にどうでもいいけど……。
「……さてと、あいつ等の下に戻るか」
リフリ・ジレイターの顔を見た瞬間、駆け出してしまったからな。
まあ、『ああああ』が着いているから大丈夫だとは思うが、ちゃんと素手(もしくは投石)でボルケーノ・ドラゴンを倒せているか心配だ。
憤怒の表情を浮かべ、部下二人を引き摺っていくリフリ・ジレイター。
「モブ・フェンリルッ! この私に逆らった事を後悔させてやるからなぁぁぁぁ!」
顔を向けると、もの凄い表情を浮かべ罵声を浴びせかけてきたが、無視だ。無視。
そんな事より部下の方が大事である。
ボスのいる階層へと続く魔法陣へ乗り、転移するとそこには……。
「「「うおっしゃぁぁぁぁ!」」」
――と声を上げる部下達の姿があった。
部下達が足蹴にしているのは、中級ダンジョン『ボルケーノケイブ』のボスモンスター、ボルケーノ・ドラゴン。
確か、野良ボルケーノ・ドラゴンよりも二十レベルほど、レベルが高かったはず……。それにも係わらず、圧勝か……。
ボルケーノ・ドラゴンのボロボロの姿を見るに、投石攻撃でHPを削り切ったのだろう。すげーな、投石攻撃。
この世界がまだゲーム世界だった時には考えもしない攻撃方法だわ。
しかし、これなら何とかなりそうだ。
命名神シリーズにより防御は万全。
安全にモンスターを倒せる手段も確立。
このダンジョンで自信を付けさせ、同時にレベリングも行えば、上級ダンジョンの攻略も容易い。
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