傷物令嬢は騎士に夢をみるのを諦めました

みん

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ダンス

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「それでは、王妃を祝って楽しんでくれ。」



国王陛下の挨拶が終わると、そこから音楽が流れ出し、国王両陛下と、王太子レオナール様と婚約者であるベルフォーネ様の2組がホールの中央でダンスを始める。

そして、2曲目に入る前、国王両陛下はお互い向き合い軽く礼をした後、ホールを見渡せる位置にある玉座へと移動した。2曲目からは、誰もが自由にダンスに参加できる。
王太子殿下とベルフォーネ様は、どうやらこのままダンスを続けるようだ。

「シルフィー、私達も踊ろうか?」

「勿論、喜んで。」

私は少し微笑んで、お兄様の手をとった。















「シルフィーは、ダンスが上手だね。」

「領地に居る時にケイトにみっちり扱かれたからね。」

「あぁ…なるほどね…」

と、兄が遠い目をしている─と言う事は、お兄様も扱かれたのだろう。お互いクスクスと笑っていると

「まさか、シルフィーが参加しているとは思わなかったぞ?」

「「王弟殿下!?」」

「あー、堅苦しい挨拶はいらないからな。」

挨拶をしようとしたところ、王弟殿下が手をヒラヒラさせながら苦笑した。

「王弟殿下こそ、夜会に参加されているとは…」

「本当にな。俺自身驚いているが、王命だから仕方無いだろう?」

「王命……」

兄はそう呟いてから黙り込む。
その兄を暫く見た後、王弟殿下が私の方へと視線を向けて来た。

「シルフィー、俺とも…踊ってくれるか?」

「───え?」

ー“踊る”って何を?誰と?ー

「参加だけして、ダンスの一つもしないと兄上に何を言われるか…。俺を助けると思って。」

言いたい事は…分からない事も無いけど…。
あぁ、そうか。私とダンスをしたところで、何の影響も無いからか。
12も年の差があって、なんなら先生と生徒で、私の見てくれは至って普通。平凡な顔立ち。噂にもならないだろう。なるほど、ある意味“虫除け”と言う事だろう。

「(虫除け)きっちり務めさせていただきます。」

ーシルフィー…絶対に勘違いしているよな?ー

と、ユリウスは心の中で呟いた。











「ダンス、うまいな。」

「ありがとうございます。」

家族以外の男の人と踊るのは初めてだけど、王弟殿下のリードはとても踊りやすい。自分がフワフワと浮いているように足元が軽くて楽しい。だからなのか、自分でも顔が笑っていると言う事が分かる。

そんな私を、王弟殿下もいつもより優しい目で見下ろしている。うんうん。確かに、こんな目で見つめられると、色んなご令嬢達から攻撃を受けても仕方無いよね─と、一人納得していると曲が終わり掛けた為、王弟殿下から離れる為に一歩後ろへと下がろうとすると、逆に腰に回されていた手に力を入れて、王弟殿下の方へと引き寄せられた。

「──え!?」

「誰が、一曲だけだと言った?」

耳元で囁かれて、バッと顔を上げると、広角を上げてニヤリ─と微笑んでいる王弟殿下が居た。

「なっ─にを…冗談は止めて下さい。二曲連続なんて…王弟殿下にご迷惑が─」

「そもそも迷惑だと思ってるなら、シルフィーをダンスに誘ったりはしない。それに、俺と仲が良いと思わせておけば、学園でお前に直接手を出して来る奴も居なくなるだろう?」

パチクリッと、目を瞬かせる。

いやいや、逆効果じゃないだろうか?確かに、何かをしてくる人は居なくなるかもしれないけど…
それに何よりも、王弟殿下にキズがつくよね?“傷物令嬢に誑かされた王弟殿下”とか─。

「王弟殿下、私は、自分で対処できますので、その様なお気遣いは……」

踊ろうとする動きを止めて、スッと姿勢を正して王弟殿下に向き合う。動きを止められた事に驚いたのか、ポカンとした顔をしている隙に、王弟殿下から距離をとり軽く一礼して、更に距離をとる為に後ろに下がった。

そんな私を見て、王弟殿下はまたニヤリと笑う。

「本当に、シルフィーは面白いな。」

「褒め言葉として、頂いておきます。」

「まぁ…今のところはこれ位にしておくか。」

「はい?何か言われましたか?」

あまりにも声が小さくて聞き取れなかった。

「いや、何も。仕方無い、ダンスは諦めるから、向こうで一緒に何か飲みながら相手をしてもらおうか。」

ーあぁ、それは、拒否権は無いんですね?ー

「はい………。」

「くくっ──」

何故か愉しそうに笑う王弟殿下にエスコートされながら、私達はお兄様の所へと戻り、そのまま3人でドリンクを飲みながら話をした。王弟殿下に秋波を送って来る令嬢方には目もくれずに…。

ーある意味、本当に怖いわー

私はソッと溜息を吐いた。





そんな私達の様子を、マクウェル様が冷たい目で見ていた事なんて…私は気付いていなかった。













そして、夜会は恙無く終わり───






「話がある」

と、時間を作ってもらうようにお願いをしたのは私。だけど─

「どうせ、今後関わって来るだろうから、ついでにと思ってね。」

と、父が軽ーく言う。
話をする場所が王城内─国王陛下の執務室で……部屋には国王陛下と王太子殿下と宰相と祖父と父と兄と……王弟殿下が居た。



ー何?この…面子は……ー














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