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婚約者とは?
しおりを挟む「───と言う事を、認めていただきたいのです。」
錚々たる顔ぶれを前に、私は入園前から考えていた事の許可をもらう為に話をした。
それに直ぐに答えたのは国王陛下だった。
「シルフィーの契約主として、それは私が許可しよう。明日、私からも学園長に手紙を出しておく。」
「ありがとうございます。ただ、2年終了迄半年程しかありませんので、少し…ベルフォーネ様に付きっ切りと言う事が難しくなると思います。その間、他の“影”の者を付けてはいただけませんか?」
「それに関しては、私に任せて欲しい。ベーネには、王太子の“影”を付けるから、シルフィーは気にせず自分の事を優先してくれ。」
「ありがとうございます。それと…お祖父様、確認したい事があるのですが…」
そこ迄言って、私は言い淀む。
国王陛下と王太子と王弟殿下と宰相がこの場に居るとは思わなかったから…でも、これは確認しておかないといけないし…と思案していると
「マクウェル殿の事だろう?ここで、ハッキリさせておこうか。」
お祖父様は、少し困ったように笑ってから、落ち着いた様子で話し出した。
「シルフィーが思っている通り、マクウェル殿がルーラント公爵を引き継ぐ条件が…キリクスかハイネルの直系の者との婚姻だ。」
やっぱりね──
「でしたら、私を候補から外して下さい。理由は…もうお祖父様の耳にも入っていますよね?私は…“傷物”だそうです。」
「シルフィー!」
それに対して父が声をあげたのを、私は軽く首を振って答える。
「私は、マクウェル様と話をしようと何度も手紙を出しました。それでも、返事はありませんでした。学園でも時間があれば会いに行きましたが、会えませんでした。そして、最後に会った時には……私の話など、一切聞いてくれる様な人ではなくなっていました。そんな、お互い信頼関係すら築けない人とは…結婚するなんて無理です。尤も、最初から婚約する事も…お断りしていましたけど。」
「そう…だったな。すまなかった…。ただ…私は、シルフィーにも結婚して幸せになって欲しいと思っていただけなんだ。」
「その気持ちは、分かっています。でも…ごめんなさい。私には…無理です。」
「話の途中ですまないが、今のこの状況は、ルーラント公爵は把握しているのか?」
何故か、王太子殿下がおずおずと言った様に疑問を呈する。
それには、父が答える。
「ルーラント公爵は把握していません。今のところ、マクウェル殿もルーラント公爵には何も言っていないようですが、卒業を待たずして、“婚約者をエレーナに”と言い出すかと。そうなると、ルーラント公爵もハイネル伯爵も直ぐに動くと思うので、その時点で2人の婚約は確実なモノとなるでしょうね。今以上の問題を起こさないようにしてくれれば良いですが…。」
「ユシールも、相変わらず何も動いていないようだな。アレは、王族としての意識が足らなさ過ぎる。一方の意見と、自分が見た物、聞いた事しか信じようとせんとは…おそらく、影の存在すら忘れておるだろうな……ユシールについては、これからの事を考えねばならぬな…。」
国王陛下が呆れたような顔で吐露すると、王太子殿下もコクリと頷き同調する。
「ユシールに関しては、ベーネが何とかするかもしれませんけどね。」
王太子殿下が楽し気に言う。
確かに、ベルフォーネ様は今の状況を愉しんでいる。ユシール王子がたまにベルフォーネ様に対して悪態をつく事があるのだけど、その度にそれはそれは愉しそうに……撃退しているのだ。ユシール王子が、ベルフォーネ様に勝てる訳など微塵も無いのに。ある意味アレでへこたれないユシール王子は凄いかもしれない。
「ふむ。それで、ユシールもしっかりと自覚すれば良いが…最悪の場合も考えておかねばなるまい。」
“最悪の場合”か─可能であれば、ユシール王子は勿論だけど、マクウェル様もエレーナも…心を改めてくれたらなぁ…、その為にも────
「一つ…良いだろうか?」
少しの沈黙の後、王弟殿下が口を開いた。
「どうした?アシュレイ。」
「キリクス伯爵、シルフィーはマクウェルの婚約者候補から外れた─と言う事で良いんだな?」
「───────そうですね……。」
「なら、シルフィーは俺が貰う。」
「「「「「「…………」」」」」」
「───はい???」
思わず声を出してしまったのはシルフィー。
何故かニヤニヤと笑っているのが国王陛下と王太子殿下と宰相。
苦虫を噛み潰した様な顔をしているのが父。
困った顔をしているのが祖父と兄。
ーえ?“貰う”って…何を?ー
「──ははっ…王弟殿下…ご冗だ──」
「冗談ではないからな。」
引き攣り気味の父に、被せるように突っ込む王弟殿下。
その王弟殿下は父を一瞥した後、私の方へと真っ直ぐに視線を向けて
「シルフィー、俺の婚約者になれ。」
と言った。
ー“こんやくしゃ”とは一体…なんだったっけ?ー
どうやら、私の頭はおかしくなってしまったようてす。
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