傷物令嬢は騎士に夢をみるのを諦めました

みん

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反撃②

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王弟殿下から、ピリッとした空気が漂うが、ユシール王子は全く気付いていない。

「シルフィーは従姉妹なのにも関わらず助けようとするどころか、エレーナに怪我をさせたりしたんです。つい先日のエレーナの怪我も、シルフィーにやられたと!」

「従姉妹と言っても、住んでいる所も学年だって違う。まして、シルフィーは学生ではあるが、ベルフォーネ付きの侍女だ。しかも、ベルフォーネは王太子の婚約者。そのシルフィーが、ベルフォーネの側から離れてエレーナを苛めに行く事があると─思っているのか?」

「でも!─あぁ、叔父上こそ、そのシルフィーに誑かされているんですよ!だって、シルフィーは…“傷物”なんですから!」

ユシール王子は…言ってはいけない言葉を口にしてしまった。

「───“傷物”?」

「そうです。そのシルフィーは、兄上とベルフォーネが2人でお茶をしている間、城内で色んな男と関係をもっているんです。ですから、そんな女の言う事なんて─────」

「黙れ、ユシール。」

「ひぃ─っ」

「それ以上、シルフィーを悪く言うのなら…俺は容赦しないからな?」

この部屋の温度が一気に下がったように、体がブルブルと震える感覚になる。ユシール王子も、王弟殿下がキレている事がようやく分かったようで、口を固く閉している。その顔はもう、青を通り越して白色になっている。
そして、そんな状況の中、更に空気の読めない馬鹿が居た。







「そうです!様、シルフィーに騙されないで下さい!」

その馬鹿──エレーナが、ユシール王子の後ろから、目をウルウルとさせながら声を張り上げた。

「ほぅ─お前は、私がシルフィーに騙されていると?」

「そうです。でなければ、聡明なアシュレイ様ともあろうお方が、シルフィーの側に居るだなんて…有り得ませんから。」

エレーナは、絶対零度な視線を向ける王弟殿下には気付いていないのか、両手を組んでウルウル目で、さも“私は王弟殿下を心配しているのです”と言う姿勢をとっている。

そんなエレーナを、ベルフォーネ様とリンデル様はニヤニヤと愉しそうに見ている。その2人に反するユシール王子とマクウェル様の顔は…今にも泣きそうな顔をしている。

「先ず──俺は、お前に名前呼びを許した覚えはないし、許すつもりもないから、名前呼びをするのは止めろ。」

「……分かり…ました。」

「その、“傷物”と言う話だが…どうしてそんな噂が出回ったんだ?」

「噂ではありません!おっ…王城の女官が言っていました。シルフィーが、王太子とベルフォーネ様とお茶をしている間、暇だからと、王城内を歩き回り、いつも何処かの部屋に入り暫くは出て来ないと!」

ーあながち、嘘では無いんだよねー

魔法棟に勤める人達は、ハッキリとではないが、私が王弟殿下の元へ通っている理由をなんとなく理解していると思う。誰かに会ったりした時、『お大事にね』と声を掛けられたりするから。だから、魔法棟の人達が私の事を口外した─と言う事はないだろう。

「なるほどな。まぁ、それは間違いではないな。」

「でしょう!?」

エレーナは、パッと明るい笑顔になる。

ーあぁ…王弟殿下この人は、もう隠しておくつもりがないのかー

王弟殿下は、ここで、この場で終わりにしようと思っているのだ。だから、ベルフォーネ様とリンデル様は愉しそうにしてるのだ。

「シルフィーは、俺の所に来ていたからな。」

「「「─────は?」」」

王弟殿下が、口角を上げて笑う。

「シルフィーは、怪我の治療をする為に俺の執務室に来ていたんだ。」

「シルフィーの…?」

私の怪我に反応したのは、マクウェル様だった。

「そうだ。シルフィーのの治療だ。シルフィーは、その怪我のせいで…魔力の回復が遮断されていたんだ。でも、俺との魔力の相性が良かったから、今では少しずつだが、その魔力も回復しつつあるがな。確かに…シルフィーには“傷”はあるが、お前達が言うような、ではない。」

「そんな…どうして?どうしてアシュ──王弟殿下が…シルフィーなんかに?…それに、魔力の相性が良いって…それは…私とだった筈じゃあ…」

「お前に、“シルフィーなんかに”と言われる筋合いはない。それに、俺とお前の魔力の相性が良いと言う事は有り得ない。お前とは属性すら違うのだからな。妄想も、ここまで来ると恐ろしいな。」

「なっ…だって…嘘でしょう?こんな事って…だって、漫画でもゲームでも…皆、私を選んでくれたのに。」

「お前が何を言っているのかは分からないが、俺がお前を選ぶ事はない。お前のような女には……ユシールやマクウェルが丁度良いのではないか?あぁ、そうだったな。お前はマクウェル=ルーラントとの婚約が決まったのだったな?本当にこれ以上ないと言う程のお似合いの2人だな。おめでとう。」

と、王弟殿下は、本当に嬉しそうににこやかに2人に笑いかけた。












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