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反撃①
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「今すぐその手を離せ。」
「え?」
「聞こえなかったのか?その手を離せ。マクウェル=ルーラント。」
「王弟殿下!?」
その声の主は王弟殿下だった。
マクウェル様は、少し遅れてハッとした後、捻り上げていた私の左腕から手を離した。
「シルフィー、大丈夫か?」
「はい…大丈夫…です。」
王弟殿下は、周りの視線を気にする事なく、しゃがみ込んでいる私の前で片膝を付き、私の左腕に手をあてて少しだけ魔力を流してくれた。
「お…叔父上、どうしてここに!?」
ユシール王子が焦ったように声を掛ける。
「お前には勿体無い優秀な側近のお陰だ。お前…お前達が、ベルフォーネやシルフィーに何か良からぬ事をするかも知れない─と報告をしてくれたんだ。」
「なっ!?」
と、ユシール王子が声を上げかけた時、隣に立っていたリンデル様がユシール王子に向かって頭を下げた。
「ユシール殿下、どうぞ、私を殿下の側近から外して下さい。私は…もう、殿下に信を置くことが…できませんので。」
リンデル様はそれだけ言うと、私達の方に歩み寄り、そのまま王弟殿下の後ろに立った。そのリンデル様は、何となく晴れ晴れしたような顔をしている。
それとは逆に、マクウェル様は少し顔色を悪くしたままユシール王子の後ろ─エレーナの方へと行った。
「俺も隣の部屋で聞いていたが…ユシール、お前の言っていた事は本当なのか?証拠はあるのか?」
王弟殿下は、ベルフォーネ様と私を椅子に座らせながら、ユシール王子から視線を逸らす事なく問い掛けた。
「勿論本当です。証拠も…あります。それに、ベルフォーネは嘘をついています。さっきも聞いていたでしょう?同じ生徒会の仕事をしているのに、会話どころか挨拶もしていないなどと!」
確かに、私もそこが気になった。同じ生徒会役員なのに、会話どころか挨拶もしていない…なんて事が有り得るのか?と。それでも、ベルフォーネ様は愉しんでいるようだったから、嘘では無いと思うけど…。
「ユシール殿下、それに関しては私が証言しましょう。」
それには、マーカス=リンデル様が答えた。
「ユシール殿下は全く気付いていなかったと思いますが、新旧役員の顔合わせの日、ベルフォーネ様はいらっしゃいませんでした。勿論、シルフィー嬢もです。後日、ベルフォーネ様とエレーナ嬢が初めて生徒会室で会った時は、ユシール殿下がずっとエレーナ嬢を側に置き引き継ぎをされていたので、その日も挨拶もされませんでした。勿論、それ以降も挨拶を交わす事はありませんでしたし、エレーナ嬢の引き継ぎの指導はほぼユシール殿下がされていたので、ベルフォーネ様がエレーナ嬢と会話をする事は…一度も無かった─と、私は把握しています。」
「は?」
ユシール王子は、ポカンとした顔で固まった。
「それと、あまりにもユシール殿下がエレーナ嬢を側に置き指導をするので、“距離が近過ぎるのでは?”と、ベルフォーネ様が苦言を呈した事はありますが、“お互い婚約者も居ないし、ただの引き継ぎの指導をしているだけで、やましい事はしていない”と、一蹴されました。ベルフォーネ様は、その一度の苦言以降は、何も言われてもされてもいません。付け加えて言いますが、私もベルフォーネ様も同じクラスです。ベルフォーネ様が学園において、挨拶も交わしていない違う階に居る違う学年の一生徒に会いに行く─なんて事は一度足りともありませんでした。会いに行く必要もありませんでしょうけど。」
ひょっとしたら、このマーカス=リンデル様もベルフォーネ様と同類かも知れない。ついさっきまで、ユシール王子の側に居たにも関わらず、今は物凄い笑顔でユシール王子を攻撃している。勿論、ベルフォーネ様も微笑んでいる。
「なっ──しかし、ベルフォーネが直接手を出さずとも、他の者が──」
「ですから、何故私がエレーナを苛める必要があるのですか?正直、第二王子とエレーナがイチャイチャしたところで、私には全く関係ありませんのよ?一度苦言を申し上げたのも、一応は、貴方が第二王子だからです。王族としての立場を理解してもらおうと思っただけですわ。それを理解されなかった。それを正すのは、私がするべき事ではないので、それ以降は、私は何も言わないようにしましたの。本当に、私には全く関係ありませんでしたからね。その事は、貴方の兄である王太子殿下にもお伝えしてありますわ。」
「あ…兄上に?」
「ふふっ。驚く事ではありませんでしょう?どうせ、私が言わずとも…“影”なる者達から知らされていた事ですから。」
「「「“影”?」」」
その言葉に、ユシール王子は更に顔色を悪くさせ、マクウェル様とエレーナはキョトンとした顔をした。
「ユシール、お前は本当に王族としての意識が足らないのだな。だから、お前の様な奴は簡単に誑かされるんだ。」
「誑かされる?しかし叔父上…実際、エレーナがシルフィーからされた所を、このマクウェルが見ていたんですよ?それもきっと、ベルフォーネがシルフィーにやらせたのかもしれません!」
ベルフォーネ様に関しての糾弾は不利だと思ったのか、ユシール王子は今度は私を糾弾し始めたを。
ーどうやら、この馬鹿王子は空気が読めないようだー
「え?」
「聞こえなかったのか?その手を離せ。マクウェル=ルーラント。」
「王弟殿下!?」
その声の主は王弟殿下だった。
マクウェル様は、少し遅れてハッとした後、捻り上げていた私の左腕から手を離した。
「シルフィー、大丈夫か?」
「はい…大丈夫…です。」
王弟殿下は、周りの視線を気にする事なく、しゃがみ込んでいる私の前で片膝を付き、私の左腕に手をあてて少しだけ魔力を流してくれた。
「お…叔父上、どうしてここに!?」
ユシール王子が焦ったように声を掛ける。
「お前には勿体無い優秀な側近のお陰だ。お前…お前達が、ベルフォーネやシルフィーに何か良からぬ事をするかも知れない─と報告をしてくれたんだ。」
「なっ!?」
と、ユシール王子が声を上げかけた時、隣に立っていたリンデル様がユシール王子に向かって頭を下げた。
「ユシール殿下、どうぞ、私を殿下の側近から外して下さい。私は…もう、殿下に信を置くことが…できませんので。」
リンデル様はそれだけ言うと、私達の方に歩み寄り、そのまま王弟殿下の後ろに立った。そのリンデル様は、何となく晴れ晴れしたような顔をしている。
それとは逆に、マクウェル様は少し顔色を悪くしたままユシール王子の後ろ─エレーナの方へと行った。
「俺も隣の部屋で聞いていたが…ユシール、お前の言っていた事は本当なのか?証拠はあるのか?」
王弟殿下は、ベルフォーネ様と私を椅子に座らせながら、ユシール王子から視線を逸らす事なく問い掛けた。
「勿論本当です。証拠も…あります。それに、ベルフォーネは嘘をついています。さっきも聞いていたでしょう?同じ生徒会の仕事をしているのに、会話どころか挨拶もしていないなどと!」
確かに、私もそこが気になった。同じ生徒会役員なのに、会話どころか挨拶もしていない…なんて事が有り得るのか?と。それでも、ベルフォーネ様は愉しんでいるようだったから、嘘では無いと思うけど…。
「ユシール殿下、それに関しては私が証言しましょう。」
それには、マーカス=リンデル様が答えた。
「ユシール殿下は全く気付いていなかったと思いますが、新旧役員の顔合わせの日、ベルフォーネ様はいらっしゃいませんでした。勿論、シルフィー嬢もです。後日、ベルフォーネ様とエレーナ嬢が初めて生徒会室で会った時は、ユシール殿下がずっとエレーナ嬢を側に置き引き継ぎをされていたので、その日も挨拶もされませんでした。勿論、それ以降も挨拶を交わす事はありませんでしたし、エレーナ嬢の引き継ぎの指導はほぼユシール殿下がされていたので、ベルフォーネ様がエレーナ嬢と会話をする事は…一度も無かった─と、私は把握しています。」
「は?」
ユシール王子は、ポカンとした顔で固まった。
「それと、あまりにもユシール殿下がエレーナ嬢を側に置き指導をするので、“距離が近過ぎるのでは?”と、ベルフォーネ様が苦言を呈した事はありますが、“お互い婚約者も居ないし、ただの引き継ぎの指導をしているだけで、やましい事はしていない”と、一蹴されました。ベルフォーネ様は、その一度の苦言以降は、何も言われてもされてもいません。付け加えて言いますが、私もベルフォーネ様も同じクラスです。ベルフォーネ様が学園において、挨拶も交わしていない違う階に居る違う学年の一生徒に会いに行く─なんて事は一度足りともありませんでした。会いに行く必要もありませんでしょうけど。」
ひょっとしたら、このマーカス=リンデル様もベルフォーネ様と同類かも知れない。ついさっきまで、ユシール王子の側に居たにも関わらず、今は物凄い笑顔でユシール王子を攻撃している。勿論、ベルフォーネ様も微笑んでいる。
「なっ──しかし、ベルフォーネが直接手を出さずとも、他の者が──」
「ですから、何故私がエレーナを苛める必要があるのですか?正直、第二王子とエレーナがイチャイチャしたところで、私には全く関係ありませんのよ?一度苦言を申し上げたのも、一応は、貴方が第二王子だからです。王族としての立場を理解してもらおうと思っただけですわ。それを理解されなかった。それを正すのは、私がするべき事ではないので、それ以降は、私は何も言わないようにしましたの。本当に、私には全く関係ありませんでしたからね。その事は、貴方の兄である王太子殿下にもお伝えしてありますわ。」
「あ…兄上に?」
「ふふっ。驚く事ではありませんでしょう?どうせ、私が言わずとも…“影”なる者達から知らされていた事ですから。」
「「「“影”?」」」
その言葉に、ユシール王子は更に顔色を悪くさせ、マクウェル様とエレーナはキョトンとした顔をした。
「ユシール、お前は本当に王族としての意識が足らないのだな。だから、お前の様な奴は簡単に誑かされるんだ。」
「誑かされる?しかし叔父上…実際、エレーナがシルフィーからされた所を、このマクウェルが見ていたんですよ?それもきっと、ベルフォーネがシルフィーにやらせたのかもしれません!」
ベルフォーネ様に関しての糾弾は不利だと思ったのか、ユシール王子は今度は私を糾弾し始めたを。
ーどうやら、この馬鹿王子は空気が読めないようだー
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