45 / 57
反撃①
しおりを挟む
「今すぐその手を離せ。」
「え?」
「聞こえなかったのか?その手を離せ。マクウェル=ルーラント。」
「王弟殿下!?」
その声の主は王弟殿下だった。
マクウェル様は、少し遅れてハッとした後、捻り上げていた私の左腕から手を離した。
「シルフィー、大丈夫か?」
「はい…大丈夫…です。」
王弟殿下は、周りの視線を気にする事なく、しゃがみ込んでいる私の前で片膝を付き、私の左腕に手をあてて少しだけ魔力を流してくれた。
「お…叔父上、どうしてここに!?」
ユシール王子が焦ったように声を掛ける。
「お前には勿体無い優秀な側近のお陰だ。お前…お前達が、ベルフォーネやシルフィーに何か良からぬ事をするかも知れない─と報告をしてくれたんだ。」
「なっ!?」
と、ユシール王子が声を上げかけた時、隣に立っていたリンデル様がユシール王子に向かって頭を下げた。
「ユシール殿下、どうぞ、私を殿下の側近から外して下さい。私は…もう、殿下に信を置くことが…できませんので。」
リンデル様はそれだけ言うと、私達の方に歩み寄り、そのまま王弟殿下の後ろに立った。そのリンデル様は、何となく晴れ晴れしたような顔をしている。
それとは逆に、マクウェル様は少し顔色を悪くしたままユシール王子の後ろ─エレーナの方へと行った。
「俺も隣の部屋で聞いていたが…ユシール、お前の言っていた事は本当なのか?証拠はあるのか?」
王弟殿下は、ベルフォーネ様と私を椅子に座らせながら、ユシール王子から視線を逸らす事なく問い掛けた。
「勿論本当です。証拠も…あります。それに、ベルフォーネは嘘をついています。さっきも聞いていたでしょう?同じ生徒会の仕事をしているのに、会話どころか挨拶もしていないなどと!」
確かに、私もそこが気になった。同じ生徒会役員なのに、会話どころか挨拶もしていない…なんて事が有り得るのか?と。それでも、ベルフォーネ様は愉しんでいるようだったから、嘘では無いと思うけど…。
「ユシール殿下、それに関しては私が証言しましょう。」
それには、マーカス=リンデル様が答えた。
「ユシール殿下は全く気付いていなかったと思いますが、新旧役員の顔合わせの日、ベルフォーネ様はいらっしゃいませんでした。勿論、シルフィー嬢もです。後日、ベルフォーネ様とエレーナ嬢が初めて生徒会室で会った時は、ユシール殿下がずっとエレーナ嬢を側に置き引き継ぎをされていたので、その日も挨拶もされませんでした。勿論、それ以降も挨拶を交わす事はありませんでしたし、エレーナ嬢の引き継ぎの指導はほぼユシール殿下がされていたので、ベルフォーネ様がエレーナ嬢と会話をする事は…一度も無かった─と、私は把握しています。」
「は?」
ユシール王子は、ポカンとした顔で固まった。
「それと、あまりにもユシール殿下がエレーナ嬢を側に置き指導をするので、“距離が近過ぎるのでは?”と、ベルフォーネ様が苦言を呈した事はありますが、“お互い婚約者も居ないし、ただの引き継ぎの指導をしているだけで、やましい事はしていない”と、一蹴されました。ベルフォーネ様は、その一度の苦言以降は、何も言われてもされてもいません。付け加えて言いますが、私もベルフォーネ様も同じクラスです。ベルフォーネ様が学園において、挨拶も交わしていない違う階に居る違う学年の一生徒に会いに行く─なんて事は一度足りともありませんでした。会いに行く必要もありませんでしょうけど。」
ひょっとしたら、このマーカス=リンデル様もベルフォーネ様と同類かも知れない。ついさっきまで、ユシール王子の側に居たにも関わらず、今は物凄い笑顔でユシール王子を攻撃している。勿論、ベルフォーネ様も微笑んでいる。
「なっ──しかし、ベルフォーネが直接手を出さずとも、他の者が──」
「ですから、何故私がエレーナを苛める必要があるのですか?正直、第二王子とエレーナがイチャイチャしたところで、私には全く関係ありませんのよ?一度苦言を申し上げたのも、一応は、貴方が第二王子だからです。王族としての立場を理解してもらおうと思っただけですわ。それを理解されなかった。それを正すのは、私がするべき事ではないので、それ以降は、私は何も言わないようにしましたの。本当に、私には全く関係ありませんでしたからね。その事は、貴方の兄である王太子殿下にもお伝えしてありますわ。」
「あ…兄上に?」
「ふふっ。驚く事ではありませんでしょう?どうせ、私が言わずとも…“影”なる者達から知らされていた事ですから。」
「「「“影”?」」」
その言葉に、ユシール王子は更に顔色を悪くさせ、マクウェル様とエレーナはキョトンとした顔をした。
「ユシール、お前は本当に王族としての意識が足らないのだな。だから、お前の様な奴は簡単に誑かされるんだ。」
「誑かされる?しかし叔父上…実際、エレーナがシルフィーからされた所を、このマクウェルが見ていたんですよ?それもきっと、ベルフォーネがシルフィーにやらせたのかもしれません!」
ベルフォーネ様に関しての糾弾は不利だと思ったのか、ユシール王子は今度は私を糾弾し始めたを。
ーどうやら、この馬鹿王子は空気が読めないようだー
「え?」
「聞こえなかったのか?その手を離せ。マクウェル=ルーラント。」
「王弟殿下!?」
その声の主は王弟殿下だった。
マクウェル様は、少し遅れてハッとした後、捻り上げていた私の左腕から手を離した。
「シルフィー、大丈夫か?」
「はい…大丈夫…です。」
王弟殿下は、周りの視線を気にする事なく、しゃがみ込んでいる私の前で片膝を付き、私の左腕に手をあてて少しだけ魔力を流してくれた。
「お…叔父上、どうしてここに!?」
ユシール王子が焦ったように声を掛ける。
「お前には勿体無い優秀な側近のお陰だ。お前…お前達が、ベルフォーネやシルフィーに何か良からぬ事をするかも知れない─と報告をしてくれたんだ。」
「なっ!?」
と、ユシール王子が声を上げかけた時、隣に立っていたリンデル様がユシール王子に向かって頭を下げた。
「ユシール殿下、どうぞ、私を殿下の側近から外して下さい。私は…もう、殿下に信を置くことが…できませんので。」
リンデル様はそれだけ言うと、私達の方に歩み寄り、そのまま王弟殿下の後ろに立った。そのリンデル様は、何となく晴れ晴れしたような顔をしている。
それとは逆に、マクウェル様は少し顔色を悪くしたままユシール王子の後ろ─エレーナの方へと行った。
「俺も隣の部屋で聞いていたが…ユシール、お前の言っていた事は本当なのか?証拠はあるのか?」
王弟殿下は、ベルフォーネ様と私を椅子に座らせながら、ユシール王子から視線を逸らす事なく問い掛けた。
「勿論本当です。証拠も…あります。それに、ベルフォーネは嘘をついています。さっきも聞いていたでしょう?同じ生徒会の仕事をしているのに、会話どころか挨拶もしていないなどと!」
確かに、私もそこが気になった。同じ生徒会役員なのに、会話どころか挨拶もしていない…なんて事が有り得るのか?と。それでも、ベルフォーネ様は愉しんでいるようだったから、嘘では無いと思うけど…。
「ユシール殿下、それに関しては私が証言しましょう。」
それには、マーカス=リンデル様が答えた。
「ユシール殿下は全く気付いていなかったと思いますが、新旧役員の顔合わせの日、ベルフォーネ様はいらっしゃいませんでした。勿論、シルフィー嬢もです。後日、ベルフォーネ様とエレーナ嬢が初めて生徒会室で会った時は、ユシール殿下がずっとエレーナ嬢を側に置き引き継ぎをされていたので、その日も挨拶もされませんでした。勿論、それ以降も挨拶を交わす事はありませんでしたし、エレーナ嬢の引き継ぎの指導はほぼユシール殿下がされていたので、ベルフォーネ様がエレーナ嬢と会話をする事は…一度も無かった─と、私は把握しています。」
「は?」
ユシール王子は、ポカンとした顔で固まった。
「それと、あまりにもユシール殿下がエレーナ嬢を側に置き指導をするので、“距離が近過ぎるのでは?”と、ベルフォーネ様が苦言を呈した事はありますが、“お互い婚約者も居ないし、ただの引き継ぎの指導をしているだけで、やましい事はしていない”と、一蹴されました。ベルフォーネ様は、その一度の苦言以降は、何も言われてもされてもいません。付け加えて言いますが、私もベルフォーネ様も同じクラスです。ベルフォーネ様が学園において、挨拶も交わしていない違う階に居る違う学年の一生徒に会いに行く─なんて事は一度足りともありませんでした。会いに行く必要もありませんでしょうけど。」
ひょっとしたら、このマーカス=リンデル様もベルフォーネ様と同類かも知れない。ついさっきまで、ユシール王子の側に居たにも関わらず、今は物凄い笑顔でユシール王子を攻撃している。勿論、ベルフォーネ様も微笑んでいる。
「なっ──しかし、ベルフォーネが直接手を出さずとも、他の者が──」
「ですから、何故私がエレーナを苛める必要があるのですか?正直、第二王子とエレーナがイチャイチャしたところで、私には全く関係ありませんのよ?一度苦言を申し上げたのも、一応は、貴方が第二王子だからです。王族としての立場を理解してもらおうと思っただけですわ。それを理解されなかった。それを正すのは、私がするべき事ではないので、それ以降は、私は何も言わないようにしましたの。本当に、私には全く関係ありませんでしたからね。その事は、貴方の兄である王太子殿下にもお伝えしてありますわ。」
「あ…兄上に?」
「ふふっ。驚く事ではありませんでしょう?どうせ、私が言わずとも…“影”なる者達から知らされていた事ですから。」
「「「“影”?」」」
その言葉に、ユシール王子は更に顔色を悪くさせ、マクウェル様とエレーナはキョトンとした顔をした。
「ユシール、お前は本当に王族としての意識が足らないのだな。だから、お前の様な奴は簡単に誑かされるんだ。」
「誑かされる?しかし叔父上…実際、エレーナがシルフィーからされた所を、このマクウェルが見ていたんですよ?それもきっと、ベルフォーネがシルフィーにやらせたのかもしれません!」
ベルフォーネ様に関しての糾弾は不利だと思ったのか、ユシール王子は今度は私を糾弾し始めたを。
ーどうやら、この馬鹿王子は空気が読めないようだー
150
あなたにおすすめの小説
若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。
愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。
ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。
ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。
二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。
時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し……
全ては、愛する人と幸せになるために。
他サイトと重複投稿しています。
全面改稿して投稿中です。
私を嫌っていた冷徹魔導士が魅了の魔法にかかった結果、なぜか私にだけ愛を囁く
魚谷
恋愛
「好きだ、愛している」
帝国の英雄である将軍ジュリアは、幼馴染で、眉目秀麗な冷血魔導ギルフォードに抱きしめられ、愛を囁かれる。
混乱しながらも、ジュリアは長らく疎遠だった美形魔導師に胸をときめかせてしまう。
ギルフォードにもジュリアと長らく疎遠だったのには理由があって……。
これは不器用な魔導師と、そんな彼との関係を修復したいと願う主人公が、お互いに失ったものを取り戻し、恋する物語
【完結】夫が私に魅了魔法をかけていたらしい
綺咲 潔
恋愛
公爵令嬢のエリーゼと公爵のラディリアスは2年前に結婚して以降、まるで絵に描いたように幸せな結婚生活を送っている。
そのはずなのだが……最近、何だかラディリアスの様子がおかしい。
気になったエリーゼがその原因を探ってみると、そこには女の影が――?
そんな折、エリーゼはラディリアスに呼び出され、思いもよらぬ告白をされる。
「君が僕を好いてくれているのは、魅了魔法の効果だ。つまり……本当の君は僕のことを好きじゃない」
私が夫を愛するこの気持ちは偽り?
それとも……。
*全17話で完結予定。
堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
第零騎士団諜報部潜入班のエレオノーラは男装して酒場に潜入していた。そこで第一騎士団団長のジルベルトとぶつかってしまい、胸を触られてしまうという事故によって女性とバレてしまう。
ジルベルトは責任をとると言ってエレオノーラに求婚し、エレオノーラも責任をとって婚約者を演じると言う。
エレオノーラはジルベルト好みの婚約者を演じようとするが、彼の前ではうまく演じることができない。またジルベルトもいろんな顔を持つ彼女が気になり始め、他の男が彼女に触れようとすると牽制し始める。
そんなちょっとズレてる二人が今日も任務を遂行します!!
―――
完結しました。
※他サイトでも公開しております。
獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。
真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。
狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。
私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。
なんとか生きてる。
でも、この世界で、私は最低辺の弱者。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
【完結】竜王の息子のお世話係なのですが、気付いたら正妻候補になっていました
七鳳
恋愛
竜王が治める王国で、落ちこぼれのエルフである主人公は、次代の竜王となる王子の乳母として仕えることになる。わがままで甘えん坊な彼に振り回されながらも、成長を見守る日々。しかし、王族の結婚制度が明かされるにつれ、彼女の立場は次第に変化していく。
「お前は俺のものだろ?」
次第に強まる独占欲、そして彼の真意に気づいたとき、主人公の運命は大きく動き出す。異種族の壁を超えたロマンスが紡ぐ、ほのぼのファンタジー!
※恋愛系、女主人公で書くのが初めてです。変な表現などがあったらコメント、感想で教えてください。
※全60話程度で完結の予定です。
※いいね&お気に入り登録励みになります!
病弱令嬢ですが愛されなくとも生き抜きます〜そう思ってたのに甘い日々?〜
白川
恋愛
病弱に生まれてきたことで数多くのことを諦めてきたアイリスは、無慈悲と噂される騎士イザークの元に政略結婚で嫁ぐこととなる。
たとえ私のことを愛してくださらなくても、この世に生まれたのだから生き抜くのよ────。
そう意気込んで嫁いだが、果たして本当のイザークは…?
傷ついた不器用な二人がすれ違いながらも恋をして、溺愛されるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる