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余話ーマクウェル&ユシールー
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*マクウェル*
「残りの1年はこのまま学園に通わせるが、卒業したら、養子縁組を解消して国に帰る。」
「叔父上、お待ち下さい!今回の事は、エレーナの仕業だったんでしょう?マクウェルは騙されただけで…。それに、今回の事は公になる事は無いと───」
「お前は、本気でそんな事を言っているのか?」
ここはルーラント公爵邸の執務室。
そこで今、レオグルと、その甥である現ルーラント公爵とがマクウェルの処遇についての話をしている。
「今回のこの処遇は、マクウェルが王族の血を継いでいるからだ。この国と我が国の関係を考慮されただけだ。だが、私は…マクウェルをこのまま許す事はできん。シルフィーが受けた怪我は…幼い頃マクウェルを庇ったからだ。そのシルフィーに、マクウェルは…何をした?何を言った?“知らなかった”?そうではない、マクウェルは“知ろうとしなかった”んだ。そんな奴に公爵が務まるとは思わん。それに…お前が欲しがっている王族の血を持っているとしても…この国の王族には…睨まれているんだぞ?」
「………です…が……。」
「諦めろ。1年後、私はマクウェルを連れて帰る。そして、元の籍に戻す事もしない。」
そして、1年後。
マクウェルは、ルーラント公爵との養子縁組を解消し、その日のうちにレオグルと共に隣国へと帰って行った。
「マクウェル、お前には平民として生きていってもらう。直ぐにとは言わない。今日から1年、平民として生きていけるように力をつけろ。住む家は用意しておく。良いな?1年後──ここからは出て行ってもらう。」
「………分かりました。」
祖父は勿論の事、父も怒っているようで、私とは目も合わせてくれなかった。母にいたっては、椅子に座って泣いていた。
それからの1年は、兎に角手に職をつけようと、自分なりに色々な職種のバイトなどをしたが、なかなかうまくはいかなかった。そんな状態のままに1年が過ぎてしまい、半年は暮らせる程のお金だけを渡され、私は王都から少し離れた町に用意された家へと向かう事になった。
それからは、更に必死だった。お金がないと生きていけない。ならば、体力だけは自信があった為、色々な力作業の仕事を請け負った。毎日ヘトヘトになって家へと帰っても、そこには誰も居ない。
「どうして…こうなってしまったんだろう……いや…」
そう言って、フルフルと首を振る。
エレーナのせい?それも違う。コレは、自業自得なんだ。自分が何もしなかったからだ。
私を守ってくれた女の子を、私は傷付けてしまったんだ。
「シルフィー……本当に…すまなかった……」
もう二度と会う事はないだろう。
あの時、シルフィーを信じていたら…どうなっていたんだろうか?
「シルフィー……君が…好きだった……」
ポロッ─と涙が流れた事には気付かないふりをして、私はそのまま眠りに就いた。
*ユシール*
「私、貴方が王子と言っても、容赦はしませんからね?」
ここは王城内にある、王族専用の庭園にあるガゼボ。そこで、婚約者となったアリーシャ=ハリアンと、初めての顔合わせの為のお茶をしている。
その婚約者が、私の目の前でニッコリと微笑む。
「我がハリアン領は、国境の境目─辺境地にある為、のほほんと暮らして行くような所ではございませんの。王子であれば問題無いと思いますが、武の方も必要となります。男女関係なく。例え、貴方が王子であろうとも、有事の際には領主の夫として、動いていただきます。」
「分かっている。」
「なら、良かったですわ。それと、もう一つ…。私、背中に“傷痕”がありますの。」
「え?」
ー“傷痕”がある─などと…未婚の女性が自ら言うとは…どう言うつもりなんだ?ー
「ふふっ。王族…王都に住む貴族の方々にしたら、ご令嬢が“傷痕”などと…と、お思いでしょうね?ですが、我々辺境地に住む者にとっては、戦い、生き残った証なのです。この国を守った証なのです。見下されたり憐れんだりされるモノではありませんの。それでも、貴方が嫌悪されると言うならば、私はソレを受け入れますわ。あぁ、“白い結婚”と言う意味ですわ。世継ぎなどは、優秀な子を養子として迎え入れれば良いだけですから。」
「そんな…見下すなどは……。」
手をギュッと握り締める。
「ふふっ。無理…なさらずとも結構ですわ。学園での事は…国王陛下から聞いておりますから。それを聞いた上で、私はこの婚約を受け入れましたから。もともと、私は結婚などとは考えておりませんでしたからね。ただ、国王陛下に打診され、契約を結んだ─だけですから。」
ーなるほど。コレが、私への罰かー
「辺境地では、情報一つで勝つか負けるか、生きるか死ぬかが決まります。ただ一方だけを信じて、自らは何もしない─そんなマヌケは、辺境地には不要ですから……それが王子であろうとも─です。私からは言えるのは、コレだけですわ。」
そしてまた、私の婚約者はニッコリと笑った後、辺境地へと帰って行った。
「アリーシャ様と、お会いしまして?」
ガゼボから部屋に戻る途中で、ベルフォーネ嬢に声を掛けられた。
「あぁ。」
「辺境地は大変な所と聞いております。どうか、お身体に気を付けて……傷一つで…他人の見る目は…簡単に変わりますから……。では、ご機嫌よう第二王子。」
ベルフォーネ嬢はニッコリ微笑み、誰もが見惚れる様な綺麗なカーテシーをした後、王城を後にした。
「最後迄……名前では呼んでもらえなかったな…。」
それから1年後、ユシール第二王子はひっそりとハリアン辺境地へと送り出された。
「残りの1年はこのまま学園に通わせるが、卒業したら、養子縁組を解消して国に帰る。」
「叔父上、お待ち下さい!今回の事は、エレーナの仕業だったんでしょう?マクウェルは騙されただけで…。それに、今回の事は公になる事は無いと───」
「お前は、本気でそんな事を言っているのか?」
ここはルーラント公爵邸の執務室。
そこで今、レオグルと、その甥である現ルーラント公爵とがマクウェルの処遇についての話をしている。
「今回のこの処遇は、マクウェルが王族の血を継いでいるからだ。この国と我が国の関係を考慮されただけだ。だが、私は…マクウェルをこのまま許す事はできん。シルフィーが受けた怪我は…幼い頃マクウェルを庇ったからだ。そのシルフィーに、マクウェルは…何をした?何を言った?“知らなかった”?そうではない、マクウェルは“知ろうとしなかった”んだ。そんな奴に公爵が務まるとは思わん。それに…お前が欲しがっている王族の血を持っているとしても…この国の王族には…睨まれているんだぞ?」
「………です…が……。」
「諦めろ。1年後、私はマクウェルを連れて帰る。そして、元の籍に戻す事もしない。」
そして、1年後。
マクウェルは、ルーラント公爵との養子縁組を解消し、その日のうちにレオグルと共に隣国へと帰って行った。
「マクウェル、お前には平民として生きていってもらう。直ぐにとは言わない。今日から1年、平民として生きていけるように力をつけろ。住む家は用意しておく。良いな?1年後──ここからは出て行ってもらう。」
「………分かりました。」
祖父は勿論の事、父も怒っているようで、私とは目も合わせてくれなかった。母にいたっては、椅子に座って泣いていた。
それからの1年は、兎に角手に職をつけようと、自分なりに色々な職種のバイトなどをしたが、なかなかうまくはいかなかった。そんな状態のままに1年が過ぎてしまい、半年は暮らせる程のお金だけを渡され、私は王都から少し離れた町に用意された家へと向かう事になった。
それからは、更に必死だった。お金がないと生きていけない。ならば、体力だけは自信があった為、色々な力作業の仕事を請け負った。毎日ヘトヘトになって家へと帰っても、そこには誰も居ない。
「どうして…こうなってしまったんだろう……いや…」
そう言って、フルフルと首を振る。
エレーナのせい?それも違う。コレは、自業自得なんだ。自分が何もしなかったからだ。
私を守ってくれた女の子を、私は傷付けてしまったんだ。
「シルフィー……本当に…すまなかった……」
もう二度と会う事はないだろう。
あの時、シルフィーを信じていたら…どうなっていたんだろうか?
「シルフィー……君が…好きだった……」
ポロッ─と涙が流れた事には気付かないふりをして、私はそのまま眠りに就いた。
*ユシール*
「私、貴方が王子と言っても、容赦はしませんからね?」
ここは王城内にある、王族専用の庭園にあるガゼボ。そこで、婚約者となったアリーシャ=ハリアンと、初めての顔合わせの為のお茶をしている。
その婚約者が、私の目の前でニッコリと微笑む。
「我がハリアン領は、国境の境目─辺境地にある為、のほほんと暮らして行くような所ではございませんの。王子であれば問題無いと思いますが、武の方も必要となります。男女関係なく。例え、貴方が王子であろうとも、有事の際には領主の夫として、動いていただきます。」
「分かっている。」
「なら、良かったですわ。それと、もう一つ…。私、背中に“傷痕”がありますの。」
「え?」
ー“傷痕”がある─などと…未婚の女性が自ら言うとは…どう言うつもりなんだ?ー
「ふふっ。王族…王都に住む貴族の方々にしたら、ご令嬢が“傷痕”などと…と、お思いでしょうね?ですが、我々辺境地に住む者にとっては、戦い、生き残った証なのです。この国を守った証なのです。見下されたり憐れんだりされるモノではありませんの。それでも、貴方が嫌悪されると言うならば、私はソレを受け入れますわ。あぁ、“白い結婚”と言う意味ですわ。世継ぎなどは、優秀な子を養子として迎え入れれば良いだけですから。」
「そんな…見下すなどは……。」
手をギュッと握り締める。
「ふふっ。無理…なさらずとも結構ですわ。学園での事は…国王陛下から聞いておりますから。それを聞いた上で、私はこの婚約を受け入れましたから。もともと、私は結婚などとは考えておりませんでしたからね。ただ、国王陛下に打診され、契約を結んだ─だけですから。」
ーなるほど。コレが、私への罰かー
「辺境地では、情報一つで勝つか負けるか、生きるか死ぬかが決まります。ただ一方だけを信じて、自らは何もしない─そんなマヌケは、辺境地には不要ですから……それが王子であろうとも─です。私からは言えるのは、コレだけですわ。」
そしてまた、私の婚約者はニッコリと笑った後、辺境地へと帰って行った。
「アリーシャ様と、お会いしまして?」
ガゼボから部屋に戻る途中で、ベルフォーネ嬢に声を掛けられた。
「あぁ。」
「辺境地は大変な所と聞いております。どうか、お身体に気を付けて……傷一つで…他人の見る目は…簡単に変わりますから……。では、ご機嫌よう第二王子。」
ベルフォーネ嬢はニッコリ微笑み、誰もが見惚れる様な綺麗なカーテシーをした後、王城を後にした。
「最後迄……名前では呼んでもらえなかったな…。」
それから1年後、ユシール第二王子はひっそりとハリアン辺境地へと送り出された。
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