傷物令嬢は騎士に夢をみるのを諦めました

みん

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余話ーアヤメー

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*エレーナが監禁されている部屋にて*




「何で私が修道院に行かなきゃいけないの!?」

「“何で?”。エレーナ、あなたはまだ分からないの?あなたは…従妹であるシルフィーを嘘で陥れたのよ。しかも、公爵家嫡男のマクウェル様と第二王子を巻き込んでね。ただの平民でしかないあなたが、貴族を──」

「私はただの平民なんかじゃないわ!お母様が勝手に拒否しただけでしょう!私は…マクウェル様の婚約者なのに!将来の公爵夫人なのに!」

エレーナ─女狐の処遇は、この国の最果ての地にある修道院行きだった。そこは、漫画にも出て来る修道院。罪を犯した女性を矯正させる為の場所だ。心から反省し、改心すれば出て来る事は可能だが、そこから生きて出て来た者は今迄一人も居なかった。おそらく、この女狐も出て来れないだろう。

「将来の公爵夫人?馬鹿言わないでちょうだい。あなたは、マクウェル様の人生も狂わせたのよ。マクウェル様は、後1年学園には通えるけれど、卒業後はルーラント公爵との養子縁組を解消して、隣国へと帰る事になったわ。平民としてね。」

「隣国に?平民と…して?」

「そう、平民よ。レオグル様がマクウェル様の行いに怒ってしまわれてね。自国に連れ帰っても、元の席には戻さないと…。」

レオグル様の嫁は元王女。マクウェル様も王族としての血を継いでいる為、この国での処遇は無かったのだが、それを許さなかったのが、祖父であるレオグル様だった。

「それに───エレーナ、貴方が本当に狙ってたのは…王弟殿下のアシュレイ様だったんでしょう?」

「なっ──」

驚いた顔で私を見上げて来る女狐に近付いて

「隠しキャラであるアシュレイが…好きだったんでしょう?」

「っ!?」

更に目を瞠って固まる女狐に笑顔を向ける。

「でも、残念だったわね。アーロンと遊んでいる最中にアーロンに怪我をように装って、傷痕も作ったのに。王弟殿下はシルフィーを選んだ。あんたみたいな、馬鹿な女には……マクウェル様やユシール王子位が丁度良かったのに。ふふっ。ざまあないわね?」

「まさか…お母様も……」

「エレーナ、修道院に行っても…元気でね?」



未だにギャーギャーと叫ぶ女狐は無視して、私はその部屋を後にした。



それから3日後、女狐は修道院へと送られて行った。



















それから1年。アーロンは首席をキープしたまま卒業した。
あの件で、双子の姉でもあるエレーナであっても、そのまま信じる事をせず、自分の意思で行動した事が王太子の目に留まり、アーロンは平民のままではあるが、王太子の側近の一人に選ばれた。兄上であるハイネル伯爵とキリクス伯爵が、アーロンの後ろ盾になってくれた。

そして、アーロンとシルフィーちゃんは無事に社交界デビューをした。

そのデビュタントとして参加したシルフィーちゃんは───


3日程、キリクスの邸に帰って来なかった。

ー勿論、は、私の想定範囲内の事だったけどー

王弟殿下はヒロインを溺愛する俺様キャラだった。しかも、魔力の相性がすこぶる良い。良いと言う事は、身体の相性が良かったり、子供ができやすかったり…するのよね…。コレは、私からはシルフィーちゃんには言えなかったけど。

でも、この1年のシルフィーちゃんは幸せそうだった。

表情があまり変わらないのはそのままだけど、王弟殿下の話をする時は、ほんのり顔が赤くなって、嬉しそうな顔になっていた。
アーロン曰く、学園では王弟殿下の周りへの牽制っぷりと、シルフィーちゃんへの溺愛が──凄かったらしい。

『時々、シルフィーが顔を真っ赤にして椅子にグッタリしていて…その時だけは、僕もどうしたらいいか分からない!』

と、アーロンがぼやいているのは…スルーしておいた。


そんな感じだったから、シルフィーちゃんが3日帰れなかったと言われても、私は特に驚かなかった。

ーいや、アーロン以外は、誰も驚いてなかったわねー


兎に角、推しのシルフィーちゃんが幸せになって、本当に良かったわ!!!


















「え?魔力が戻ってる!?」


シルフィーちゃんが3日ぶりにキリクス邸に帰って来て、それから更に2日後に、私はシルフィーちゃんに会いにキリクス邸へとやって来た。
すると、不思議な事にシルフィーちゃんの魔力が増えていた。

「あれ?前に会った時は……」

と言い掛けてハッとする。

「「……」」

シルフィーちゃんは…顔が真っ赤だ。

ー可愛い!!─じゃなくて!ー

「あー…なるほど…ね。うんうん。」

「アヤメさん……」

身体の…によって、お互いの魔力が流れあって…シルフィーちゃんの魔力の流れが更に良くなった─と言う事…なんだろう。

ー一体、この3日でどれだけ…ー

とは、心の中にしまっておこう。

「えっと…兎に角…良かった?わね?それで、もしかして、キリクスの能力も使えるようになったの?」

「えっと…はい。使えるようになったわ。」

これには、シルフィーちゃんは素直に嬉しそうに微笑む。



“キリクス直系だけに継がれる能力”とは、姿、気配を完璧に消す事が出来る─と言う能力。

そう。シルフィーちゃんは、肩に毒矢を受けた後、更なる攻撃を受けない為にその能力を使って姿を消していた為、誰にも見付けてもらえなかったのだ。本当に、ある意味魔力暴走を起こして良かった。

「でも、この先、私はアシュレイ様の妻になるから、“影の盾”として、この能力を使う事があるのかどうかは分からないけど。」

と、少し残念そうな顔をしてはいるけど、嫌な感情は含まれてはいない感じだ。きっと、シルフィーちゃんも、王弟殿下の事が…好きなんだろう。

「ふふっ。そうね。シルフィーちゃんが“影の盾”として動こうものなら、王弟殿下が国王陛下を締め上げそうよね。まぁ、私としては、シルフィーちゃんが幸せなら何でも良いわ!」

「アヤメさん…本当に、ありがとう。これからも…宜しくお願いしますね。」

花が綻ぶように笑うシルフィーちゃん。

「はぁ───尊い!!!私の方こそ、ありがとう!!」


今日も推しのシルフィーちゃんは、可愛い!!
















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