モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語

みん

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第一章ー婚約ー

ハルの告白

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*エディオル視点*



「……私、本当に…エディオル様の事が、怖くて仕方無かったんです。」

体がピシッと固まる。

勿論、怖がられていた事は知っていたし、怖がられるような事をした事も覚えている。ただ、ハル殿本人の口から聞いたのはこれが初めてで…自然と体が強ばり、喉がキュッと締まった様に息苦しくなった。

「でも、以来、エディオル様が私の近くに居る時は…私が困ってる時だけだなぁ─って。前にも言いましたけど、色々助けてもらったのに、お礼の一つも言えなくて…。だから、私、エディオル様には嫌われてると思ってたんです。」

「え?」

「あの頃の私って、ウジウジして言いたい事も言えなくて…だから、エディオル様には呆れられてると言うか…嫌われている自信があったんです。」

ーいや、そんな自信はいらないからな!ー

「だから、パルヴァン邸で、フェンリルから助けてもらった時は、本当に驚いたんです。」

ふふっ─と笑うハル殿。

「私は気を失っていたから、全く記憶がないんですけど、リュウからも助けてもらって…また迷惑を掛けてしまったな─って。いっぱい迷惑を掛けたのに、エディオル様はいつも私を助けてくれて…その…気が付いたら…エディオル様が近くに居ると…安心するな─って。」

…これは、喜ぶべきか?悲しむべきか?微妙…だよな?ー

「それで…えっと…」

ハル殿は、言葉を選びながら必死になって自分の気持ちを、俺に伝えようとしてくれているようだ。そんなハル殿は─本当に可愛いなと思う。

「私、本当に“好き”とか“恋”とか、イマイチよく分からないんですけどね?あの…私、エディオル様の笑顔が────すきだな─って思ったんです。」

「───え?」

ー今、何て言った?ー

思わず、ハル殿の手を握っている手に力が入る。目の前のハル殿は、視線を軽く下に向けていて顔を真っ赤にしている。

「それで…えっと…そう思ってたら…エディオル様と会えなくなって、連絡もとれなくなって…会えたと思ったら、エディオル様はいつもと一緒で…それで、色々疲れちゃって、考えるのも面倒?嫌?になって…それで、元の世界に還ったんです。」

「え?」

「また、この世界に戻って来れたから言える事なんですけど…。元の世界に還った事は良かったと思ってます。お姉さん達─ミヤさん達に再会して、色々気付かなかった事にも気付けたし、疲れた心も掬ってもらえたので。それで、私、エディオル様ともう一度、ちゃんと向き合おうって思ったんです。」

俺が握っているハル殿の手が、ギュッと握られると同時に、顔を上げて視線を俺に合わせて来る。

「あの…私……も、エディオル様の事が…すき…なんだと思います…」

「え?」

ー今、“すき”って…言ったよな?ー

「だから…ですけど…その…手加減してくれませんか?本当に、無理なんです!心臓が痛くなるんです!」

ハル殿は、手に力を入れたまま、顔を真っ赤にしたまま半泣き状態で俺を見上げている。

ー何だ?俺は、試されているんだろうか?ー

好きな子に好きだと言われて、その好きな子が俺を見上げて来る─。

ーん?好きなんだとと…言ったか?ー

「すみません、私、本当にこう言う事には慣れてないと言うか…は…初めてなので、色々気持ちが追い付かないと言うか…本当にどうしていいか、よく分からなくて。だから、手加減して欲しいんです!」

「──くっ」

ー何だそれ!?可愛いか!ー

本当に、ハル殿は無自覚だから厄介だ。必死になっているハル殿は、本当に可愛いから困る。でも─

「好きなのは、俺の笑顔だけ?」

「え?違っ──」

「違うの?じゃあ、俺が好きって事?」

「──っ!や…やっぱりエディオル様は、意地悪だ!」

ーあぁ、ハル殿は本当に可愛いー

きっと、俺の好きとハル殿の好きは少し違うのだろうと思う。ハル殿にしたら、俺と一緒に居られたら良い─位だろう。でも、俺は違う。勿論、一緒に居られるのは嬉しいが…一緒に居るだけでは…物足りないのだ。今みたいに手を握るのは勿論の事、ハル殿に触れたいと─ずっと触れていたいと思っている。
本当は、今にでもキスをしたいのを我慢している。

“気持ちが追い付かない”と言ったからだ。

一方的に押し付けるのではなく、ハル殿も俺と同じように求めてくれるようになってくれるまでは……我慢…できるだろうか?ハル殿は、恋愛に関しては、本当にポンコ…ダメダメだからなぁ…。チラリと、ハル殿を窺い見ると─

今にでも泣きそうな顔をしていた。

「エディオル様は意地悪だけど…あの…また、一緒に居られる事ができて…嬉しいです。もう、側には…いられないのかな?って…は…思ったから…」

と、ハル殿がへにょりと笑う─。

ギュウッ─と、俺の胸が軋んだ音がしたような気がして、サッと椅子から立ち上がってハル殿の横に移動して、座っているハル殿を抱き締めた。

「覚えてる?泣くなら…で─って…」

「…はい、覚えて…ますよ?…ふふっ…」

ハル殿はそう言って笑った後、少しだけ泣いた。














*最終日迄、お付き合いありがとうございました。良い年越しを迎えられますように*





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