モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語

みん

文字の大きさ
13 / 123
第一章ー婚約ー

エディオルの告白

「元の世界に還っていない─この世界にハル殿が居ると分かっても、素直には喜べなかった。ハル殿が…俺達、王族関係者を避けていると言う事も分かったから。」

ーえっと…エディオル様には、色々とバレバレだったって事ですね?あ…そう言えばー

「私、何でだろう?って思った事があって─。私がパルヴァン様とハルとして登城した時、エディオル様だけ驚かなかったなぁ─と思ったんです。知って…いたからだったんですね。」

「あぁ。それで、ハル殿が、この世界で“ハル”として生きていくと─決めたと言うなら…もう、ハル殿を手放してやれないと思ったんだ。」

「なっ─!?」

ーちょっと待って!言葉がダ…ダイレクト過ぎませんか!?ー

「ハル殿の、俺に対する印象が…ドン底だろうと分かっていたから…少し強引に距離を詰めた。」

ーあ、強引だった自覚はあったんですね?ー

「ハル殿からしたら、嫌いな奴に側に居られて嫌だっただろうけど…そんな俺にも嫌な顔をせず付き合ってくれて…側でクルクルと表情を変えるハル殿を見ていると、更に惹かれていった。あまりにもハル殿が…俺に笑顔を向けるから、俺も調子に乗ってたんだと思う。浮かれてた─と言うのか?」


“宮下香と恋仲になったフリをする”


断る事も出来ず、彼女に付き添ってはいたけど、恋仲になったフリは…できなかったと。そして、私には届かなかったけど、手紙を書いていたから安心していたと。

「だから、手紙が届いていなくて、ハル殿が行方不明になって─ハル殿が元の世界に還ったと聞いた時…一瞬にして…この世界が色褪せた。もう二度と会えないと思った。」

目の前のエディオル様は、本当に辛そうな顔をしていて、何故か私までもが辛くなってくる。

「でも、ハル殿は、また俺の目の前に現れた。」

あの時のハル殿はカッコ良かった。まさか、近衛騎士の俺が好きな女の子に守られるなんて─と、エディオル様は苦笑する。

「嫌われて、もう二度と会えないと思っていたハル殿に、“待っていて良いですか?”って言われた時…どれだけ嬉しかったと思う?それなのに、ハル殿は…俺に会いに来てくれた。」

「うっ…会いに行ってしまって…すみません。」

ー今思い返しても…恥ずかしい!ー

「違う。ハル殿が俺に会いに来てくれて…本当に嬉しかったんだ。また、ハル殿が俺の触れられる所に居るんだと─それと同時に、ハル殿を失う事が怖くなった。だから…これからは遠慮はしない─手加減しないと言ったんだ。ハル殿を失いたくないし、手放す気もないし…他の誰かに取られるのも嫌だから。」

「ふぁい!?」

ーちょっと、本当に待って下さい!エディオル様、さっきから凄い事言ってませんか!?え?ー

「ハル殿には、これ位ハッキリ言わないと伝わらないと─分かったからね。」

「うぇっ!?」

ーどどどどうしよう!?さっきから変な声しか出てません!ー

「─ふっ…ハル殿、落ち着いて?」

そう言って、エディオル様が私の頬に手を添える。

いつからだろうか?エディオル様に触れられると…勿論恥ずかしいし、どうしていいか分からなかったりするけど…安心するようになったのは…。何となく、添えられた手に安心感が増して、軽く目を閉じてエディオル様の手の上に自分の手を重ねる。

「─っ!」

すると、エディオル様がビクッとしたのと同時に、息を呑む音がした。

「?」

何かあった?と思いながら、目を開けてエディオル様を見ると─私の頬に添えているのとは反対の手で口元を覆い、顔を横に向けていて…

「…落ち着け…勘違いするな…無自覚だ…」

何やらブツブツ呟いているけど、よく聞こえない。

「?あの…大丈夫ですか?」

「……ある意味大丈夫じゃないが、大丈夫だ。」

と、何やらジトリとした目を向けられたけど、大丈夫そう?で良かった??のかな?

私が手を離そうとすると、エディオル様も私の頬から手を離し、今度は私のその手を握って来た。

「最初は、ハル殿に合わせて、ゆっくり進めて行こうと思ってたんだけどね。それだと、駄目だって気付いたんだ。やんわり言ってもハル殿には…全く伝わらないし─」

「う゛っ…」

「それで遠慮して、誰かにかっ拐われたりしたら、たまったもんじゃないし。でも、だからと言って、無理矢理どうこうしたい─って訳じゃないから。ハル殿が、どうしても俺が嫌だって言うなら………その時はその時に考えるとして。兎に角、俺は、ハル殿に選んでもらえるように頑張るだけ─なんだ。」

そう言って、エディオル様は、また私の掌にキスをした。

「──っ!!あのっ…ちょっと…本当に…恥ずかしいんですけど!?」

「それは、俺を意識してる─って事だよな?」

「なっ─」

それ以上言葉が出せなくて、口だけがパクパクしている。そんな私を、嬉しそうに笑って見ているエディオル様。

ーでも…ー

「……私、本当に…エディオル様の事が、怖くて仕方無かったんです。」

そう言うと、エディオル様はピシッと固まった。

















*明日は、いつもとはちがう時間の投稿になるかもしれません*








感想 134

あなたにおすすめの小説

ANGRAECUM-Genuine

清杉悠樹
恋愛
エマ・マクリーンは城で開催される新年の祝賀行事に参加することになった。 同時に舞踏会も開催されるその行事に、若い娘なら誰もが成人となって初めて参加するなら期待でわくわくするはずが、エマは失望と絶望しか感じていなかった。 何故なら父からは今日会わせる相手と結婚するように言われたからだ。 昔から父から愛情も受けた記憶が無ければ、母が亡くなり、継母が出来たが醜い子と言われ続け、本邸の離れに年老いた侍女と2人暮らしている。 そんな父からの突然の命令だったが背けるわけがなく、どんな相手だろうが受け入れてただ大人しくすることしか出来ない。 そんな祝賀行事で、運命を変える出会いが待っていた。魔法を扱う部署のマギ課室長レナート・シルヴィオと、その義妹、ホノカ・シルヴィオと出会って。 私、こんな幸せになってもいいんですか? 聖獣というもふもふが沢山出て来て、魔法もある世界です。最初は暗いですが、途中からはほのぼのとする予定です。最後はハッピーエンドです。 関連作品として、CLOVER-Genuine(注:R18指定)があります。 ANGRAECUM-Genuineは、CLOVER-Genuineのその後という感じの流れになっています。 出来ればCLOVER-Genuineを読んだ後にこちらを読んで頂いた方が分かり易いかと思います。 アルファポリス、小説家になろう、pixivに同時公開しています。

異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない

木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。 生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。 ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。 その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。

王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする

葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。 そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった! ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――? 意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

巻き込まれて死亡?!神様、責任とってくださいね?

紅子
恋愛
新作のゲームの為に創った魔法陣に魅入られた神様の眷族のせいで、死んじゃった私。別の世界で残りの生を消化しないと、永遠を流離うって、酷くありませんか?剣と魔法の世界で生き残るなんて出来る気がしません。私、一見、平和そのものなあの世界の住人ですよ?原因を作った眷族をつけてくれる?それなら、なんとか・・・・?はぁ、永遠を流離うくらいなら、眷族と一緒になんとか生き残れるように頑張ります! 毎日00:00に更新します。 完結済み R15は、念のため。 自己満足の世界につき、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました! ※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)  狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。  突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。  だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。  そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。  共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?  自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。

ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。 ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。 ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。 竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。 *魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。 *お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。 *本編は完結しています。  番外編は不定期になります。  次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻