モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語

みん

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第一章ー婚約ー

アイツ

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聞こえてきたのは

『誰か助けてくれ──!』

かもしれないー

と、淡ーい期待を胸に、ミヤさんと共に店の外に出ると、少し人だかりができているのが見えた。

「大丈夫なの?」
「言葉が──」

と、周りに居る人達は、その中心にいるであろう人の事を心配しているようだった。

「ミヤさん、取り敢えず…行ってみましょう。」

「…そうね。アイツとは…限らないしね。」

と、2人でソロソロと近付いて行く。

「ホント大丈夫?どこから来たの?」

『何を言ってるのか…解らない!誰か!』

ーあぁ…思いっ切りの日本語だー

淡ーい期待は裏切られ、それでも放ってはおけないから、その人だかりを掻き分けて更に前に進むと、そこには黒色の短髪の男性がボロボロになった服を着て、その場にへたりこんでいた。

ミヤさんをチラリと見てから、私はスッとミヤさんの前に手を出し、そこで待っててもらうようにした。そして、私はその男性に近付き、肩をポンポンと叩き

『あなたは、日本人─ですか?私の言ってる事、分かりま─』

と、男性が私を振り返った

『日本語!?俺は──っ!?』

『え??ゆう…兄さん??』

『え?こと…ね?』

ーえ?何で…悠兄さんがここに?え?まさか…悠兄さんが…ー

と、に辿り着いた時

『あら?ひょっとして…二股掛けた上に、車に彼女の下着を置いていた─お馬鹿なアイツ─に似た人なのかしら?』

ーひぃぃ─っ!やっぱり!!ミヤさんの元彼って、悠兄さんだったの!?ー

『咲!?』

『気安く名前を呼ばないでくれる?赤の他人さん。』

と、ニッコリ微笑むミヤさん。

悠兄さんは、「ぐぅっ」と唸って黙り込んだ。

『えっと…と、兎に角、ここでは人目もあるから…移動しましょう!悠兄さんも、話しは後で聞かせて?』

「“悠兄さん”??」

「それも、後で説明しますね。取り敢えず…今日はもう邸に帰りましょう。あ、皆さん、私は薬師です。この男性は、私がみますので、連れて行きますね。」

と、周りに居る人達にも説明をして、私とミヤさんは悠兄さんを連れてパルヴァン邸へと帰った。











*****


ここ一週間程は、まともに食事もしていない─と言う事で、取り敢えずお風呂に入ってもらって、食事をとってもらう事にした。

勿論、その間に、私はチートを発揮してリュウを隣国から連れて来ました。



「あら、リュウ。早速の再会で…嬉しいわ。」

ニッコリ微笑むミヤさん。

「……本当に。早かった…。心の準備も…出来なかった…。」

リュウはと言うと…すこぶる顔色が悪い。のは…仕方がないよね?

「ふふっ。それは…残念だったわね?それで?どうするのかしら?」

「あ、それなんですけど、いざとなったら、私が日本に送り還すので問題無いかな─って。」

と言うと

「「ああ!」」

「「ハル、ありがとう!!」」

と、ミヤさんは笑って、リュウは─泣きながら笑った。









食事も終わり、少し落ち着いたところでサロンへと移動して、ミヤさんとリュウと私の3人で悠兄さんの話を聞いた。




「咲─ミヤと別れてから…やっぱりミヤに会いたくなってミヤの家に行ったら、もう違う人が住んでて。それで、実家の方にも行ったら…ミヤのお母さんに…“それは誰の事?ウチにはそんな子はいません”って言われたんだ。」

「え?」

「それから、ミヤの職場にも行ったけど、誰もがミヤなんて知らないって言うんだ。だから、小宮さんと藤宮さんに会いに行ったら…二股掛けてた俺にはミヤは会わせないって。ミヤの事は忘れろって言われて…。」

ーフジさんとショウさんだけが、ミヤさんの記憶?が残ってるって事?ー

悠兄さんは、それからも時々ミヤさんを探したけど見付からず。1ヶ月程前に、職場仲間とバーベキューをしていた時に、足を滑らせて池に落ち、水面に上がって来た時には、そこは全く知らない場所だったらしい。

そこに、たまたま運良く老夫婦が乗った馬車が通り、馬車にも驚いたが言葉が全く通じない事に更に驚いたと。ただ、その老夫婦はとても良い人達だったらしく、着替えの服と食糧を分けてくれた為、暫くは何とかなったらしい。

そこから、人─民家などが多い所を目指しながら毎日歩いて歩いて─食糧もなくなり、体力も限界!となったところで─の、私達との遭遇となったそうだ。

「あー…やっぱり強制力が働いてるのか?」

「その前に!リュウ、私がこっちの世界で生きると決めたから、元の世界での私の存在が…無くなったって事なの?」

「俺にもよく分からないけど、多分そうだと思う。何となく…この世界は都合良く出来てる気がするから。」

と、リュウは遠い目をして呟いた。

ーうん。確かに…都合良くできてるよね!ー

「なら…私がここで生きて行く事で、心配をかける人は…いないのね?お父さんもお母さんも…悲しんでないのね?それなら…良かった。」

「ミヤさん…」

ミヤさんは、ホッと安心したような、少し寂しそうな顔をして笑った。




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