モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語

みん

文字の大きさ
103 / 123
第三章ーリスと氷の騎士ー

ベール

しおりを挟む
ハルにも、この世界で父と兄ができました。
本当に、エディオルさんには感謝しかありません。これからは、堂々とゼンさんの事を「お父さん」と呼べます!




ゼンさんがお父さんになってから、一週間後。
久し振りにベラトリス様からのお誘いがあり、今日はミヤさんと一緒に王城へとやって来た。


「ミヤ様、ハル様、お久し振りですわね。」

「はい。お久し振りです。今日は、お招きいただいてありがとうございます。」

「ハル様、遅くなりましたけど、結婚の日取りが決まった事、おめでとうございます。式には、イリス様と一緒に参列させていただきますわ!」

ベラトリス様が、私の両手を握り締めながら笑顔で言ってくれる。

「ありがとうございます。」

「さぁさぁ、皆様、お茶の用意が出来ましたので、椅子にお座り下さい。」

今日もまた優しく笑うサエラさんに促され、3人ともが椅子に腰をおろした。





本当に久し振りだったので、色々な話をした。ネロの事は勿論の事、そして─

「そうねぇ…もともと嫌いではなかったのよ?最近ではよくお茶をするから、色んな話をする機会が増えた事で、ランバルト様が立派な人だったんだなぁ─と、少し見直したところかしら?」

どうやら、ミヤさんの王太子様に対する評価が上がっているようです。そう言えば、いつの間にか呼び名が“ランバルト様”になっている。

「ふふっ。お兄様が聞いたら飛んで喜びそうですわ。絶対本人には言いませんけどね。」

ーベラトリス様も相変わらずブレないなぁー

「あ、そう言えば、ハル様のウェディングドレスは白色ですのね!?」

「うぇっ!?」

「今、騎士団で噂になっているそうですわ!」

「噂!?」

「この世界では、どちらかの色のドレスが定番だったのだけれど、“あなたの色に染めて”の意味を込めて白色─素敵ですわね!」

ーふわぁ─!それ、言われるとめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!?ー

「ふふっ。ハル、顔真っ赤よ?私達の世界では、白が普通だったから何も思わなかったけど、そうやって言われると恥ずかしいものね?」

「─ですよね…」

と、ミヤさんと苦笑していると、ベラトリス様がサエラさんに何やら目配せをした後、サエラさんは軽く頷いてから部屋から出て行った。

「ハル様、この世界では…結婚式の時にベールを被るのですが…」

「あ、私達の世界でもそうですね。」

と同意すると

「この世界では、そのベールは、基本は嫁の母親が準備をするんですの。」

「…そう…なんですね。」

ーベールかぁ…ドレスの事しか考えてなかったなぁ。ゼ─お父さんに相談してみようかな?ー

うーん…と悩んでいると、サエラさんが箱を持って部屋に戻って来た。

「ハル様、私から…コレを。」

そう言って、サエラさんが私にその箱を渡して来た。

「ありがとう…ございます?えっと…開けてみても…良いですか?」

「えぇ。どうぞ。」

サエラさんの了解を得て、その箱を開けると

「───ベール?」

そこには、白色のレースのベールが入っていた。
前側は首が隠れる位の長さで、後ろ側は腰位の長さ。そのベールの裾部分には、水色と青色の糸でかすみ草の刺繍が入っている。エディオルさんと私の色だ。

「ハル様とエディオル様との婚儀が調った─とお聞きした時に…ハル様にベールを用意したいと思いまして。から、ハル様の事は娘の様に…思っておりましたから。これは、私の自己満足…でしかありませんから、これを使わなくても─」

「サエラさん!!」

ギュッとサエラさんに抱きつく。

「ありがとうございます!嬉しいです!使います!絶対に使います!」

「ハル様…」

あの時、私を救ってくれて守ってくれたサエラさん。この世界でのお母さんのようなサエラさん。大好きなサエラさん。そんなサエラさんが、私の為に作ってくれたベール。嬉しい以外の何者でもない。

ー本当に、私は幸せ者だよねー

「ハル、良かったわね。」

「うぅっ─本当に…良かったですわ…」

「はい!サエラさん、大好きです。本当にありがとうございます。うぅ─っ」

と、私とベラトリス様は涙が止まらず─




帰りに迎えに来てくれたエディオルさんに

「それでは歩けないだろう?」

と言われ…ノアの居る所迄お姫様抱っこ宜しく!されてしまった。勿論、ミヤさんは「私、もう少ししてから帰るから」と、一緒には帰ってくれなかった。

そのままノアに乗せられて、エディオルさんと一緒に蒼の邸へと帰った。







*****


「落ち着いたか?」

「はい…落ち着きました…」

はい、今、私はエディオルさんの部屋で、エディオルさんにお姫様抱っこされた状態のままソファーに座っています。

「あの…今迄誰もベールの事を言わなかったのは…」

「あぁ。結婚式の日取りが決まった後、サエラ殿から俺にお願いがあると言われて。コトネにベールを用意したいと。それで、コトネには内緒にして欲しいと。コトネがサエラ殿の事を慕っているのを知っていたから、コトネは絶対喜ぶと思って、ベールの事は黙っていたんだ。すまない。」

「謝らないで下さい。私、嬉しかっただけですから。」

「そうか。なら良かった。」

「ディ。あの…本当に、ゼンさんとの事やサエラさんの事、本当にありがとうございます。」

私から、そっと触れるだけのキスをして、ギュッとエディオルさんに抱きつくと、エディオルさんも私をギュッとしてくれる。その温もりが─とても安心する。

「ディ、大好きです。」

「俺も、コトネを愛してる。」







ーサエラさん、ありがとうございますー






しおりを挟む
感想 134

あなたにおすすめの小説

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

【完結】秀才の男装治療師が女性恐怖症のわんこ弟子に溺愛されるまで

恋愛
「神に祈るだけで曖昧にしか治らない。そんなものは治療とは言わない」  男尊女卑が強い国で、女であることを隠し、独自の魔法を使いトップクラスの治療師となり治療をしていたクリス。  ある日、新人のルドがやってきて教育係を押し付けられる。ルドは魔法騎士団のエースだが治療魔法が一切使えない。しかも、女性恐怖症。  それでも治療魔法が使えるようになりたいと懇願するルドに根負けしたクリスは特別な治療魔法を教える。  クリスを男だと思い込み、純粋に師匠として慕ってくるルド。  そんなルドに振り回されるクリス。  こんな二人が無自覚両片思いになり、両思いになるまでの話。 ※最初の頃はガチ医療系、徐々に恋愛成分多めになっていきます ※主人公は現代に近い医学知識を使いますが、転生者ではありません ※一部変更&数話追加してます(11/24現在) ※※小説家になろうで完結まで掲載 改稿して投稿していきます

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!

楠ノ木雫
恋愛
 貧乏な実家を救うための結婚だった……はずなのに!?  貧乏貴族に生まれたテトラは実は転生者。毎日身を粉にして領民達と一緒に働いてきた。だけど、この家には借金があり、借金取りである商会の商会長から結婚の話を出されてしまっている。彼らはこの貴族の爵位が欲しいらしいけれど、結婚なんてしたくない。  けれどとある日、奴らのせいで仕事を潰された。これでは生活が出来ない。絶体絶命だったその時、とあるお偉いさんが手紙を持ってきた。その中に書いてあったのは……この国の大公様との結婚話ですって!?  ※他サイトにも投稿しています。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

処理中です...