召喚から外れたら、もふもふになりました?

みん

文字の大きさ
24 / 64

杏子とリュークレイン

しおりを挟む
❋本日、2話目になります。宜しくお願いします❋









*杏子視点*



結局は、陽真達がどうなったのかは分からなかった。

魔力、魔法に関しては、もともと持っていなかった体に、一気に魔力が流れ込んだ為、魔力がまだ体に馴染まず不安定だから、魔法が上手く使えないとの事だった。

『魔法に関しては、魔力が馴染んで安定する迄は仕方無いわ。今迄通り、魔力の流れを意識しながら練習して……1、2年で落ち着くと思うわ』

ーそう言われてしまえば、これはもう自分で頑張るしかないよねー

“白狼”に関しては、やっぱり、異世界での私を護る為の加護の一つだった。

ー抜け道があって、怪我もしたけどー

いや、加護がなかったら、小柄な私はもっと酷い怪我を負っていたか、最悪死んでいたかもしれない。あの人の蹴り、容赦なかったよね……。本当に恐ろしい人だよね。

兎に角、これからは、白狼の姿と人間ひとの姿と、自分の意思で変える事ができるそうだ。ただ、月属性を持っている為、満月の夜だけは私の意思とは関係無く、月の光を浴びると人間ひとの姿に戻ってしまうらしい。それも、魔力が安定して魔法が上手く使えるようになれば、魔法で変化しないようにできるようになるとの事だった。



そうして、一通り訊きたかった事を訊き終えると

『また、会いに来るわね。私の愛しい子』

と、私とリュークレインさんに青色の光を降り注いでから、ウンディーネ様は、その姿を消した。

ウンディーネ様が居なくなった為、今は、この部屋には私とリュークレインさんだけしか居ない。

「ふぅ──────」

と、深く息を吐き、椅子の背もたれに体を預けるリュークレインさん。

「まさか、水の精霊に会えるとはね。あの存在感は、俺達にはキツいものがあるな」

確かに、存在感は半端無かった。

「あー……“ルーナ”と呼んでも良いんだろうか?」

「え?」

「いや。白狼だからルーナと呼んでいたが…君は女の子だったから、名前呼びはどうかと思って」

ーえっと……どこから説明すれば良いかなぁ?ー

「あの…ちょっと纏まってないかもしれませんが、私の話を聞いてもらえますか?」

と、尋ねれば「勿論、喜んで」と、何故かリュークレインさんは嬉しそうに笑った。
因みに、リュークレインさんが、今居る部屋に防音の魔法を掛けているらしく、外に話が漏れる事は無いと言ってくれた。どうやら、魔女のアシーナさんのように、リュークレインさんも凄い魔力持ちなのだそうだ。

それから、私は、この世界に来る切っ掛けとなった出来事や、アシーナさんと出会ってからの事を話した。





*リュークレイン視点*


テーブルを挟んだ対面の椅子に座っているルーナが、一生懸命にこの国に来る迄の事、来てからの事を話している。その話は、何とも驚きの内容だった。ルーナが、異世界の女の子だったとは……。確かに、この国─世界で、黒髪に黒色の瞳と言うのは珍しい。水の精霊の加護があった事と、叔母上に見付けてもらえた事は本当に良かったと思う。

その反対で、ロゼリア嬢への罰は軽過ぎないか?と、思ってしまうのは……俺がルーナに好意を持っているからだろうか?まぁ、今更そう思っても仕方無い事だ。

「それでですね?“ルーナ”と言うのは、アシーナさんが白狼である私に付けてくれた名前で、本当は“キョウコ”と言うんです。だから、ルーナと呼んでもらっても、全然問題無いと思います。それに…リュークレインさんは公爵家の人で、私はただの平民なので…。あ、逆に、私がリュークレインなんて呼ぶ方が問題ありますよね!?すみません!えっと………リュークレイン様?アリスタ様?」

どうしよう─と言う感じで焦りだしたルーナが………可愛い。

アリスタ公爵家オレに近付こうとする令嬢は居ても、離れて行こうとする令嬢は殆ど居ない。俺に興味が無い─と言う事なんだろうけど………

「“さん”で良いよ。なんなら、“レイン”でも良いけどね」

「いえ、流石に“レイン”とは呼べませんから」

と、ブンブンと手を振って答えるルーナ。

ー行動がいちいち可愛く見えるのは気のせいか?ー

「正直に言うと、様呼びには慣れていないので、さん呼びを許してもらえるのは…助かります。“リュークレインさん”と、呼ばせていただきますね」


ふふっ─と笑うルーナ。その笑顔には、媚びるような感情は一切無い。ただただ普通に、嬉しそうに笑っているだけ。

と言うか……ルーナは……幼くないか?白狼の時のルーナは、まるで幼犬?幼狼?のように見える……。

ーえ?俺、ヤバいのか?ー

内心焦りつつも、平静を装いルーナに尋ねる。

「ルーナは見た目はまだまだ若いと言う感じだが、しっかりしているね」

「しっかりしているかどうかは分かりませんが、一応18歳…もうすぐ19歳になります」

まさかの18歳!もうすぐ19歳!?この世界では成人だ。婚約者が居てもおかしくはない。

「元の世界では、婚約者が居た……とか?」

「婚約者どころか………彼氏が居た事もありません」

と、何故かムッと眉間に皺を寄せているが……兎に角、ルーナには婚約者も彼氏も居ないと言う事は分かった。成人もしている。平民だけど、月属性の水の精霊の加護持ちで、俺との魔力の相性も問題無いどころか心地良い。何より──

本当に可愛いしかない。
俺が護っていきたい。
俺の側に居て欲しい。

ー先ずは…叔母上に相談…だなー

と、叔母上達が王城から帰って来る迄、俺はルーナと2人で色んな話をした。





まさか、その間に、王城でが起こっているとは知らずに──





❋お気に入り登録していただき、本当にありがとうございます。感想も、いつも励みになっています。ありがとうございます❋
*.+゚★☆感d(≧▽≦)b謝☆★゚+.*



しおりを挟む
感想 107

あなたにおすすめの小説

【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ

・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。 アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。 『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』 そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。 傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。 アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。 捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。 --注意-- こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。 一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。 二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪ ※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。 ※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?

氷雨そら
恋愛
 結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。  そしておそらく旦那様は理解した。  私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。  ――――でも、それだって理由はある。  前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。  しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。 「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。  そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。  お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!  かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。  小説家になろうにも掲載しています。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

二周目聖女は恋愛小説家! ~探されてますが、前世で断罪されたのでもう名乗り出ません~

今川幸乃
恋愛
下級貴族令嬢のイリスは聖女として国のために祈りを捧げていたが、陰謀により婚約者でもあった王子アレクセイに偽聖女であると断罪されて死んだ。 こんなことなら聖女に名乗り出なければ良かった、と思ったイリスは突如、聖女に名乗り出る直前に巻き戻ってしまう。 「絶対に名乗り出ない」と思うイリスは部屋に籠り、怪しまれないよう恋愛小説を書いているという嘘をついてしまう。 が、嘘をごまかすために仕方なく書き始めた恋愛小説はなぜかどんどん人気になっていく。 「恥ずかしいからむしろ誰にも読まれないで欲しいんだけど……」 一方そのころ、本物の聖女が現れないため王子アレクセイらは必死で聖女を探していた。 ※序盤の断罪以外はギャグ寄り。だいぶ前に書いたもののリメイク版です

出来損ないと言われて、国を追い出されました。魔物避けの効果も失われるので、魔物が押し寄せてきますが、頑張って倒してくださいね

猿喰 森繁
恋愛
「婚約破棄だ!」 広間に高らかに響く声。 私の婚約者であり、この国の王子である。 「そうですか」 「貴様は、魔法の一つもろくに使えないと聞く。そんな出来損ないは、俺にふさわしくない」 「… … …」 「よって、婚約は破棄だ!」 私は、周りを見渡す。 私を見下し、気持ち悪そうに見ているもの、冷ややかな笑いを浮かべているもの、私を守ってくれそうな人は、いないようだ。 「王様も同じ意見ということで、よろしいでしょうか?」 私のその言葉に王は言葉を返すでもなく、ただ一つ頷いた。それを確認して、私はため息をついた。たしかに私は魔法を使えない。魔力というものを持っていないからだ。 なにやら勘違いしているようだが、聖女は魔法なんて使えませんよ。

巻き込まれではなかった、その先で…

みん
恋愛
10歳の頃に記憶を失った状態で倒れていた私も、今では25歳になった。そんなある日、職場の上司の奥さんから、知り合いの息子だと言うイケメンを紹介されたところから、私の運命が動き出した。 懐かしい光に包まれて向かわされた、その先は………?? ❋相変わらずのゆるふわ&独自設定有りです。 ❋主人公以外の他視点のお話もあります。 ❋気を付けてはいますが、誤字脱字があると思います。すみません。 ❋基本は1日1話の更新ですが、余裕がある時は2話投稿する事もあります。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

処理中です...