23 / 64
精霊の祝福
しおりを挟む
❋お気に入り登録が1000を超えたので、感謝の気持ちを込めて、本日も2話投稿します。登録、ありがとうございます❋
゚+。:.゚(*゚▽゚*)゚.:。+゚
********
『それで……私の愛しい子に怪我をさせたのは…だあれ?』
私に言われている訳じゃないのに、体がカタカタと震える。キュッとリュークレインさんにしがみつけば、「可愛いな…」と呟きながら、抱っこしたままで背中を優しく撫でてくれた。
ーあぁ…リュークレインさんに撫でられると、本当に落ち着くなぁー
相変わらず水の精霊さんの圧をピリピリと感じるけど、リュークレインさんのお陰で少し気持ちが落ち着いてきて、そのままスリッとリュークレインさんの胸に顔を擦り付けた。
その時、リュークレインさんがビクッとなって、少し何かを呻いたけど、何を言ったのか……白狼の私の耳にも聞き取れなかった。
「水の精霊──ウンディーネ様とお呼びしても?」
『構わないわ』
「では…ウンディーネ様は、ルーナを傷付けた者を…どうするおつもりですか?」
アシーナさんが質問すると、水の精霊ウンディーネ様がニコリと笑みを深めた。
『もう既に、ルーナを害した事でお返しは喰らっているから、これ以上体を傷付けるような事はしないわ。ルーナ自身が、それ以上の報復を望んでもいないようだしね。ただ…どんなおバカさんなのか顔を直接見たかったの』
“直接”とは─“誰がやったかは知っている”と言う事では?
「──ひっ…」
と、ロゼリアさんが小さく悲鳴をあげた。
『ふふっ。あなたね』
と、ウンディーネ様はロゼリアさんに微笑みかけた。
『愚かな娘よ。お前の行いは全て知っているわ。あのクズなる者とはお似合いよ。2人で幸せになると良いわ。但し……これ以上、私の可愛いルーナに危害を加えようとは考えない事ね。そんな事をすれば……お前だけの問題では済まないからね?』
「もっ……勿論…でございます!!」
と、ロゼリアさんが土下座の勢いで頭を下げている。
ー流石に、この世界に土下座は無いよね?ー
『分かっているなら良いわ。』
と、言って、ウンディーネ様が軽く右手を振ると、この場からロゼリアさんとアークルハイン伯爵が消えて居なくなった。
『国王よ、もう既に今回の王太子には罰を与えたようだから、私からは何もしないけれど……教育はしっかりする事ね。私からはそれだけよ』
「分かりました。」
『ふふっ。新しい王太子に、祝福を──』
ウンディーネ様がそう呟くと、カミリア王女に青い光が降り注いだ。
この瞬間─王女が水の精霊の祝福を受けた瞬間。アデルバートの廃太子が確実に決定した瞬間でもあった。
精霊との約束は違える事はない。
精霊からの祝福を受けたカミリア王女が国王となれば、この国が飢える事は無く、豊かになる事は確実である。
学生生活の間だけの遊びのつもりだったのかもしれない。ほんの僅かな出来心だったかもしれない。
自分は王太子だから、王族だから思い通りにできると、驕った気持ちがあったのだろう。そんな王太子─アデルバートは、自分で選んだロゼリアの行いによって、色んなモノを失った。
ー自業自得だよねー
『それじゃあ、私はこれで──』
と、ウンディーネ様が右手をスっと上げると、また一瞬のうちに視界の景色が切り替わり、私とリュークレインさんは、ウンディーネ様と一緒にアリスタ邸に戻って来ていた。
「ひゃぁ─っ」
「えっ?あ!すまない!」
「いえ!リュークレインさんは悪くないと思うので!私の方こそすみません!」
王城で、私は白狼姿でリュークレインさんに抱っこされていた。その状態でアリスタ邸に帰って来ると……杏子の姿に戻っていて、リュークレインさんと抱き合っている状態になっていたのだ。ビックリして変な声が出て、2人同時にバッと音が出る勢いで離れた。
ーウンディーネ様?私達で遊んでませんか?ー
チラリとウンディーネ様に視線を向けると、楽しそうな顔をして笑っていた。
『さぁ、何でも訊いてちょうだい。』
とウンディーネ様が言ってくれたので、私は気になった事を──訊きたいけど、リュークレインさんが居るんだよねぇ…。「うーん……」と、思案していると
『リュークレイン。ここでの話は、アシーナ以外には口外禁止よ』
と、ウンディーネ様がリュークレインさんに告げる。
確かに、リュークレインさんにはもう、私が人間である事はバレてるし……色々知られても言いふらしたりする人じゃないだろう。
「それじゃあ……私は、ここに来る前は、私の他に4人居ました。その4人がどうなったか…知ってますか?」
ここに来てから半年以上経った。それでも、まだ何も分からないままだ。アシーナさんが魔女だとしても、他国の事まではそう簡単に情報は得られないだろう。なら、あの4人はこの国とは違う国に召喚されているのかもしれない。それに、精霊には国なんて関係ない筈。
『ルーナ達5人を召喚したのは、勿論、私ではないわ。だから、私が、何処の国の誰がルーナ達を召喚したかは…分からないわ。私は、この国に落ちて来たルーナを気に入ったから、私の加護を与えてルーナを護る事にしただけなの』
゚+。:.゚(*゚▽゚*)゚.:。+゚
********
『それで……私の愛しい子に怪我をさせたのは…だあれ?』
私に言われている訳じゃないのに、体がカタカタと震える。キュッとリュークレインさんにしがみつけば、「可愛いな…」と呟きながら、抱っこしたままで背中を優しく撫でてくれた。
ーあぁ…リュークレインさんに撫でられると、本当に落ち着くなぁー
相変わらず水の精霊さんの圧をピリピリと感じるけど、リュークレインさんのお陰で少し気持ちが落ち着いてきて、そのままスリッとリュークレインさんの胸に顔を擦り付けた。
その時、リュークレインさんがビクッとなって、少し何かを呻いたけど、何を言ったのか……白狼の私の耳にも聞き取れなかった。
「水の精霊──ウンディーネ様とお呼びしても?」
『構わないわ』
「では…ウンディーネ様は、ルーナを傷付けた者を…どうするおつもりですか?」
アシーナさんが質問すると、水の精霊ウンディーネ様がニコリと笑みを深めた。
『もう既に、ルーナを害した事でお返しは喰らっているから、これ以上体を傷付けるような事はしないわ。ルーナ自身が、それ以上の報復を望んでもいないようだしね。ただ…どんなおバカさんなのか顔を直接見たかったの』
“直接”とは─“誰がやったかは知っている”と言う事では?
「──ひっ…」
と、ロゼリアさんが小さく悲鳴をあげた。
『ふふっ。あなたね』
と、ウンディーネ様はロゼリアさんに微笑みかけた。
『愚かな娘よ。お前の行いは全て知っているわ。あのクズなる者とはお似合いよ。2人で幸せになると良いわ。但し……これ以上、私の可愛いルーナに危害を加えようとは考えない事ね。そんな事をすれば……お前だけの問題では済まないからね?』
「もっ……勿論…でございます!!」
と、ロゼリアさんが土下座の勢いで頭を下げている。
ー流石に、この世界に土下座は無いよね?ー
『分かっているなら良いわ。』
と、言って、ウンディーネ様が軽く右手を振ると、この場からロゼリアさんとアークルハイン伯爵が消えて居なくなった。
『国王よ、もう既に今回の王太子には罰を与えたようだから、私からは何もしないけれど……教育はしっかりする事ね。私からはそれだけよ』
「分かりました。」
『ふふっ。新しい王太子に、祝福を──』
ウンディーネ様がそう呟くと、カミリア王女に青い光が降り注いだ。
この瞬間─王女が水の精霊の祝福を受けた瞬間。アデルバートの廃太子が確実に決定した瞬間でもあった。
精霊との約束は違える事はない。
精霊からの祝福を受けたカミリア王女が国王となれば、この国が飢える事は無く、豊かになる事は確実である。
学生生活の間だけの遊びのつもりだったのかもしれない。ほんの僅かな出来心だったかもしれない。
自分は王太子だから、王族だから思い通りにできると、驕った気持ちがあったのだろう。そんな王太子─アデルバートは、自分で選んだロゼリアの行いによって、色んなモノを失った。
ー自業自得だよねー
『それじゃあ、私はこれで──』
と、ウンディーネ様が右手をスっと上げると、また一瞬のうちに視界の景色が切り替わり、私とリュークレインさんは、ウンディーネ様と一緒にアリスタ邸に戻って来ていた。
「ひゃぁ─っ」
「えっ?あ!すまない!」
「いえ!リュークレインさんは悪くないと思うので!私の方こそすみません!」
王城で、私は白狼姿でリュークレインさんに抱っこされていた。その状態でアリスタ邸に帰って来ると……杏子の姿に戻っていて、リュークレインさんと抱き合っている状態になっていたのだ。ビックリして変な声が出て、2人同時にバッと音が出る勢いで離れた。
ーウンディーネ様?私達で遊んでませんか?ー
チラリとウンディーネ様に視線を向けると、楽しそうな顔をして笑っていた。
『さぁ、何でも訊いてちょうだい。』
とウンディーネ様が言ってくれたので、私は気になった事を──訊きたいけど、リュークレインさんが居るんだよねぇ…。「うーん……」と、思案していると
『リュークレイン。ここでの話は、アシーナ以外には口外禁止よ』
と、ウンディーネ様がリュークレインさんに告げる。
確かに、リュークレインさんにはもう、私が人間である事はバレてるし……色々知られても言いふらしたりする人じゃないだろう。
「それじゃあ……私は、ここに来る前は、私の他に4人居ました。その4人がどうなったか…知ってますか?」
ここに来てから半年以上経った。それでも、まだ何も分からないままだ。アシーナさんが魔女だとしても、他国の事まではそう簡単に情報は得られないだろう。なら、あの4人はこの国とは違う国に召喚されているのかもしれない。それに、精霊には国なんて関係ない筈。
『ルーナ達5人を召喚したのは、勿論、私ではないわ。だから、私が、何処の国の誰がルーナ達を召喚したかは…分からないわ。私は、この国に落ちて来たルーナを気に入ったから、私の加護を与えてルーナを護る事にしただけなの』
198
あなたにおすすめの小説
巻き込まれではなかった、その先で…
みん
恋愛
10歳の頃に記憶を失った状態で倒れていた私も、今では25歳になった。そんなある日、職場の上司の奥さんから、知り合いの息子だと言うイケメンを紹介されたところから、私の運命が動き出した。
懐かしい光に包まれて向かわされた、その先は………??
❋相変わらずのゆるふわ&独自設定有りです。
❋主人公以外の他視点のお話もあります。
❋気を付けてはいますが、誤字脱字があると思います。すみません。
❋基本は1日1話の更新ですが、余裕がある時は2話投稿する事もあります。
【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ
・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。
アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。
『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』
そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。
傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。
アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。
捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。
--注意--
こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。
一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。
二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪
※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。
※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
恋愛は見ているだけで十分です
みん
恋愛
孤児院育ちのナディアは、前世の記憶を持っていた。その為、今世では恋愛なんてしない!自由に生きる!と、自立した女魔道士の路を歩む為に頑張っている。
そんな日々を送っていたが、また、前世と同じような事が繰り返されそうになり……。
色んな意味で、“じゃない方”なお話です。
“恋愛は、見ているだけで十分よ”と思うナディア。“勿論、溺愛なんて要りませんよ?”
今世のナディアは、一体どうなる??
第一章は、ナディアの前世の話で、少しシリアスになります。
❋相変わらずの、ゆるふわ設定です。
❋主人公以外の視点もあります。
❋気を付けてはいますが、誤字脱字が多いかもしれません。すみません。
❋メンタルも、相変わらず豆腐並みなので、緩い気持ちで読んでいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる