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❋本日、2話目の投稿になります❋
*リュークレイン視点*
『私の可愛い子に怪我をさせたのは……だあれ?』
女性らしい柔らかい声にも関わらず、ピリピリと突き刺すような威圧感のある声。騎士としての経験から、これはヤバい─と直感的に思った。
そして、俺達の目の前に現れたのは─
透き通るような白い肌。瞳も透き通るような綺麗な青色。真っ直ぐに伸びた水色の髪は腰の下辺りまである。耳は、人間とは違っていて、少しピンと尖っている。
ーこれが…水の精霊かー
そこに居るだけで、圧倒される程の存在感がある。
ルーナは、本当に愛し子なんだろう。圧倒される程の威圧感がありながらも、ルーナに対しては優しい目をしている。まるで、愛しい我が子を見つめるように。
それから、その2人は何やら会話をしているようだった。俺にはサッパリ分からない。ただ、2人の邪魔にはならないように、俺はルーナを膝の上に乗せたまま背中を撫で続けた。
すると、水の精霊が軽く右手を上げると、青い光がルーナの体を包み込んだ。驚きはしたものの、水の精霊がルーナを害することは無いから、そのままでその光をみつめていると、膝に感じていた重みと温もりが変化していくのが分かった。
ー何が…起きている?ー
不思議に思いながらも、少し不安になり、ルーナを抱く腕に力を入れた。
そして、その青い光が無くなり──
「人間に戻ってる───っ!?」
と、俺の膝の上に─────女の子が座っていた。
ーは?ー
しかも…この髪。肩下迄ある黒色の髪は、毛先に向かってグラデーションのようになっていて、毛先は白に近い銀髪になっている。
トクン─
あの時のように、心臓が痛みを覚える。
ーあの時の彼女だー
この子は誰だ?ルーナか?なら、ルーナのように、キラキラとした黒色の瞳をしているのだろうか?
ー振り向いて欲しいー
すると、ルーナと思われる子は一瞬固まった後、ソロソロと俺の方へと振り返った。
「────っ!」
至近距離で目が合う、その瞳は──
やっぱりルーナと同じで、月属性特有のキラキラした黒色の瞳だった。その、クリッとした綺麗な…シルバーオブシディアンの様な瞳に、俺が映り込んでいる。
もう、心臓が鷲掴みにされたなんてモノではない。この距離に居て、一切の不快感も魔力酔いもない。それどころか、心臓がドクドクと波打ち痛いやら騒がしいにも関わらず、ホッとするような安心感がある。会ったばかりだと言うのに、離れたくない、離したくないとルーナを抱きしめている腕に、更に力をこめてしまいそうになった時
「あの…リュークレインさん。えっと…ここから下ろしてもらっても良いですか?」
「…え?……あっ!あぁ、すまない!」
と、ルーナが困った顔をしながら俺を見ていた事に気付き、慌ててルーナを俺の腕から開放した。
そんな俺達のやりとりを、水の精霊はニコニコと見ているだけだったから、俺に対しては怒ってはいないだろう。
『さて、色々と訊きたい事はあるでしょうけど、それは置いておいて──先に問題を片付けましょうか。』
と、水の精霊がニッコリと微笑んだかと思うと、体が一瞬グラつき、倒れそうになったルーナを慌てて抱き込むと、辺りの景色が一瞬にしてガラリと変わった。
「────レイン?」
そして、目の前には、国王両陛下と王子王女と、父上と叔母上と───ロゼリア嬢とその父親のアークルハイン伯爵が居た。
ーここは…王城の謁見室だー
と気付くと同時に、室内に居た護衛が急に現れた俺達に反応して動き出す──が、そのまま動きがピタリと止まった。
『部外者は邪魔しないでくれるかしら?』
水の精霊が、再びピリッとした冷たい声を出す。
「──あなたは……水の精霊ですか?」
何とか声を出せたのは、東の森の魔女である叔母上だった。
『そうよ、アシーナ。貴方には感謝しているわ。私のルーナを護ってくれてありがとう。アシーナだけではないわね。アリスタ公爵の者達もね』
その言葉に、王太子とアークルハイン親子はヒュッと息を呑んだ。ロゼリア嬢に至っては、カタカタと震えだしている。
そこで、また腕に違和感を覚え、抱き留めた筈の女の子を見ると、白狼の姿に戻っていた。
ーうん。白狼でも可愛いー
チラリと水の精霊に視線を向けると、ニコッと笑ったから、コレは、水の精霊が態と白狼の姿に戻したのだと言う事が分かった。
『できれば、人間だと言う事は、まだ知られたくないので……』
と、腕の中に居るルーナの声が頭の中に響き、驚いてルーナに視線を向けると、ルーナがジッと俺を見つめていた。
『聞こえて…ますよね?あの…今はまだ、アシーナさんとリュークレインさんだけの秘密でお願いします』
「───分かった。」
小さい声で答えると、ルーナはホッとして尻尾をユラユラと揺らした。
『それで……私の愛しい子に怪我をさせたのは…だあれ?』
水の精霊は、改めてその言葉を口にした。
*リュークレイン視点*
『私の可愛い子に怪我をさせたのは……だあれ?』
女性らしい柔らかい声にも関わらず、ピリピリと突き刺すような威圧感のある声。騎士としての経験から、これはヤバい─と直感的に思った。
そして、俺達の目の前に現れたのは─
透き通るような白い肌。瞳も透き通るような綺麗な青色。真っ直ぐに伸びた水色の髪は腰の下辺りまである。耳は、人間とは違っていて、少しピンと尖っている。
ーこれが…水の精霊かー
そこに居るだけで、圧倒される程の存在感がある。
ルーナは、本当に愛し子なんだろう。圧倒される程の威圧感がありながらも、ルーナに対しては優しい目をしている。まるで、愛しい我が子を見つめるように。
それから、その2人は何やら会話をしているようだった。俺にはサッパリ分からない。ただ、2人の邪魔にはならないように、俺はルーナを膝の上に乗せたまま背中を撫で続けた。
すると、水の精霊が軽く右手を上げると、青い光がルーナの体を包み込んだ。驚きはしたものの、水の精霊がルーナを害することは無いから、そのままでその光をみつめていると、膝に感じていた重みと温もりが変化していくのが分かった。
ー何が…起きている?ー
不思議に思いながらも、少し不安になり、ルーナを抱く腕に力を入れた。
そして、その青い光が無くなり──
「人間に戻ってる───っ!?」
と、俺の膝の上に─────女の子が座っていた。
ーは?ー
しかも…この髪。肩下迄ある黒色の髪は、毛先に向かってグラデーションのようになっていて、毛先は白に近い銀髪になっている。
トクン─
あの時のように、心臓が痛みを覚える。
ーあの時の彼女だー
この子は誰だ?ルーナか?なら、ルーナのように、キラキラとした黒色の瞳をしているのだろうか?
ー振り向いて欲しいー
すると、ルーナと思われる子は一瞬固まった後、ソロソロと俺の方へと振り返った。
「────っ!」
至近距離で目が合う、その瞳は──
やっぱりルーナと同じで、月属性特有のキラキラした黒色の瞳だった。その、クリッとした綺麗な…シルバーオブシディアンの様な瞳に、俺が映り込んでいる。
もう、心臓が鷲掴みにされたなんてモノではない。この距離に居て、一切の不快感も魔力酔いもない。それどころか、心臓がドクドクと波打ち痛いやら騒がしいにも関わらず、ホッとするような安心感がある。会ったばかりだと言うのに、離れたくない、離したくないとルーナを抱きしめている腕に、更に力をこめてしまいそうになった時
「あの…リュークレインさん。えっと…ここから下ろしてもらっても良いですか?」
「…え?……あっ!あぁ、すまない!」
と、ルーナが困った顔をしながら俺を見ていた事に気付き、慌ててルーナを俺の腕から開放した。
そんな俺達のやりとりを、水の精霊はニコニコと見ているだけだったから、俺に対しては怒ってはいないだろう。
『さて、色々と訊きたい事はあるでしょうけど、それは置いておいて──先に問題を片付けましょうか。』
と、水の精霊がニッコリと微笑んだかと思うと、体が一瞬グラつき、倒れそうになったルーナを慌てて抱き込むと、辺りの景色が一瞬にしてガラリと変わった。
「────レイン?」
そして、目の前には、国王両陛下と王子王女と、父上と叔母上と───ロゼリア嬢とその父親のアークルハイン伯爵が居た。
ーここは…王城の謁見室だー
と気付くと同時に、室内に居た護衛が急に現れた俺達に反応して動き出す──が、そのまま動きがピタリと止まった。
『部外者は邪魔しないでくれるかしら?』
水の精霊が、再びピリッとした冷たい声を出す。
「──あなたは……水の精霊ですか?」
何とか声を出せたのは、東の森の魔女である叔母上だった。
『そうよ、アシーナ。貴方には感謝しているわ。私のルーナを護ってくれてありがとう。アシーナだけではないわね。アリスタ公爵の者達もね』
その言葉に、王太子とアークルハイン親子はヒュッと息を呑んだ。ロゼリア嬢に至っては、カタカタと震えだしている。
そこで、また腕に違和感を覚え、抱き留めた筈の女の子を見ると、白狼の姿に戻っていた。
ーうん。白狼でも可愛いー
チラリと水の精霊に視線を向けると、ニコッと笑ったから、コレは、水の精霊が態と白狼の姿に戻したのだと言う事が分かった。
『できれば、人間だと言う事は、まだ知られたくないので……』
と、腕の中に居るルーナの声が頭の中に響き、驚いてルーナに視線を向けると、ルーナがジッと俺を見つめていた。
『聞こえて…ますよね?あの…今はまだ、アシーナさんとリュークレインさんだけの秘密でお願いします』
「───分かった。」
小さい声で答えると、ルーナはホッとして尻尾をユラユラと揺らした。
『それで……私の愛しい子に怪我をさせたのは…だあれ?』
水の精霊は、改めてその言葉を口にした。
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