召喚から外れたら、もふもふになりました?

みん

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バレました

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❋このお話と、次話が似たような内容なので、本日は(朝と夜に)2話投稿します❋





********



「リナの…願い?違う!私は───」

「ロゼリア嬢ではなく、リナと結婚したいなどとは……言わないわよね?になっておきながら……。ロゼリア嬢を捨てるなど……言えないわよね?」

「───っ!」

王妃陛下の微笑みに、ようやく王太子も口を噤んだ。

「発表はまだ先にはなるが、アデルバートを廃太子し、カミリアを立太子させる。」


この瞬間、アデルバートとリナティアの婚約は解消され、アデルバートとロゼリアとの婚約が決まった。





*その頃のアリスタ邸*



『私の可愛い子に怪我をさせたのは……だあれ?』


冷たく響くその声に、ゾクゾクするような恐怖とは別に、どこか安心するような感覚もある。その声は誰のモノなのか──知らず知らずのうちに、キュッとリュークレインさんにしがみつく。すると、リュークレインさんは、私を安心させるように撫でてくれる。

すると、私達の目の前に、青い光がキラキラと輝き、その光の中から人が現れた。

透き通るような白い肌。瞳も透き通るような綺麗な青色。真っ直ぐに伸びた水色の髪は腰の下辺りまである。耳は、人間ひととは違っていて、少しピンと尖っている。
とても綺麗な──人間ひとではない美しさと空気を纏っている。ただ、そこに立って居るだけなのに、その人からの圧を感じる。

ーこの人が…水の精霊さんだー

ジッ─と、その精霊さんを見つめていると、私を見てニッコリと微笑んだ。

“ルーナ”だったかしら?』

そう言いながら、私の体を優しく撫でる。すると、撫でられると同時に、お腹にあった痛みがスっと無くなった。

『あ!ありがとうございます』

『ふふっ。治って良かったわ。もう大丈夫かしら?』

『はい、大丈夫です』

フリフリと尻尾も自然と揺れて、その人にお礼を言う。

『ふふっ。可愛いわね。白狼にして良かったわ』

ーと言う事は、やっぱり私を白狼にしたのは、この人─水の精霊さんと言う事なんだろうー

『あの…えっと…私は…やっぱりまだ…この姿のままなんでしょうか?』

『そうね…私はまだその方が良いと思っているけど……ルーナはどうしたい?』

“どうしたい?”─まさか、そう訊かれるとは思ってもいなかった。正直、最近ではこの白狼の姿も気に入っている。でも、やっぱり人間の姿にだって戻りたい。

『例えばなんですけど……自分で自由に、白狼になったり人間ひとになったりできる─みたいなことは……』

『ルーナが望む事ならできるわよ?それが、ルーナの望み?願い?』

『はいっ!』

『わかったわ』

と、精霊さんが微笑むと、私の体を青い光が包み込んだ。

そして、その青い光が落ち着くと、私の視線が高くなっていた。自分の手を見ると、そこにはグウ、チョキ、パーができる5本指の手があった。

人間ひとに戻ってる───っ!?」

と、喜んだところでピシリッ──と、体が固まった。

え?“何故か?”って?───それは……私が、今居る場所に、大きな大きな問題があったから。え?私が今、何処に居るのか?って?それは───

「──え?ルーナ?え?」

リュークレインさんの膝の上に居るんです。ソファーに座っているリュークレインさんの膝の上に座っていて、後ろから抱きかかえられている状態なんです。

そりゃそうだ。さっきまで、白狼姿でリュークレインさんの膝の上に体を預けていたから、そのままの状態で人間ひとの姿に戻れば…こうなるよね!?

「え?ルーナ?」

困惑した声で、後ろから名前を呼ばれる。

ーあぁ…このままここから逃げ出したいー

いや、逃げては駄目だろう。もうバレてしまったのだから。何度か深呼吸を繰り返し、ゆっくりと後ろを振り返る。

「─っ!?」

すると、ものすごい至近距離に綺麗な紫色の瞳があった。その綺麗な紫色の瞳には、杏子になった私が映りこんでいる。

「えっと……あ…“初めまして”に…なりますね?あの…」

「……………」

ーあれ?リュークレインさん…固まってる?ー

何故か、リュークレインさんは私をガッシリ抱きかかえたままで、目を見開いて固まっている。

ーえぇっと…離してくれないかなぁ?ー

「あの…リュークレインさん。えっと…ここから下ろしてもらっても良いですか?」

「…え?……あっ!あぁ、すまない!」

そこで、ようやく我に返った様子のリュークレインさんは、私をそっと膝の上から下ろしてくれた。
そんな私達のやりとりを、水の精霊さんはニコニコと笑いながら見つめていた。


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