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王太子宮①
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私はただただ、去って行くポーリーンの背中を見つめて、その姿が邸の中へと消えた時、何とか耐えて立っていた足からスッと力が抜けてしまい、倒れそうになると、殿下にグイッと抱き上げられた。これで、2度目である。
「で──アシェルハイド殿下!下ろして下さい!」
「下ろしてどうする?歩けないどころか、立ってもいられないんだろう?なら、おとなしく俺に運ばれていろ。ずっと、ブルーム邸に居たいなら別だが………」
「ゔー……よろしく……お願いします」
「あぁ、任せろ」
殿下は優しく笑って、そのまま私を馬車迄運んでくれた。
ーまたまた、どうしてこうなった?ー
私も馬鹿ではない。あんな事があった後だから、流石に学校の寮ではなく、ローアン邸に帰るものと思っていた。だから───馬車の中では、殿下が私を下ろすことなく膝の上に私を抱えたまままで、恥ずかしいやら何やらを我慢したのに─。
「少しは落ち着いたか?」
今、私の目の前にアシェルハイド殿下が座っている。
そして、今、私達が居る場所は……王城敷地内にある王太子宮の一室である。
「………ある意味落ち着きませんよ!何で───」
「あのまま、俺が素直にローアン邸に帰すと思っていたのか?勿論、ローアン邸に帰れば安全なのは確かだが、心配で、俺が、エヴィを一人にしたくなかったからな」
「………殿下は……どこまで知っているんですか?」
何故、あのタイミングで現れたのか───
*アシェルハイド視点*
『殿下、動きがありました』
「───やっぱりか。で?どっちが何をした?」
『親が、何かを食事に……。それと────』
エヴィに付けている影からソレを聞いて直ぐに、俺はブルーム邸へと向かった。
そして、ブルーム邸に到着すると、既にブレインもやって来ていた。おそらく、ブレインもジェマ嬢に暗部の者を付けていたのだろう。
「アシェル……アレは本当に、子を持つ親なのか?アレを、このまま放っておいて良いんですか?みすみす、ゲルダン王国の侯爵になど──」
「“みすみす”ではないよブレイン。アレはね、魔力無しなんだ。お前も、アンカーソンを名乗る者なら知っているだろう?魔力無しが、ゲルダンの貴族社会でどんな扱いを受けるのか。ましてや、お花畑があの王弟の側室だ。その王弟は、どう動くだろうな?」
「ブルーム伯爵夫人が…魔力無し?気付かなかったですね……それが本当なら、私達が何かしなくても………。それと、待機していた奴等はどうしますか?」
「それらは、ローアン侯爵が預かりたいと言っているそうだから、ローアン侯爵に任せる事にした」
“アレクシス=ローアン侯爵”
表の顔は王城に勤める文官ではあるが、“王族直属の影”と言う裏の顔を持っている一族だ。裏の顔に関しては、国王、王妃、王太子、王太子妃、宰相だけが知らされる機密事項である。
アレクシス侯爵と妹のフリージアは、とても仲の良い兄妹であった。その妹が亡き後は、妹が生んだ娘─ジェマを陰ながら見守って来ていたアレクシス。その為、アレクシスは、ジェマとエヴィの事は全て把握済みだったのだ。それ故に、ドリュー宰相が、エヴィの養子縁組の話を持ち掛けた時は、一もニもなく受け入れたのだ。
それ程迄に、アレクシスが大切にして来たジェマとエヴィに手をだしたブルーム伯爵夫人。
「まさか、ジェマ嬢と実の娘のエヴィに、媚薬を盛るとはな……」
それも、娼館で働く下男を待機させていたのだ。
その下男達は、アレクシス配下の影が連れ帰った。もう二度と、表の世界に出て来る事はないだろう。
「兎に角、私がジェマとエヴィ嬢を連れ出して来ますから、アシェルは馬車の中で待っていた方が良いかと。外堀りは埋まってますけど、まだ……あまり見られない方が、エヴィ嬢の為ですからね」
ー確かに、ここで目立ち過ぎるのも良くないなー
と、そう思い、俺は馬車の中で待つ事にした。
その後の事は、言うまでもない。俺が王太子でなければ。エヴィが俺の腕の中に居なければ、あの場でアレを処罰していただろう。
ギュッ─と、俺にしがみついて来たエヴィに、『可愛いな!』と、少し怒りが収まったが──。
帰りの馬車の中では、『下ろして下さい!』と全力で拒否るエヴィを、『家に着くまでだから』と説き伏せ、そのまま王太子宮まで連れて来た。
どんなに嫌がっても、いつも通りのエヴィに見えていたとしても、エヴィ本人は全く気付いていないんだろう。ずっと震えているのだ。そんなエヴィを、例えアレクシスであっても、他人に任せる事などしたくはなかった。
「どこまで………か。実は、光の魔力持ちには、本人や、その両親にも内緒で、その身を護る為に王家直属の“影”を付けているんだ。だから───全て知っているんだ」
ーエヴィに付けている影の事は………秘密にしておこうー
「で──アシェルハイド殿下!下ろして下さい!」
「下ろしてどうする?歩けないどころか、立ってもいられないんだろう?なら、おとなしく俺に運ばれていろ。ずっと、ブルーム邸に居たいなら別だが………」
「ゔー……よろしく……お願いします」
「あぁ、任せろ」
殿下は優しく笑って、そのまま私を馬車迄運んでくれた。
ーまたまた、どうしてこうなった?ー
私も馬鹿ではない。あんな事があった後だから、流石に学校の寮ではなく、ローアン邸に帰るものと思っていた。だから───馬車の中では、殿下が私を下ろすことなく膝の上に私を抱えたまままで、恥ずかしいやら何やらを我慢したのに─。
「少しは落ち着いたか?」
今、私の目の前にアシェルハイド殿下が座っている。
そして、今、私達が居る場所は……王城敷地内にある王太子宮の一室である。
「………ある意味落ち着きませんよ!何で───」
「あのまま、俺が素直にローアン邸に帰すと思っていたのか?勿論、ローアン邸に帰れば安全なのは確かだが、心配で、俺が、エヴィを一人にしたくなかったからな」
「………殿下は……どこまで知っているんですか?」
何故、あのタイミングで現れたのか───
*アシェルハイド視点*
『殿下、動きがありました』
「───やっぱりか。で?どっちが何をした?」
『親が、何かを食事に……。それと────』
エヴィに付けている影からソレを聞いて直ぐに、俺はブルーム邸へと向かった。
そして、ブルーム邸に到着すると、既にブレインもやって来ていた。おそらく、ブレインもジェマ嬢に暗部の者を付けていたのだろう。
「アシェル……アレは本当に、子を持つ親なのか?アレを、このまま放っておいて良いんですか?みすみす、ゲルダン王国の侯爵になど──」
「“みすみす”ではないよブレイン。アレはね、魔力無しなんだ。お前も、アンカーソンを名乗る者なら知っているだろう?魔力無しが、ゲルダンの貴族社会でどんな扱いを受けるのか。ましてや、お花畑があの王弟の側室だ。その王弟は、どう動くだろうな?」
「ブルーム伯爵夫人が…魔力無し?気付かなかったですね……それが本当なら、私達が何かしなくても………。それと、待機していた奴等はどうしますか?」
「それらは、ローアン侯爵が預かりたいと言っているそうだから、ローアン侯爵に任せる事にした」
“アレクシス=ローアン侯爵”
表の顔は王城に勤める文官ではあるが、“王族直属の影”と言う裏の顔を持っている一族だ。裏の顔に関しては、国王、王妃、王太子、王太子妃、宰相だけが知らされる機密事項である。
アレクシス侯爵と妹のフリージアは、とても仲の良い兄妹であった。その妹が亡き後は、妹が生んだ娘─ジェマを陰ながら見守って来ていたアレクシス。その為、アレクシスは、ジェマとエヴィの事は全て把握済みだったのだ。それ故に、ドリュー宰相が、エヴィの養子縁組の話を持ち掛けた時は、一もニもなく受け入れたのだ。
それ程迄に、アレクシスが大切にして来たジェマとエヴィに手をだしたブルーム伯爵夫人。
「まさか、ジェマ嬢と実の娘のエヴィに、媚薬を盛るとはな……」
それも、娼館で働く下男を待機させていたのだ。
その下男達は、アレクシス配下の影が連れ帰った。もう二度と、表の世界に出て来る事はないだろう。
「兎に角、私がジェマとエヴィ嬢を連れ出して来ますから、アシェルは馬車の中で待っていた方が良いかと。外堀りは埋まってますけど、まだ……あまり見られない方が、エヴィ嬢の為ですからね」
ー確かに、ここで目立ち過ぎるのも良くないなー
と、そう思い、俺は馬車の中で待つ事にした。
その後の事は、言うまでもない。俺が王太子でなければ。エヴィが俺の腕の中に居なければ、あの場でアレを処罰していただろう。
ギュッ─と、俺にしがみついて来たエヴィに、『可愛いな!』と、少し怒りが収まったが──。
帰りの馬車の中では、『下ろして下さい!』と全力で拒否るエヴィを、『家に着くまでだから』と説き伏せ、そのまま王太子宮まで連れて来た。
どんなに嫌がっても、いつも通りのエヴィに見えていたとしても、エヴィ本人は全く気付いていないんだろう。ずっと震えているのだ。そんなエヴィを、例えアレクシスであっても、他人に任せる事などしたくはなかった。
「どこまで………か。実は、光の魔力持ちには、本人や、その両親にも内緒で、その身を護る為に王家直属の“影”を付けているんだ。だから───全て知っているんだ」
ーエヴィに付けている影の事は………秘密にしておこうー
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