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第五章ー聖女と魔法使いとー
カルザイン親子
しおりを挟む物理的な攻撃じゃない。
精神的な攻撃。厄介だ─。
話のうちの7割程のミヤさんに対する思いの話は、必要ありましたか?と、思ってしまった事は、自分の心の中だけにしまっておく。
兎に角、ようやく、本当に、王太子様の瞳が澄んだ瞳になった気がする。取り敢えずは、王太子様はもう大丈夫だろう。あのピアスがある。
王太子様は、前もって聞いていた通り、これから公務があるからと言う事で、私はカルザイン様と共に王太子様の執務室を後にした。
「次は第一騎士団団長に話をつけてある。そこでいいか?」
「はい。お願いします。第一騎士団の団長様と言うと、カルザイン様のお父様…ですよね?」
「あぁ。私の尊敬する父上だ。」
本当に尊敬しているんだろう。とても優しい顔をしている。本当に、よく見ると似てるよね。カルザイン様は、父親似なんだろうけど…きっと母親も美人さんに違いない。
「待っていたぞ、エディ。それと…ハル殿…で良いのだろうか?」
第一騎士団長の執務室に行くと、直ぐに私達を迎え入れてくれた。
「はい。改めて…私の名前はハルです。宜しくお願いします。」
2日前は“ルディ”として挨拶をしたので、もう一度改めて“ハル”として挨拶をする。
「ところで、グレン様はまだ王都に?」
「はい。まだ王都の邸に居ますが…明日にはパルヴァン領に向かって出立するそうです。」
そう。パルヴァン様は、明日出立する。滅多にパルヴァン辺境地から出る事がないパルヴァン様が、私の為に王都に来てくれたのに、一緒に帰れなくてごめんなさい─と謝れば
『気にすることは無い。私が王都に来たのは私の勝手だ。ハル殿は、ハル殿がしたい事をすれば良い。但し、1人だけで行動しない事。無理もしない事。それが約束だ。』
と言ってくれた。
「では…騎士団長様、すみませんが、いくつか質問をさせて頂いても良いですか?」
「あぁ、私の答えられる限りは答えよう。」
第一騎士団で影響が出ているのは2人だけだった。そのうちの1人が─
「オーブリー様…」
まさかのオーブリー様…。でも、あのお店で偶然遇った時には、黒いモヤはなかったよね?ん?アレは、レフコースと名を交わす前だったから、視えなかっただけ?
『その可能性はある。』
だよね─。
「オーブリー様にも…会って話を聞いた方が…良いよね?」
でも…ちょっと…会い難いよね…
あの時にキスをされた手を見る。
ー恥ずかしい!どんな顔をして会えと!?ー
と少し顔が熱くなっていると
「オーブリー殿に会うなら、私も同行しよう。」
と、カルザイン様が言って来た。
「え?良いんですか?」
「あぁ、構わない。同じ騎士だし、私から彼に連絡をとっておこう。」
「ありがとうございます!」
本当にありがとうございます!二人きりで会うとか、ちょっと恥ずかしかったから、本当に助かります!と、自然と笑顔になる。
「──っ」
また、カルザイン様は私から目を逸らした。
えーっと…やっぱり私が笑うと…余程ヤバい顔になるらしい…。少し…少しだけだけど…ショックだ…。
『…主…まぁ…いいか…』
レフコースが溜め息を吐いて私を見ていた事には、全く気付かなかった。
「──ふっ…」
そして、そんな中笑いだしたのが第一騎士団長であるカルザイン様だった。
「カルザイン様?」
「ん?」
「何かな?」
と、親子揃って返事をする。
「あー、カルザイン様はカルザイン様でも、騎士団長様の方のカルザイン様の事で…」
「ははっ、私達は二人とも“カルザイン”だから、ややこしいよね?息子の方は、名前で呼んでくれても良いよ?」
と、騎士団長が笑いを堪えながら提案して来る。
「名前…呼び??」
あれ?この世界で異性を名前呼びするって…色んな意味があった…よね?ティモスさんのように、平民は姓がないから、名前呼びをしているけど…。
「えっと…私はただの薬師なので…それに─」
「私は別に構わない─。」
名前呼びなんて無理ですと断ろうとするのを、カルザイン様が喰い気味に言う。
「えーっと…」
ーこ…断り難い…どうする???ー
『名前呼び位、良いのではないか?』
レフコースまで…。ん?名前呼びって、そんな大袈裟な事ではなかったのかなぁ?んー??
「今みたいに、親子揃ってる時だけでも良いんじゃないかな?ややこしいからね。エディ本人が良いと言っているから、特に問題は無いと思うよ?…ふっ…」
と、やっぱり笑いを堪えるようにして、騎士団長様は言う。
蚊
ーんー?やっぱり私の反応が過剰過ぎるのかなぁ?ー
「…分かり…ました。頑張って…呼ぶようにしてみます。」
「…頑張って…」
と呟いた後、騎士団長様は声を上げて笑った。
騎士で影響が出ていたオーブリー様とは、また後日カルザイン様と会いに行く事になった。そして、もう1人の人だが、1ヶ月程前、休日の日に大怪我を負ってしまい、今も療養中で自身の領地にある邸に帰っているらしい。その父親からの手紙では、その本人自身には怪我以外には特にこれと言って問題は無い─との事だった。
「それでは、今日はこれで終わり…と言う事で良いだろうか?」
「はい。ありがとうございました。それで…今朝にもお願いしましたが、少し時間をいただいても良いですか?」
「あぁ、勿論。」
と、カルザイン様は笑顔で答えてくれた。
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