巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

文字の大きさ
103 / 203
第五章ー聖女と魔法使いとー

カルザイン親子

しおりを挟む

物理的な攻撃じゃない。

精神的な攻撃。厄介だ─。




話のうちの7割程のミヤさんに対する思いの話は、必要ありましたか?と、思ってしまった事は、自分の心の中だけにしまっておく。

兎に角、ようやく、本当に、王太子様の瞳が澄んだ瞳になった気がする。取り敢えずは、王太子様はもう大丈夫だろう。あのピアスがある。


王太子様は、前もって聞いていた通り、これから公務があるからと言う事で、私はカルザイン様と共に王太子様の執務室を後にした。




「次は第一騎士団団長に話をつけてある。そこでいいか?」

「はい。お願いします。第一騎士団の団長様と言うと、カルザイン様のお父様…ですよね?」

「あぁ。私の尊敬する父上だ。」

本当に尊敬しているんだろう。とても優しい顔をしている。本当に、よく見ると似てるよね。カルザイン様は、父親似なんだろうけど…きっと母親も美人さんに違いない。






「待っていたぞ、エディ。それと…殿…で良いのだろうか?」

第一騎士団長の執務室に行くと、直ぐに私達を迎え入れてくれた。

「はい。改めて…私の名前はハルです。宜しくお願いします。」

2日前は“ルディ”として挨拶をしたので、もう一度改めて“ハル”として挨拶をする。

「ところで、グレン様はまだ王都に?」

「はい。まだ王都の邸に居ますが…明日にはパルヴァン領に向かって出立するそうです。」

そう。パルヴァン様は、明日出立する。滅多にパルヴァン辺境地から出る事がないパルヴァン様が、私の為に王都に来てくれたのに、一緒に帰れなくてごめんなさい─と謝れば

『気にすることは無い。私が王都に来たのは私の勝手だ。ハル殿は、ハル殿がしたい事をすれば良い。但し、1人だけで行動しない事。無理もしない事。それが約束だ。』

と言ってくれた。




「では…騎士団長様、すみませんが、いくつか質問をさせて頂いても良いですか?」

「あぁ、私の答えられる限りは答えよう。」










第一騎士団で影響が出ているのは2人だけだった。そのうちの1人が─

「オーブリー様…」

まさかのオーブリー様…。でも、あのお店で偶然遇った時には、黒いモヤはなかったよね?ん?アレは、レフコースと名を交わす前だったから、視えなかっただけ?

『その可能性はある。』

だよね─。

「オーブリー様にも…会って話を聞いた方が…良いよね?」

でも…ちょっと…会い難いよね…

あの時にキスをされた手を見る。

ー恥ずかしい!どんな顔をして会えと!?ー

と少し顔が熱くなっていると

「オーブリー殿に会うなら、私も同行しよう。」

と、カルザイン様が言って来た。

「え?良いんですか?」

「あぁ、構わない。同じ騎士だし、私から彼に連絡をとっておこう。」

「ありがとうございます!」

本当にありがとうございます!二人きりで会うとか、ちょっと恥ずかしかったから、本当に助かります!と、自然と笑顔になる。

「──っ」

また、カルザイン様は私から目を逸らした。

えーっと…やっぱり私が笑うと…余程ヤバい顔になるらしい…。少し…少しだけだけど…ショックだ…。

『…主…まぁ…いいか…』

レフコースが溜め息を吐いて私を見ていた事には、全く気付かなかった。

「──ふっ…」

そして、そんな中笑いだしたのが第一騎士団長であるカルザイン様だった。

「カルザイン様?」

「ん?」
「何かな?」

と、親子揃って返事をする。

「あー、カルザイン様はカルザイン様でも、騎士団長様の方のカルザイン様の事で…」

「ははっ、私達は二人とも“カルザイン”だから、ややこしいよね?息子の方は、名前で呼んでくれても良いよ?」

と、騎士団長が笑いを堪えながら提案して来る。

「名前…呼び??」

あれ?この世界で異性を名前呼びするって…色んな意味があった…よね?ティモスさんのように、平民は姓がないから、名前呼びをしているけど…。

「えっと…私はただの薬師なので…それに─」

「私は別に構わない─。」

名前呼びなんて無理ですと断ろうとするのを、カルザイン様が喰い気味に言う。

「えーっと…」

ーこ…断り難い…どうする???ー

『名前呼び位、良いのではないか?』

レフコースまで…。ん?名前呼びって、そんな大袈裟な事ではなかったのかなぁ?んー??

「今みたいに、親子揃ってる時だけでも良いんじゃないかな?ややこしいからね。エディ本人が良いと言っているから、特に問題は無いと思うよ?…ふっ…」

と、やっぱり笑いを堪えるようにして、騎士団長様は言う。


ーんー?やっぱり私の反応が過剰過ぎるのかなぁ?ー

「…分かり…ました。頑張って…呼ぶようにしてみます。」

「…頑張って…」

と呟いた後、騎士団長様は声を上げて笑った。










騎士で影響が出ていたオーブリー様とは、また後日カルザイン様と会いに行く事になった。そして、もう1人の人だが、1ヶ月程前、休日の日に大怪我を負ってしまい、今も療養中で自身の領地にある邸に帰っているらしい。その父親からの手紙では、その本人自身には怪我以外には特にこれと言って問題は無い─との事だった。



「それでは、今日はこれで終わり…と言う事で良いだろうか?」

「はい。ありがとうございました。それで…今朝にもお願いしましたが、少し時間をいただいても良いですか?」

「あぁ、勿論。」

と、カルザイン様は笑顔で答えてくれた。



しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

本物の『神託の花嫁』は妹ではなく私なんですが、興味はないのでバックレさせていただいてもよろしいでしょうか?王太子殿下?

神崎 ルナ
恋愛
このシステバン王国では神託が降りて花嫁が決まることがある。カーラもその例の一人で王太子の神託の花嫁として選ばれたはずだった。「お姉様より私の方がふさわしいわ!!」妹――エリスのひと声がなければ。地味な茶色の髪の姉と輝く金髪と美貌の妹。傍から見ても一目瞭然、とばかりに男爵夫妻は妹エリスを『神託の花嫁のカーラ・マルボーロ男爵令嬢』として差し出すことにした。姉カーラは修道院へ厄介払いされることになる。修道院への馬車が盗賊の襲撃に遭うが、カーラは少しも動じず、盗賊に立ち向かった。カーラは何となく予感していた。いつか、自分がお払い箱にされる日が来るのではないか、と。キツい日課の合間に体も魔術も鍛えていたのだ。盗賊たちは魔術には不慣れなようで、カーラの力でも何とかなった。そこでカーラは木々の奥へ声を掛ける。「いい加減、出て来て下さらない?」その声に応じたのは一人の青年。ジェイドと名乗る彼は旅をしている吟遊詩人らしく、腕っぷしに自信がなかったから隠れていた、と謝罪した。が、カーラは不審に感じた。今使った魔術の範囲内にいたはずなのに、普通に話している? カーラが使ったのは『思っていることとは反対のことを言ってしまう魔術』だった。その魔術に掛かっているのならリュートを持った自分を『吟遊詩人』と正直に言えるはずがなかった。  カーラは思案する。このまま家に戻る訳にはいかない。かといって『神託の花嫁』になるのもごめんである。カーラは以前考えていた通り、この国を出ようと決心する。だが、「女性の一人旅は危ない」とジェイドに同行を申し出られる。   (※注 今回、いつもにもまして時代考証がゆるいですm(__)m ゆるふわでもOKだよ、という方のみお進み下さいm(__)m 

【完結】公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

【完結】【番外編追加】お迎えに来てくれた当日にいなくなったお姉様の代わりに嫁ぎます!

まりぃべる
恋愛
私、アリーシャ。 お姉様は、隣国の大国に輿入れ予定でした。 それは、二年前から決まり、準備を着々としてきた。 和平の象徴として、その意味を理解されていたと思っていたのに。 『私、レナードと生活するわ。あとはお願いね!』 そんな置き手紙だけを残して、姉は消えた。 そんな…! ☆★ 書き終わってますので、随時更新していきます。全35話です。 国の名前など、有名な名前(単語)だったと後から気付いたのですが、素敵な響きですのでそのまま使います。現実世界とは全く関係ありません。いつも思いつきで名前を決めてしまいますので…。 読んでいただけたら嬉しいです。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました

Blue
恋愛
 幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。

異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。

バナナマヨネーズ
恋愛
香澄静弥は、幼馴染で従姉妹の千歌子に嵌められて、異世界召喚されてすぐに魔の森に捨てられてしまった。しかし、静弥は森に捨てられたことを逆に人生をやり直すチャンスだと考え直した。誰も自分を知らない場所で気ままに生きると決めた静弥は、異世界召喚の際に与えられた力をフル活用して異世界生活を楽しみだした。そんなある日のことだ、魔の森に来訪者がやってきた。それから、静弥の異世界ライフはちょっとだけ騒がしくて、楽しいものへと変わっていくのだった。 全123話 ※小説家になろう様にも掲載しています。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

処理中です...