巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

文字の大きさ
109 / 203
第五章ー聖女と魔法使いとー

お出掛け②

しおりを挟む


「何を買うのかは、決めているんですか?」

パルヴァン邸を出て街迄行く道すがら、カルザイン様に尋ねる。因みに、今日の移動は馬車でも愛馬ノアでもなく、歩きだ。

「毎年、私からは花束を送っていたんだが、今年は、普段使える髪留めが欲しいと言われてね。それで、今迄そう言う物を女性に贈った事がなかったから、悩んでいたんだ。」

「今迄、一度もなかったんですか!?」

ビックリだ!どこをどう見てもモテる筈。今迄恋人の1人や2人居たとしても、おかしくないのに? 

「そんなに驚く事か?」

「驚きますよ!」

「何故?」

「何故って──。」

ーえー?カルザイン様、自分のイケメン具合に自覚無いの??ー

「カルザイン様って、綺麗な顔をされてますから、モテても不思議じゃないと思いますし…こんな私にもスマートに対応してくれるので、慣れてるのかなぁ?って思いまして…。」

と言うと、カルザイン様の歩みが止まった。どうしたのかな?と思って、カルザイン様の方を仰ぎ見ると

「ハル殿から見て、私の顔は…綺麗だと?」

「?はい。」

「普段、そう言われても何も思わないが…ハル殿に“綺麗だ”と言われると…嬉しいものだな。」

と、本当に嬉しそうに笑うカルザイン様。

ーあ…カルザイン様も…青い瞳なんだー

レフコースのアイスブルーの瞳。とても綺麗で大好きな瞳。カルザイン様の青も、とても綺麗だと思う。

「カルザイン様は瞳の色も…綺麗ですね。」

と、思わずカルザイン様の瞳をジッと見つめたまま、口からポロリと出てしまった。

「ん?そう…か?ありがとう。でも、私からしたら…ハル殿の淡い水色の瞳の方が…綺麗だと思うけどね。」

と、私の目元をカルザイン様がソッと撫でて行く。

「─っ!?」

「さぁ、時間が勿体ないから…前に進もうか?」

そう言って、カルザイン様は何事もなかったかの様に、ゆっくりと歩きだす。

ーカ…カルザイン様…何時にも増して…甘く…ない!?心臓が痛い。私…今日は生きて帰って来れるんだろうか???ー














「ハル殿、お陰で良いものが買えたと思う。ありがとう。」

あれから、お店をいくつか回って、カルザイン様から聞いたお母様の容姿に似合いそうな髪留めを選び終えると─

「ハル殿、少し…私の買い物にも付き合ってもらえるだろうか?」

「はい、勿論大丈夫です。」

そう言って連れて来られたのは、さっき2件目に訪れたお店だった。



「何か、気になる物でもあったんですか?」

「普段、佩帯している剣にはいざと言う時の為に、魔力を込めた魔石を填めているんだが、数日前、その魔石が割れてしまってね。新しい魔石を探していたんだけど…あぁ、これだ。この魔石が気になってね…。」

と、カルザイン様が指差した魔石は、透き通る様な水色の魔石だった。

「わぁ…綺麗な色の魔石ですね。」

「あぁ…そうだな…。」

「あ、でも…その横にある魔石の方が、カルザイン様に似合いそう…。」

似合いそうと言うか、カルザイン様の瞳の色によく似ている青だ。

「ハル殿に“似合う”と言われたら嬉しいが…俺は…こっちのの方が…好きかな。」

ー……えっ?ー

私は、ショーケースに並んでいる魔石を見つめたまま固まる。横に居るカルザイン様が、私を見つめているだろう事は…分かっている。



『ん?そう…か?ありがとう。でも、私からしたら…ハル殿のの瞳の方が…綺麗だと思うけどね。』


『ハル殿に“似合う”と言われたら嬉しいが…俺は…こっちのの方が…好きかな。』


“淡い水色”

そんな言い方されると…ちょっと…どうしていいか…困るよね!?いや─カルザイン様の事だし、他意は無いんだろう…。サラッと言っただけなんだろう。

「…ふっ…顔が…赤いな?」

横でカルザイン様が笑っているのが分かる。

「…揶揄いましたね?」

「まさか…思ったままを言っただけだが?…ふっ…」

ーほら!嗤ってるから!もう騙されない!ー

それからカルザイン様は暫く笑った後、気になっていたと言っていた魔石と、私が似合いそうと言った魔石を、二つとも購入した。







ーカルザイン様…本当に今迄彼女とか居なかったんだろうか?ー


買い物が終わり、そろそろお昼時だなーと思っていると

『近衛騎士の仲間内で、人気のある店を予約してるから、そこでランチをしよう。』

と言われてやって来たお店。入店すると、確かに店内は満席で、店内で待っている人達も居た。その待っている人達の横を通り過ぎ、店員さんに案内されたのは…個室だった。

ー2人きりだけど、大丈夫?私がこの世界の勉強をした時とは…色々とルール?が変わって来てるのかなぁ?ー

帰ったら、ルナさんとリディさんに訊いてみよう。なんて考えていると

「どうも賑やかな所で食事をするのが苦手でね。個室の方が落ち着くんだ。」

「あー、そうなんですね。」

成る程、そう言う事か。騎士と言っても貴族様だもんね…。うん。それなら…仕方無い…のかな?

と、微妙に納得をした私を、カルザイン様はとても綺麗な笑顔で見ていた。










しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

本物の『神託の花嫁』は妹ではなく私なんですが、興味はないのでバックレさせていただいてもよろしいでしょうか?王太子殿下?

神崎 ルナ
恋愛
このシステバン王国では神託が降りて花嫁が決まることがある。カーラもその例の一人で王太子の神託の花嫁として選ばれたはずだった。「お姉様より私の方がふさわしいわ!!」妹――エリスのひと声がなければ。地味な茶色の髪の姉と輝く金髪と美貌の妹。傍から見ても一目瞭然、とばかりに男爵夫妻は妹エリスを『神託の花嫁のカーラ・マルボーロ男爵令嬢』として差し出すことにした。姉カーラは修道院へ厄介払いされることになる。修道院への馬車が盗賊の襲撃に遭うが、カーラは少しも動じず、盗賊に立ち向かった。カーラは何となく予感していた。いつか、自分がお払い箱にされる日が来るのではないか、と。キツい日課の合間に体も魔術も鍛えていたのだ。盗賊たちは魔術には不慣れなようで、カーラの力でも何とかなった。そこでカーラは木々の奥へ声を掛ける。「いい加減、出て来て下さらない?」その声に応じたのは一人の青年。ジェイドと名乗る彼は旅をしている吟遊詩人らしく、腕っぷしに自信がなかったから隠れていた、と謝罪した。が、カーラは不審に感じた。今使った魔術の範囲内にいたはずなのに、普通に話している? カーラが使ったのは『思っていることとは反対のことを言ってしまう魔術』だった。その魔術に掛かっているのならリュートを持った自分を『吟遊詩人』と正直に言えるはずがなかった。  カーラは思案する。このまま家に戻る訳にはいかない。かといって『神託の花嫁』になるのもごめんである。カーラは以前考えていた通り、この国を出ようと決心する。だが、「女性の一人旅は危ない」とジェイドに同行を申し出られる。   (※注 今回、いつもにもまして時代考証がゆるいですm(__)m ゆるふわでもOKだよ、という方のみお進み下さいm(__)m 

【完結】公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

【完結】【番外編追加】お迎えに来てくれた当日にいなくなったお姉様の代わりに嫁ぎます!

まりぃべる
恋愛
私、アリーシャ。 お姉様は、隣国の大国に輿入れ予定でした。 それは、二年前から決まり、準備を着々としてきた。 和平の象徴として、その意味を理解されていたと思っていたのに。 『私、レナードと生活するわ。あとはお願いね!』 そんな置き手紙だけを残して、姉は消えた。 そんな…! ☆★ 書き終わってますので、随時更新していきます。全35話です。 国の名前など、有名な名前(単語)だったと後から気付いたのですが、素敵な響きですのでそのまま使います。現実世界とは全く関係ありません。いつも思いつきで名前を決めてしまいますので…。 読んでいただけたら嬉しいです。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました

Blue
恋愛
 幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。

異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。

バナナマヨネーズ
恋愛
香澄静弥は、幼馴染で従姉妹の千歌子に嵌められて、異世界召喚されてすぐに魔の森に捨てられてしまった。しかし、静弥は森に捨てられたことを逆に人生をやり直すチャンスだと考え直した。誰も自分を知らない場所で気ままに生きると決めた静弥は、異世界召喚の際に与えられた力をフル活用して異世界生活を楽しみだした。そんなある日のことだ、魔の森に来訪者がやってきた。それから、静弥の異世界ライフはちょっとだけ騒がしくて、楽しいものへと変わっていくのだった。 全123話 ※小説家になろう様にも掲載しています。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

処理中です...