巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

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第五章ー聖女と魔法使いとー

面会①

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「ゼンさんも、第一騎士団に所属してたんですね。」

今は、あの魔導師に面会をする為に、馬車で移動中。そして、何やら王城に用事があるらしく、ゼンさんも一緒に行く事になった。

「はい。とは言っても、グレン様とは違って、の、の騎士でしたけどね。」

と、ニコッと笑うけど…パルヴァン様の留守を預かる位だから、きっと…絶対にの騎士じゃなかっただろう…と思うけど、私は突っ込みません。きっと、突っ込んではダメなヤツです。

「あ、それじゃあ、今日は騎士団の離宮に用事があるんですか?」

と訊けば…ゼンさんは何も言わずに、ただただダンディー然りな微笑みを浮かべるだけだった。

ーあ…これ、きっとヤバいやつだー

チラリと、馬車に乗り込んでから黙ったままのエディオル様を見ると…目が合って…首をふるふると振られた。

ーあぁ…止められないパターンなんですね?ルイス=カルザイン様…頑張って下さいー












王城に着き馬車を降りる。
ゼンさんがエディオル様と少し言葉を交わした後、私の側迄やって来て

「ハル様、私は一緒には行けませんが、絶対に無理はされませんように。おかしいと思ったら…すぐに面会を終えて下さい。いいですね?」

「はい。無理はしません。」

「では、エディオル様、レフコース殿、ハル様を宜しくお願いします。」

そう言って、ゼンさんは騎士団の離宮の方へと歩いて行った。





「ハル殿、大丈夫か?」

「…はい…。レフコースも居るし…そのー…エディオル様も…居てくれるので、大丈夫です!」

心配をかけたくなくて、頑張って言いました!

「─っ!…そうか…分かった…。そう言ってもらえると、俺としても…嬉しい。」

そんな2人を、レフコースはやっぱり尻尾をフリフリしながら見ていた。







「あぁ、エディオル、ハル殿、待っていたよ。」

神殿で出迎えてくれたのは、ダルシニアン様だった。

「お願いを聞いていただいて、ありがとうございます。」

「いや─。私達としても、何も進展がなかったから助かるよ。但し…まぁ、皆から言われてると思うけど、無理だけはしないようにね。」

「はい。絶対に無理はしません。」

「じゃあ…行こうか。」

ーうん。大丈夫。ダルシニアン様も居るし、レフコースも居る。そして…エディオル様も居るー

そっと深呼吸をして、ダルシニアン様の後を付いて行った。










「何?また来たの?あんたも飽きないね?」

先にダルシニアン様だけがその部屋に入った。そして入るなり、あの魔導師が軽い口調で喋り出す。

「飽きる飽きないの問題じゃないからね。」

「ふーん。ま、どうでもいいけど…。俺は本当に何も知らないよ?」

「今日は、私じゃなくて、いつもと違う者が、お前の相手をする。但し、余計な事はするなよ?」

知らず知らずのうちに、体に力が入る。
すると、エディオル様が私の手をそっと握って

「大丈夫だ。俺も、レフコース殿も居るから。」

「ありがとう…ございます。」

ーうん。大丈夫だー

ゆっくりと、その部屋に入った。




「あれ?あの時の…?」

「…そうです。」

「ひょっとして…そのフェンリルと名を交わした?」

「あなたに答える必要が…ありますか?」

「…いや?答えなくていいよ。あんたとそのフェンリルの魔力を見れば、名を交わした事くらい分かるからね。」



『でも、何故だ?何故じゃない?』


ーあぁ…やっぱりー


この魔導師は、小さい声で囁いただけで、誰にも分からないと思ったのだろう。
この魔導師が言葉にしたのは…日本語だった。

「フェンリルが、“贄”では従属しない。必要なのは名を交わす事と知っていて、何故私を贄にしたんですか?」

「…へぇ…」

その魔導師は、目を細めて私を見て来た。

「何故?と訊かれてもね。俺はギデルに言われた通りにやっただけだから…。」

「贄を用意するより、名を交わす方がリスクは少ない筈。ならば、誰かに指示されたとしても、自分のリスクを減らす為に、本当の事を言った方が良いと…思わなかった?実際、失敗して捕まった。」



『…グレンが死ななかったから…と言ってもなぁ…』



ーえ?ー


『何故ストーリー通り進まない?』



ドクンッと、心臓が嫌な音を立てる。



ーこの人…ゲームを知ってる?ー


「だから、俺は言われた通りにしただけ。もともと捕まる気もなかった。あの攻撃が成功したら逃げれてたし…。あの攻撃が完璧に防御された事…それだけが計算外だったんだよ。」

「……」

言いたい事、訊きたい事はたくさんある。あるけど…今はまだ、私が日本人だと言う事は言わない方が良いだろう。勝手に日本語で愚痴ってくれるから…情報は得やすいかもしれない。

「もし、その攻撃が成功していたとしても、神殿の地下から出て、更に王城から逃げられるなんて…無理では?」

「逃げ道位、用意してたからね─。」

『─と言うか…魔法使いである俺なら…簡単なんだよね…。』


ー魔法…使いー


この人も…日本人で…魔法使い…。
ちょっと…ヤバくない?

『暫くは様子をみてたけど…クレイルもエディオルの攻略も進んでないし…どうなってんだ?』

「顔も知られてるのに、何処に逃げるつもりだったの?」

「さあね?何処だろうね?」

『隣国まで一気に帰るさ─。』




ーこの人がー隣国の魔法使いだー







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